ガン・ヘチュンさんの“甘くてまろやかなホバク・ジュク(かぼちゃ粥)”

風が冷たくまるで真冬のように寒かった秋の午後、とある閑静な住宅街を訪れました。ソウル市内は高層アパートばかりで、どの街も似たような風景なのですが、ここは「市内にこんな所があったのか」と驚くほど静かで風情のあるところです。ガン・ヘチュンさんのお宅は、ソウルの北にある北岳山(プガッサン)近くの街にあります。その建物は、昔のたたずまいをそのまま受け継いでいる韓屋(ハンオク=伝統的家屋)でした。門の前には大きな銀杏の木があり、その落ち葉を踏みながら中に入ると、まるで田舎のおばあちゃんの家に来たような感じです。

ガン・ヘチュンさんは「ホバク・ジュク(かぼちゃ粥)」で私たちをもてなしてくれました。ホバク・ジュクは冬場、新鮮な野菜が不足していた昔に、家族のビタミン源としてよく食べられていたお粥だそうです。かつて田舎ではかぼちゃはとてもありふれたもので、田んぼや家の草ぶき屋根に実っているのを見ることができました。「今は食べものが豊富だけれど、あの頃は食べものってそんなになかったんです。庭で熟したかぼちゃをひとつ採って、おいしいホバク・ジュクを作って食べるのが冬の楽しみでした。ちゃんと作るとなるともち米で団子を作って、豆や栗などを入れますけど、かぼちゃの甘くてまろやかな味をそのまま楽しむためには、何も入れない方がさっぱりしていていいんです。」
今は独身の娘さんとの二人暮らし。みそやしょうゆ、キムチなどを手づくりしていますが、昔はさらに庭でほとんどの野菜を育てていたそうです。庭に植えられたトマトを見ると、かつてはどれほどだったのか察しがつきます。「この家で暮らして、今年で32年目なんです。娘もこの家で生まれたんですよ。
韓屋は冬が少し寒いけど、夏はとても涼しくていいんです。」古風な情緒にあふれた家と、その歴史とともに母から受け継がれてきた手づくりの味。やわらかな陽差しでぬくもった縁側に座っていると、忙しく庭を行き来しながらキムチを漬けたり、野菜を育てているガン・ヘチュンさんの姿が目に浮かぶようでした。




ホバク・ジュク(かぼちゃ粥)

材料

かぼちゃ
600g
もち米の粉
大さじ4
1/2カップ
砂糖
大さじ3
少々
松の実
少々
棗(なつめ)
1個
 
     
  1. かぼちゃは皮をむき、わたを除いて薄切りにする。
  2. 鍋に1を入れ、ひたひたに水を加えてゆでる。
  3. かぼちゃがやわらかくなったら冷まし、ゆで汁と一緒にミキサーにかける。
  4. もち米の粉に水を加えて混ぜ、弱火にかけて粥にする。
  5. 4に3を加えて煮込む。
  6. 砂糖、塩で調味し、松の実と棗(なつめ)を飾る。

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