プロジェクト01:「ラブベジ」プロジェクト

「ラブベジ」プロジェクトで、日本人の野菜摂取量を増やせ。「ラブベジ」プロジェクトで、日本人の野菜摂取量を増やせ。

「ラブベジ」プロジェクトで、日本人の野菜摂取量を増やせ。

名古屋支社の若手社員の小さな“発見”が、
全国を巻き込むプロジェクトとなった。

名古屋支社のプレゼン大会で、ひとりの社員が紹介した
「愛知県の野菜消費量は、全国最下位」という政府統計。それに驚いた若手たちが立ち上げた
「ラブベジ」プロジェクトは、次々と挑戦を繰り返し、やがて全国へと広がっていった。

  • 野口 泰志

    中村 諒

    食品事業本部 名古屋支社
    家庭用第2グループ
    2010年入社 事務系

  • 安東 敏彦

    川上 真理子

    食品事業本部 名古屋支社
    営業企画グループ
    管理栄養士
    2014年入社 事務系

  • 浅井 誠一郎

    小寺 悠太

    食品事業本部 名古屋支社部
    家庭用第1グループ
    2011年入社 事務系

プロジェクト01:「ラブベジ」プロジェクトで、日本人の野菜摂取量を増やせ。

エピソード 01

始まりは、有志5人のプロジェクト。
商品を売るのでなく、食習慣を改善する
意欲的な取り組みがスタートした。

「え、愛知県って、日本最下位なの!?」
2015年夏、名古屋支社で行われたプレゼン大会で、ある若手社員が紹介した統計に、会場はざわめいた。
「厚生労働省の〈国民健康・栄養調査〉で、愛知県の野菜摂取量が全国最下位だった、というのです。私たち営業の多くは、“愛知は野菜産出額全国6位の農業県”だと認識していたので、ある意味ショックでした」と、大手スーパーなどへの営業を担当していた中村諒は言う。
「プレゼン後、『味の素KKとして何か取り組むべきではないか』という声が、仲間の間から自然発生的にわき上がってきました」

どうしたら愛知県の野菜摂取量を増やせるのか。中村を含む5人の有志によるプロジェクトがスタートした。管理職のいないフラットな組織は、後々までこの取り組みの特徴となる。
「それまでは、営業として売上を第一に考えるのが当然だと思っていました。しかし仲間たちと話すうちに、『モノを売るだけが営業の価値ではない』という思いが高まっていったのです」。
プロジェクトの目標は地域の人々の食生活改善に貢献すること、かつ売上をアップすること。慣れない考え方に少々とまどう中村たちの背中を押したのは、支社長以下、多くの上司たちだった。
「面白いことはどんどんやれ、遠慮なく挑戦しろ、と全面的に応援してくれました。新しいことに挑戦する人間ほど評価されるのが、当社の風土なのです」

まずは、野菜がたっぷり摂れるメニューの開発に取り組むこととなる。
「たとえば「Cook Do®」で回鍋肉をつくろう、では単発の企画で終わってしまいます。過去の経験にとらわれず、野菜がたっぷり摂れるレシピを社内外から募りたい。そこでメンバーのひとり、管理栄養士の川上真理子を通じて、彼女の母校とコラボすることになりました」
「ラブ」+「ベジタブル」という意味を込めて「ラブベジ」と名付けられた。
「東海エリアの野菜摂取量向上プロジェクト」は、こうして始まった。

プロジェクト01:「ラブベジ」プロジェクトで、日本人の野菜摂取量を増やせ。

エピソード 02

学生によるレシピコンテストから、
主婦目線のメニュー開発へ。
アイデアを次々と試し、知見を蓄える。

「うーん、このレシピは、少し再現性がないなぁ」
母校の後輩たちから寄せられたレシピを見ながら、川上はつぶやいた。
「野菜の摂取量アップに若いアイデアを活かそうと、母校の女子大に交渉し、管理栄養学を学ぶ学生たちによるレシピコンテストを開催しました。しかし『野菜を240g以上摂れる献立』としか条件を付けなかったため、手に入りにくい野菜や高額な材料を使う料理が多くなってしまいました」

料理としては面白いが、「地域の人々の野菜摂取量を増やす」という点から見ると、家庭での再現性に難がある。コンテストとして優秀案を選出した後、川上はオリジナルを尊重しながら、それらを調理しやすい料理へと改良していった。
「味や調理方法を微調整し、『とはいえ当社の調味料を使いたい』という営業の声にも目配りし、公式発表の日時が近づく中、かなり悪戦苦闘しました」。そう苦笑しながらも、川上は普段の仕事と違う手応えを感じていた。
「普段は料理教室などを対象に“うま味”の普及に取り組んでいますが、ひとりで行う作業がほとんど。色々な人から意見やアイデアをもらうのは、自分の知識や技術を試されるようで刺激的でした」

最初の取り組みの結果は、自社のサイトにこぢんまりと掲載された。
「当初は本当に小さな動きだったのです。初回の反省を踏まえ、第2弾は地元の料理研究家と愛知県内のカフェ3店舗に協力を仰ぎ、野菜摂取の量と回数を増やす『家での食事』と『外食』を意識したメニューを開発し、レシピブックにまとめました。さらに半年後の第3弾では『もっと主婦目線を取り入れたい』と考え、「ママのホンネ研究所」というNPO団体とタッグを組み、お子さんも意識したメニューづくりを行いました」
毎回試行錯誤を繰り返しながら、プロジェクトは進むべき道を模索していった。そこにひとつの方向性を示したのが、第3弾から参加した若手営業担当の小寺悠太だった。

プロジェクト01:「ラブベジ」プロジェクトで、日本人の野菜摂取量を増やせ。

エピソード 03

試行錯誤を経て、方向性が確定。
「なぜ野菜不足?」の調査結果から
さらなる課題も見えてきた。

「次はなすと玉ねぎをドンと前面に出しましょう!」
2016年の秋にスタートした第3弾ではプロジェクト内に「コンセプトチーム」が設けられ、小寺はそのリーダーを務めることになった。
「過去の取り組みから、ただ『野菜を食べよう』とメニューを提示しても摂取量の向上に直結しないことがわかってきました。そこで、我々のお得意先でもあるスーパーなどと協力して、『野菜の売上アップ』を目標のひとつに設定しました。また、野菜も2種類に絞り込み、簡単でおいしいメニューを川上さんにつくってもらいました」

小寺は制作会社に発注し、ひときわ目立つメニューブックを作成。それを野菜売り場に置くと、すぐに増刷が必要になるほどお客様が次々と持ち帰ってくださった。しかもタマネギとナスはよく売れ、連動するように味の素KKの調味料も売上を伸ばした。小寺たちが目指した「生活者・お得意先・味の素KK、すべてがWin-Win」というプロジェクトの道筋が見えてきた。
「プロジェクト内には、テレビや雑誌などに『ラブベジ』を取り上げてもらう『広報チーム』と、行政や公共団体に働きかける『行政チーム』も発足させました。タウン誌への掲載や市区町村イベントへの出店など、『ラブベジ』の活動は多面的なものへと広がっていきました」

「『ラブベジ』は、単なる野菜メニュー紹介ではありません」と中村は強調する。「目標は、あくまでも人々の食習慣を変えること。そのために、人々との接点を増やしたのです。味の素KKはこんな活動も行っている企業だと広く伝えることで、企業価値の向上も意識しました」

名古屋の有名ホテルとコラボした第4弾を終えた頃、メンバー内から「そもそも、なんで愛知県の野菜摂取量は低いの?」という本質的な疑問が出される。小寺は言う。
「確かにそうだ、と調査会社に依頼して全国的な調査を行うと、興味深い結果が出ました」
野菜摂取量は若い世代ほど低く、従って若年者人口の多い都道府県はどこも野菜摂取量が低い。しかも厚労省が奨励する「1日350g以上」の野菜を摂れているのは、全国で長野県だけだった。
「ラブベジ」は、日本全国共通の課題だったのだ。

プロジェクト01:「ラブベジ」プロジェクトで、日本人の野菜摂取量を増やせ。

エピソード 04

より消費者に近づくレシピ開発。
流通に歓迎され、会社から表彰され、
そして「ラブベジ」は、全国へ。

「鍋も包丁も使わない野菜料理って、できないかな?」
全国1400サンプルの調査で、なぜ若い世代は野菜を食べないかが見えてきた。
「大きな理由は3つ。『野菜は高い』『買っても使い切れない』『調理レパートリーが少ない』でした。これを解決することが、摂取量向上のヒントになると考えました」と小寺は言う。
「そこで、第5弾の取り組みは、旬のキャベツを丸ごと1個、使い切る料理を提案することにしました」と川上。「しかも、できるだけ簡単に調理できるよう、調理器具を極力使わないレシピを追求しました。メンバーからのムチャ振りで(笑)」

旬の野菜は安い。キャベツは好き嫌いが少なく、肉など他の素材との相性も良い。サラダからスープ、主菜まで、多彩な料理に活用できる。
「包丁を使わなくてもちぎればいい。薄い葉物だから、電子レンジを使えば火が通ります。ただ、野菜炒めのようなポピュラーな料理はすでにレパートリーに入っているでしょうから、新たにおいしくて手軽な料理を考える必要がありました」

半年ごとに進歩を続けてきたプロジェクトは、まずお得意先であるスーパーなどに歓迎され、浸透していった。
「「ラブベジ弁当」を販売してくれるお得意先も現れました。当初は『売上や自社製品にはこだわらない』と考えましたが、やはり野菜の売上アップという目に見える効果は流通を惹きつけ、自社製品の売上増は支社内でのプロジェクトへの評価を高め、結果としてメンバーのモチベーションも高まりました。企業である以上、事業として成り立たせることが継続性のカギなのだと、改めて勉強になりました」と中村は振り返る。

やがて「ラブベジ」は、大阪など他府県にも広がっていった。注目すべき斬新な取り組みとして、会社からの表彰も受けた。5人の自主的な取り組みとして始まった活動は、今、全社的な動きになろうとしている。

プロジェクト01:「ラブベジ」プロジェクトで、日本人の野菜摂取量を増やせ。

エピローグ

メンバーを大きく成長させた「ラブベジ」は、
味の素KKが目指す未来の象徴でもある。

「まだ道半ばですが、何重もの意義を持ったプロジェクトなのだと、改めて実感しています」と、リーダーを務める中村は言う。
「最大の成果は、メンバーの成長と意識の向上です。上下関係のないフラットな組織で、全員が対等に、自由に、そして責任感を持って役割をやり切りました。支社の営業がテレビ局に打合せに行ったり、雑誌のレイアウトを考えたりする機会なんて、めったにありません。『自分たちにもこんなことができる!』という達成感が、全員を成長させてくれました」

「視野と交流範囲が、ものすごく広がりました」と語るのは、川上だ。「ひとつのメニューを考える際、必ず材料を売る人や家庭で調理する人のことを考えるようになりました。他の支社から問い合わせを受ける機会も増え、自分の仕事が日本中につながっているという手応えを感じています」

「普段の仕事での提案が変わりました」と、小寺は笑顔で言う。「商品を売ることでなく、お客様の役に立つ、思わず買いたくなるような売り場づくりを第一に考えるようになりました。味の素製品と他社の調味料を並べて置く提案をしたら、『味の素さん、変わったね』とバイヤーさんから驚かれましたよ」

「ラブベジ」は、働き方改革を推進し、世界トップ10企業を目指す味の素KKを象徴する動きでもある。
「『事業を通じた社会的課題解決への貢献』というASV(Ajinomoto Group Shared Value)の理念を、「ラブベジ」は具現化したのです」と、中村は胸を張る。「状況に応じて必要な人材を集め、目的を達成するという柔軟な仕事の進め方も、会社の目指す方向に合致しています。またメンバー全員が熱意と目標を共有し、業務でなく気持ちを後輩に引き継ぐという姿勢は、味の素KKの伝統、変わることのない精神だと思います」

トップダウンでなく、気づいた者が声を上げ、主役となる。良いアイデアは組織全体で応援し、長い目で育てていく。新しい味の素KKが、加速しようとしている。