キムチ
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“醗酵の科学キムチ”

「キムチなしでは生きられない〜♪」という歌があります。韓国の人々にとってキムチとは、一体どんな存在なのでしょう?
毎日三度の食事には欠かせませんし、どの家庭の冷蔵庫にも2種類以上は入っているのが普通です。日本食レストランでも、紅しょうがやらっきょうなどの漬けものと一緒に並べられ、中華レストランで出前を頼めば、別包みのキムチが一緒に届けられる"つまりキムチは料理の種類や国籍を問わず、どんなメニューのときにも必ず登場するおかずなのです。

キムチは白菜、大根、きゅうりなど、さまざまな野菜を塩漬けにし、唐辛子、にんにく、ねぎ、しょうが、塩辛、魚介などの副材料や調味料を混ぜ合わせて発酵・熟成させたものです。三国時代以前から食べられていたキムチですが、当時は塩漬けをただ発酵させただけのものでした。冬場の野菜が少ない時期にもビタミンを摂取するために、野菜を塩漬けにしたキムチが保存食として誕生したのです。そのキムチが唐辛子とにんにくを効かせた現在の姿になったのは1600年代、唐辛子が韓国に伝わってからのこと。白菜や唐辛子が広く普及するにつれて、キムチは徐々に現在の姿になっていったのです。キムチの語源は「野菜を塩水に漬ける」という意味の「チムチェ(沈菜)」が「ティムチェ」、または「ディムチェ」と発音されて「ジムチ」から「キムチ」に変化したのではないかと言われています。

キムチの最大の魅力は、醗酵食品であることです。醗酵食品は今や世界中の人々が注目する健康食品。キムチは醗酵が進むにつれて酸味が強くなりますが、この酸味は乳酸菌によって作られた乳酸で、身体によいといわれています。キムチが発酵・熟成する過程で増えてゆく乳酸菌は悪い菌を殺菌し、野菜類に含まれている糖を乳酸に変えて、独特の酸味のあるさっぱりした味を作り出します。また、この乳酸菌によって作られるデキストリンは、腸内の消化物質の働きを助け、体内をきれいにしてくれる食物繊維。消化を助けたり便秘を予防する効果に加えて、近年抗がん作用があることがわかり、更に注目を集めています。大根でカクテキを作ると粘りのある汁ができますが、ここにもデキストリンがたっぷり含まれています。
代表的な醗酵食品として知られるヨーグルトは大腸菌が育ちやすく、殺菌が必要な食品ですが、キムチは乳酸菌の働きで悪い菌が繁殖できないので、特別な殺菌の必要がありません。漬け込むだけで、おいしく、ヘルシーな食品が自然に出来上がるのです。この素晴らしいキムチの世界を、改めて見直してみることにしましょう。


 
▲メシル・ムルキムチ
(梅の水キムチ)
  ▲ソクム・ベチュ・ムルキムチ
(間引きした白菜の水キムチ)
 
▲アルタリ・ドンチミ
(韓国でよく使われる小さい大根のキムチ=チョンガッ・ドンチミとも言う)
  ▲プッマヌル・キムチ
(成熟していないにんにくを茎ごと漬けたキムチ)
 
▲オイ・ソバギ・ムルキムチ
(キュウリの詰め合わせ水キムチ)
  ▲プッコチュ・ソバギ・キムチ
(青唐辛子の詰め合わせキムチ)

 

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