新卒採用情報

STORY
02

「アミノエール®」

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「加齢等によって筋肉量は減少し、歩く力が衰える」
今なら誰もが知る社会的課題に
味の素KKは20年前から向き合ってきた

味の素KKを代表する、シニアの健康維持をサポートするサプリメント「アミノエール®️」。
その機能性成分である「AminoL40®️」の研究開発は約20年前にスタートしており、現在の製品に行き着くまでには長い道のりがあった。

  • EPISODE
    01

    アミノサイエンス統括部

    農学系研究科畜産獣医学専攻修士課程修了

    1989年入社

    小林 久峰

    Hisamine Kobayashi

    「高齢者の健康に役立てる」
    信念が実を結ぶ『AminoL40®️』生みの親

    「今さら、新しいことなんてあるのか?」
    1998年、味の素KKに新設されたアミノサイエンス研究所でのこと。小林久峰が提案した研究テーマ「老化による骨格筋量の減少対策の探索〜経口アミノ酸補充の有用性検討〜」に対して、アミノ酸に詳しいベテラン研究者からは懐疑的な意見が多数出ていた。

    「当時、すでに必須アミノ酸BCAAによる筋合成作用は知られていました。しかし、筋肉が健康上の問題になるとまでは考えられてなかったんです」

    「アミノ酸が高齢者の骨格筋量の減少を食い止め、高齢者の健康に役立つはずだ」
    医学分野の臨床栄養や畜産分野の飼料栄養に関わってきた小林は、強い信念でテキサス大学での研究派遣の切符を手にする。同大で2年間、栄養素が人体に及ぼす影響として、必須アミノ酸の有効性を示すデータを蓄積。帰国後は、もっとも効率的に筋タンパク質合成を促進する割合として、ロイシンを40%にまで高めて配合した必須アミノ酸混合物「Amino L40®︎」の開発に成功する。

    2007年に製品化され、「牛乳と一緒にとるアミノ酸®︎」として市場へ。
    しかし、2年で終売が決定し、姿を消すこととなる。

    「世の中がまだ全く、筋肉には注目していなかったんですよ」

    潮目が変わったのは、その製品を使った臨床研究がある高齢者専門医療研究センターで実施されたことだった。
    筋力が衰えていた75歳以上の高齢者155名を対象に3カ月間の試験を行った結果、「牛乳と一緒にとるアミノ酸®️」と「運動」を組み合わせた場合、下肢の筋量と筋力、歩行速度が優位に高まることが実証された。そのデータは国の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」をはじめ、現在も多くの研究者の論文に引用されている。

    かくして味の素KKは再び「Amino L40®︎」を世に出すべく、顆粒タイプのサプリメントとして再度の製品化が決定する。
    それが2013年11月に発売された「アミノエール®️」だ。

  • EPISODE
    02

    ダイレクトマーケティング部
    R&Dグループ長

    文教育学部 地理学科

    1994年入社

    斉藤 典子

    Noriko Saito

    「試練にぶち当たっても諦めない」
    バリューチェーン全体を率いたリーダーシップ

    「この商品、すごく売れそうですね」

    ダイレクトマーケティング部で2013年11月の「アミノエール®︎」の発売を間近に控え、前任者から開発担当を引き継いだ斉藤典子は上司にそう話しかけた。

    「いいや、そう簡単に商品は育たないよ」
    「ええ? 日本の超高齢社会の課題にマッチしていて、確かなエビデンスもあるのに…なぜなんだろう」

    斉藤は「アミノエール®️」の企画から販売に至る、バリューチェーンを一貫して担当する。すべての課題解決に携わり、顧客価値創造を担うリーダーだった。「これから、大々的に売り出していこう」そう思っていた矢先、すぐに1つ目の大きな試練が降りかかる。

    「飲みにくい」「甘すぎる」「苦い」――。
    「アミノエール®️」は発売直後から味と物性に関する不満の声が相次いだのだ。

    「ターゲットに齟齬があったの?」
    発売前に入念に消費者評価などを重ねて決定した味と物性に対して、なぜ不満の声が出るのか。戸惑いながら原因を探った結果、当初想定していたアクティブシニア(元気な50〜60代)ではなく、実際の購入者は後期高齢者(70代が中心)だということが判明した。

    「後期高齢者が飲みやすい改良が必要。すぐに!」
    もう発売がスタートしてしまった状況。この時、与えられた期間は6カ月だった。

    「いい商品だからといって簡単には育たない」
    その言葉を噛み締めながら、斉藤は強いリーダーシップでチームを引っ張った。

    「世の中の役に立つ、いい商品だから。多くの人に届けよう」

  • EPISODE
    03

    食品研究所
    ヘルスケア食品グループ 研究・開発
    ※2016年時点
    現)食品研究所 メニュー調味料グループ
    (2018年7月異動)

    水産学部 食品生産学科

    2006年入社

    田村 智子

    Tomoko Tamura

    前例にとらわれないチャレンジで
    「最短」で「最高品質」を目指す

    「最短で最良の改訂ですか?」

    2013年11月に発売された「アミノエール®️」はスタートで躓いていた。
    「今のままでは味と物性に課題があって、自信を持って広告を打てない」と斉藤から食品研究所に依頼があった。そこで白羽の矢が立ったのが田村智子だ。半年で結果を出すとなると、田村自身が開発に掛けられる時間は1〜2カ月しかなかった。

    さっそく斉藤とともに、目標品質の設定がスタートする。
    発売後、販売マーケティング担当の高橋も協力して、発売から5カ月間で集まったお客様の声を解析した。
    後期高齢者は嚥下能力も低下しており、入れ歯などに顆粒が挟まることを嫌がる。酸味も苦手。
    「高齢の方も飲みやすいよう、味・風味はマイルドに。即溶解する口溶けの良い顆粒にしましょう」

    類似した配合製法でアスリート向けの既存製品があり、田村はその改良品を担当した経験はあった。そのレシピを踏襲することも可能だったが、あえて参考にしなかった。

    「目標は最高品質だ」
    甘味料、酸味を減らして味は整えたが、最大の難関は口溶けに影響する造粒製法の配合だ。粒状が可能なギリギリのラインまで配合を工夫し、オリジナルレシピの完成まで、試作は40回以上にのぼった。

    プロト品完成後のユーザー評価では、斉藤が実際の購入者の60〜80代のお客様に声を掛けてくれた。
    「すごく口溶けがよくなった」
    「こっちの方がいいね」
    味と物性の課題がクリアできた瞬間だった。

    しかし、難関はもう一つ。製品を実際の工場で工業化できるかどうかだ。

    「本当にこのレシピでいくの?」
    生産技術の担当者に念を押される。口溶けを優先すると製品はどうしても脆くなる。製造工程や輸送リスクを考慮すれば、その不安も十分理解できたが、田村は生産技術と包装設計の担当者に強く協力を求めた。
    「この配合で進めたいんです」

    「あのユーザー評価があったから、強く自信を持って言えました」
    田村の訴えに製造条件も新たなレシピに合わせて改訂された。最後は全員で腹を決めた。

    2014年秋には、改訂版「アミノエール®︎」がリリースされる。

  • EPISODE
    04

    アミノサイエンス事業本部
    ダイレクトマーケティング部 R&Dグループ

    薬学部 製薬化学科

    1991年入社

    梶原 賢太

    Kenta Kajiwara

    「アミノエール®️」を機能性表示食品に。
    味の素KKの研究成果を
    商品価値に繋げた学術担当。

    「機能性表示制度が始まるぞ」

    2015年3月、消費者庁からガイドラインが公表され、発足前から手探りで準備を始めていた学術担当の梶原賢太は「よし、来たか」と直ちに届出資料をダウンロードし、内容を読み込んだ。
    機能性表示制度とは、<事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品>として、安全性及び機能性の根拠に関する情報を消費者庁長官へ行う届出制度のことだ。
    「アミノエール®︎」は科学的観点から有効性、安全性、作用機序等のエビデンスも揃っていた。

    「これまでの研究成果を最大限に活かし、届出につなげたい」
    梶原は「なんとしても届出受理を勝ち取る」という責任と期待でいっぱいだった。
    「1日でも早い受理を目指そう」

    しかし、スタートしたばかりの制度は前例や基準がない。消費者庁からは不備事項による照会が相次ぎ、結果的には届出が受理されるまで約1年を要する困難を極めた。「それまで私は医師や薬剤師といった方々を対象に説明することはありましたが、今回は顧客・消費者目線で科学的なエビデンスをわかりやすい言葉に翻訳して伝える必然性があり、その部分は言葉選びから本当に苦労しました」
    法的な観点では品質保証部、最終的な判断は審査会と、斉藤と一緒に多くの関係者とも検討を重ねた。

    2016年1月。消費者庁は「アミノエール®️」の機能性表示食品の届け出を受理。
    機能性表示制度が可能になると、「アミノエール®️」の機能をパッケージやPRに明示することが可能になった。

    機能性表示食品としてリニューアルされるまでの期間、梶原は全国のコールセンターを回り、それまではエビデンスがあっても「言ってはいけない」という制約のもとで、スタッフに指導してきた内容を一新した。
    「製品の機能や効用を正しく伝えていける。本当に嬉しかったですね」

    機能性表示食品と表示できるようになった「アミノエール®️」は16年4月、こうして新たなスタートを切る。

  • EPISODE
    05

    ダイレクトマーケティング部
    ※2016年時点
    現)広報部PRグループ
    (2018年7月異動)

    国際関係論学部
    国際経済学科(米国)修士課程修了

    2005年入社

    高橋 紀子

    Noriko Takahashi

    顧客と双方向のコミュニケーションで
    「アミノエール®️」の本当の価値を届ける

    「見える景色が変わった」

    販売マーケティングを担当していた高橋紀子は、機能性表示食品になってからの「アミノエール®️」の変化をそう表現する。
    それまでは「タンパク質、足りてますか?」といった程度の表現でしか「アミノエール®️」の魅力を訴求できないでいた。それが、具体的に「筋肉をつくる力をサポートし歩行機能を向上する」といった機能面を言えるようになった。この訴求ポイントはもちろん、多くの消費者の注目を集めた。

    「アミノエール®️」の販売チャネルはダイレクトマーケティング(通信販売)のみで行っている。高橋が担当したのは新規で獲得した顧客に、いかに「アミノエール®️」を継続利用してもらえるかというCRM(既存顧客育成)の領域だ。

    店頭販売では、お客様個々の健康の悩みには対応できない。だからこそあえて通信販売のみに限定し、コールセンターを設け、商品に同梱する様々なツールで丁寧にフォローしながら継続利用につなげる。
    広告や顧客に送付する販促ツールはすべて社内の審査会で審議されるため、高橋はブランド担当としてほぼ毎週参加した。
    「この程度の表現なら良いのでは?」
    「行き過ぎた表現だ。消費者に誤認を与えかねない」と指摘する専門家との攻防を重ね、本当に顧客の心に届くツールやコピーを完成できたと自負している。

    「定期的に購入いただいているお客様には商品とともに、飲み忘れのないよう記録できるカレンダー、たんぱく質が手軽にとれる食事、専門家が監修したオリジナルエクササイズを3カ月連続でお届けし、継続的に筋肉づくりを応援する取り組みを行っています」
    定期3回目の顧客にはアンケートを同梱。
    高橋は、毎月届く約300通の返信すべてに目を通した。

    「ダイレクトマーケティングの醍醐味はお客様の声を直接聞けることです。お客様との双方向のコミュニケーションはメーカー側からは気付きにくい本当に必要な情報を『顧客起点』で考えることができて、課題解決のPDCAにつなげていくことができます。特にシニア層には人生を前向きに変える言葉が効果的でした」

    「いつまでも自分の足でしっかり歩こう」
    高橋が発した前向きなメッセージは確かに顧客の心に響いたのだ。

EPILOGUE

2019年2月末時点で、「アミノエール®️」の累計販売食数は9000万食を突破。ダイレクトマーケティング部門が扱う商品のなかではトップとなる、ヒット商品に成長している。

「愛犬の散歩で少しでも遠くに行けるようになりたい」と目標を掲げていた顧客が3カ月後のアンケートで「以前よりも長く歩けるようになりました」と実感を寄せたり、「四国のお遍路に行ってきました」など、人生を楽しむシニアの声が次々に届いている。

斉藤は「『アミノエール®️』が多くのシニアの“お守り”になれば」とバリューチェーン全体を指揮してきた。

加齢によって衰える筋肉の衰えをケアし歩行機能を向上する「アミノエール」の継続摂取と、正しい運動・栄養に関する情報を提供するかたちで顧客のQOL 改善に貢献し、社会価値を高めてきた功績は大きい。「アミノエール®️」に関わった全員の思いが、味の素KKの経済価値につながったことにより、社内の「ASVアワード2017・大賞」を受賞している。

*「アミノエール」は2020年3月時点で一般健康食品として販売中。2020年4月下旬より、新たに機能性表示食品として発売再開予定