“韓国の食卓と食事のマナー”


韓国特有のお膳立てを飯床(パンサン)と言います。主食のお米に汁、肉、野菜などのさまざまなおかずやキムチなどを取り合わせた献立で、おかずの数によって3チョプ、5チョプ、7チョプ、9チョプ、12チョプと呼ばれます。“チョプ”というのは蓋つきのおかず容器のことで、その数が多いほどご馳走というわけです。その昔、3チョプは庶民の飯床、12チョプは宮中の飯床でした。 飯床の一般的な原則は、前列にご飯と汁(クッ)、チョッカラとスッカラ(日本では食事に欠かせない箸のことを韓国では「チョッカラ」と言います。また、汁ものが多い韓国の食文化に欠かせないものが「スッカラ」と呼ばれるスプーンです)をおき、その奥におかずを並べます。9チョプならたとえば2列目には右から肉類、チゲ(鍋)、魚の煮付け、3列目には焼き肉、魚の蒸しもの、キムチ2品などとなります。しかし、現代では食卓上のチョプ数(おかずの数)やその順番を厳密に守るというよりは、食べやすい順番や見た目の調和、お客様が食べやすい位置などを考えてお膳立てをするのが一般的になっています。

1. トラジ(桔梗の根)
・ナムル
2. 茸(ポソッ)
・ナムル
3. れんこんの煮付け
4. 焼き魚 5. マヌル(にんにく)
・ジャンアチ
6. ナバク・キムチ
(水キムチ)
7. ご飯 8. 貝スープ
(チョゲタン)
9. チョッカラとスッカラ

多くの人と食事を共にするときは、目上の人が食べはじめてから目下の人がチョッカラをつけるのがマナーです。 チョッカラとスッカラを一度に同じ手で使うのは礼儀に反するので、チョッカラとスッカラを交互に使うとよいでしょう。そのときに、音を立てないように注意することを忘れてはなりません。また、食事の最中にチョッカラやスッカラを器にかけておくことはないようにし、食事が終わったあとも、ちゃんと揃えて置くようにします。

食べるとき、口の中のものが他人に見えないようにし、噛む音もたててはなりません。また、料理が口の中にあるときは、喋らないようにするのが好ましいです。スープなどの料理は、音をたてずにスッカラで食べます。器を手に持ったり、器に口をつけて飲むのは礼儀に反します。

自分から遠いところにある料理をとるときは、他の人の邪魔にならないようにし、腕をのばすよりは近くにいる人にとってもらうのが好ましいでしょう。また、おかずをとるとき、チョッカラでかきまわすのも礼儀に反します。タレや調味料を取りのぞいて食べることもいけません。

韓国の食卓では、西洋のような気むずかしい手順やマナーが必要なわけではありません。 同席する人に対して失礼がないように注意を払うことが基本で、これこそが最も大切な食事のマナーと言えるでしょう。

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