肝臓にいい食べ物とは?食生活のポイントや簡単レシピも紹介【医師監修】

「疲れやすい」「なんとなく調子が悪い」などの症状は、実は肝臓からのSOS信号かもしれません。忙しい毎日のなかで、ついつい脂っこいものを食べたり、お酒を飲む機会が増えたりして、肝臓に負担をかけることも少なくないでしょう。
肝臓は異常があっても症状があらわれにくく、気づいた時には深刻な状態になっている場合もあります。
日々の食事を少し意識すると、肝臓の健康をサポートできます。この記事では、肝臓にいい食べ物や効果的な摂り方、忙しい毎日でもとり入れやすい簡単レシピをご紹介します。
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肝臓とは

肝臓は、人間の体内にある臓器のなかで、脳に次ぐ大きさを誇ります。成人の肝臓は約800~1,200gあり、その重量からも重要性がうかがえるでしょう。
肝臓は強い再生能力をもち、手術で4分の3程度切除しても、数ヶ月で元の大きさに回復するとされています。
また、肝臓は生命維持に不可欠な役割を担いながら、ダメージを受けても黙々と働き続けることから、「沈黙の臓器」と呼ばれることもあります。
肝臓の役割とは
肝臓は人間の生命活動を支える以下3つの重要な機能を担っています。
肝臓の役割
- 体に必要なたんぱく質の合成や栄養の貯蔵
- 有害物質の解毒・分解
- 消化吸収を助ける胆汁の生成・分泌
食事をすると、食べ物は胃腸で吸収されやすい形に変換され、肝臓へと運ばれます。そこで貯蔵・分解・合成が行われた後、必要な場所にエネルギーとして届けられます。
なお、不要になった老廃物は肝臓に戻され胆汁として排泄されることがあります。その一部は再吸収され、肝臓内で再利用(リサイクル)されるという流れです。
肝臓は、栄養素の生成とリサイクルの中心的役割を果たしながら、アルコールを分解・有害物質を無毒化し、胆道から十二指腸に排出する解毒作用も備えています。
肝臓に悪影響を与える食生活とは
肝臓に負担をかける食生活にはいくつかの特徴があります。
過度の飲酒だけでなく、揚げ物やラーメンなどの高脂質・高カロリーな食品の摂りすぎ、果物など糖質の高い食べ物の大量摂取も肝臓に負担をかける要因です。
肝臓に異常が生じると、体に様々な変化があらわれます。急激な体重増加・黄疸の出現・倦怠感・食欲不振・周囲から「顔色が悪い」と指摘されるなどの症状が出はじめることもあります。
こうした肝機能障害の背景には、日々の食生活の乱れが影響していることも多いでしょう。もし上記のような症状が既に出ている場合は早めの医療機関受診が必要ですが、病気にならないために日頃から肝臓に優しい食べ物や食生活を心がけることが大切です。
肝臓にいい食べ物とは

肝臓の健康を維持するには、特定の栄養素を豊富に含む食品の積極的な摂取が重要です。肝機能をサポートする成分が多く含まれる食材を知り、毎日の食事に意識的にとり入れると、肝臓の負担の軽減につながるでしょう。
具体的にどのような食べ物が肝臓にいいのか、栄養素別にご紹介します。
【抗酸化作用を持つ】ビタミン類が豊富な食品
肝臓の健康を維持する上で、ビタミンA・C・Eなどの抗酸化ビタミンは欠かせない存在です。これらのビタミンは体内で増加する活性酸素から肝細胞を守る重要な働きをしています。
具体的には、緑黄色野菜にはビタミンAが豊富に含まれており、にんじんやほうれん草が代表的です。柑橘類やブロッコリーはビタミンCの宝庫であり、大豆製品や青魚にはビタミンEが多く含まれています。
これらのビタミンを摂取する際は偏らず、バランスの良い摂取が大切です。同じ食品に偏りすぎず、豊富な食材からそれぞれを適量摂取するよう心がけましょう。
また、緑黄色野菜に含まれるビタミンAは、正確には「βカロテン」という成分の形で含まれています。βカロテンは、体が必要とする分のみをビタミンAに変換する仕組みであるため、ビタミンAをそのまま摂取するよりも、過剰摂取のリスクが少ないのが特徴です。
【肝細胞を再生する】良質なたんぱく質を含む食品
良質なたんぱく質とは、アミノ酸がバランスよく含まれているたんぱく質のことです。このようなたんぱく質は体内での利用効率が高く、余分な老廃物も少なくなります。
肝臓が傷ついた時はたんぱく質で修復するため、良質なたんぱく質の摂取は欠かせません。具体的には、肉類・魚類・大豆製品・卵などの食品に豊富に含まれており、毎日の食事で意識的にとり入れることが大切です。
特に豆腐・納豆などの大豆製品には、たんぱく質だけでなく細胞膜を活性化させる「レシチン」も含まれているため、肝機能の保護や脂質代謝の改善にも役立ちます。
なお、ヨーグルトもたんぱく質の供給源ですが、胃腸が弱い方や乳糖不耐症の方は摂りすぎに注意が必要です。
【肝機能をサポートする】オルニチン・タウリンが豊富な食品
肝臓の健康維持のために特に注目したい栄養素として、オルニチンとタウリンも挙げられます。
オルニチンは肝機能の指標となるγ-GTPやALT(GPT)の数値改善が期待できる成分です。タウリンは胆汁酸の分泌や合成を促進して肝臓の機能を高める働きがあり、たんぱく質や脂質の消化吸収をスムーズにし、疲労回復にも寄与するとされています。
特に、しじみは他の貝類にはほとんど含まれないオルニチンが多く含まれていることから、「肝臓にいい食品」として広く知られています。また、牡蠣にはタウリンが豊富に含まれており、古くから滋養強壮に役立つ食材として重宝されてきました。
これらの貝類を日常的に摂取することで、肝機能のサポートが期待できます。
【脂肪の蓄積を防ぐ】食物繊維が多い食品
近年の研究では、食物繊維の摂取不足が脂肪肝のリスクを高める可能性が示唆されています。便秘解消の効果で知られる食物繊維ですが、実は肝臓への脂肪蓄積を防ぐ重要な働きも担っています。
特に注目したいのは、野菜・海藻類・きのこ類などの食材です。これらはビタミンやミネラルとともに食物繊維を豊富に含んでおり、肝臓の健康維持に役立つ栄養素を一度に摂取できます。
現代の食生活では、加工食品の増加などによって食物繊維の摂取量が減少傾向にあると指摘されています。そのため、サラダや煮物などの料理を通じて、これらの食材を毎日の食事に意識的にとり入れましょう。
肝臓にいい食事をとるためのポイント
肝臓の健康を維持するためには、日々の食事のとり方が重要です。単に肝臓にいい食べ物を知るだけでなく、栄養バランスや食材の選び方、食べ方にも気を配ることで、より肝機能のサポートにつながります。
以下で、具体的なポイントを見ていきましょう。
塩分・アルコールのとりすぎに注意する
日本人の食生活では、塩分の過剰摂取が大きな課題として挙げられます。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、健康な成人男性の塩分摂取目標量は1日7.5g未満、女性は6.5g未満です※1。さらに、日本高血圧学会では高血圧患者の減塩目標として、男女ともに1日6g未満を推奨しています※2。
塩分摂取を減らすためには、塩漬けの食品や加工食品、インスタント食品などの摂取頻度を減らすことが効果的です。調味料の使用を控え、香辛料や酢などで風味を加えると、減塩しながらおいしく食事を楽しめるでしょう。
また、アルコールは肝臓で処理されるため、過剰摂取は肝機能に大きな負担をかけます。厚生労働省では「節度ある適度な飲酒」として1日平均純アルコール20g程度(ビール中瓶1本または日本酒1合相当)に留めることを推奨しています※3。なお、週に1~2日は休肝日を設けて肝臓を休ませることも大切です。
※1 出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
※2 出典:特定非営利活動法人 日本高血圧学会「さあ、減塩!~減塩・栄養委員会から一般のみなさまへ~」
※3 出典:厚生労働省「アルコール」
栄養バランスを考えた食事をとる
肝臓の健康を維持するために、一部の栄養素に偏ることなく、バランスの良い食事を心がけましょう。具体的には、主食・主菜・副菜をそろえた「一汁三菜」の食事スタイルが理想的です。
なかでも特に意識したい栄養素は、良質なたんぱく質です。肉・魚・大豆製品・卵などを毎食1皿とり入れると、肝細胞の再生に必要な栄養素を効率よく摂取できます。
また、ビタミン類も肝臓の機能をサポートする重要な役割を担うため、副菜などで野菜や果物を積極的にとり入れましょう。副菜は調理後の量で握りこぶし1個分を目安にしてください。
そして、栄養バランスの観点から、主食のご飯は、男性で200~250g、女性で150~200gが1食の目安として推奨されています。極端に主食を減らしたり抜いたりすると、間食でお菓子などを食べてしまい、かえって栄養バランスが崩れる可能性があります。
ご自身の1日の活動量に見合った栄養を、朝・昼・晩の3食でバランス良く摂取できるよう、意識してください。
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肝臓にいい食べ物を使った簡単レシピ3選
本章では「AJINOMOTO PARK」掲載レシピのなかから、肝臓の健康をサポートする食材を使った、栄養バランスに優れた簡単レシピを3つご紹介します。どれも手軽につくれるため、忙しい日々のなかでも肝臓の健康を意識した食事をとり入れやすいでしょう。
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豆まめふわとろ丼

出典:味の素株式会社「AJINOMOTO PARK」
温かいご飯に納豆と絹ごし豆腐、和風だしの素をよく混ぜあわせてのせ、彩りに枝豆を散らすだけの簡単レシピです。
大豆製品に含まれる良質なたんぱく質が豊富で、肝機能をサポートする栄養素をまとめて摂取できます。包丁も火も使わずに5分以内で完成する超時短メニューのため、忙しい朝食やランチにもおすすめです。
調理時間の目安:3分
材料<1人分>
- 温かいご飯:1杯(茶碗)
- 納豆・たれつき:1パック(50g)
- 絹ごし豆腐:1/2丁(150g)
- 和風だしの素:約5g
- ゆで枝豆(さやから出したもの):10g
鶏のうま味が効いてる!水炊き

出典:味の素株式会社「AJINOMOTO PARK」
肝臓の健康をサポートする食材が豊富に入った栄養バランス抜群の鍋料理です。
水菜やねぎに含まれるビタミン類、しめじやえのきなどのきのこ類からは食物繊維、絹ごし豆腐からは良質なたんぱく質が摂取でき、肝機能維持に役立つ栄養素を一度に補給できます。
鶏がらスープのコクとうま味で、野菜もたっぷり食べられる満足感のある一品です。
調理時間の目安:30分
材料<4人分>
- 鶏もも肉:2枚(600g)
- 水菜:1/2束(100g)
- 長ねぎ:1本
- しめじ:1パック
- えのきだけ:1袋
- 絹ごし豆腐:1丁
- 【A】水:5カップ
- 【A】鶏がらスープ(顆粒):大さじ1
- 【B】酒:1/2カップ
- 【B】みりん:大さじ2
- 【B】鶏がらスープ(顆粒):大さじ1
- 【B】こしょう:少々
- 【C】ポン酢しょうゆ・好みで:適量
- 【C】大根おろし・好みで:適量
- 【C】小ねぎの小口切り・好みで:適量
牡蠣と白菜の蒸し煮

出典:味の素株式会社「AJINOMOTO PARK」
栄養価の高い牡蠣と白菜を組み合わせた蒸し煮を楽しめる簡単レシピです。牡蠣に含まれる「グリコーゲン」は肝機能をサポートする栄養素として知られています。
だしのうま味をしっかり活かした味付けで、塩分控えめながらも満足感のある味わいに仕上がります。牡蠣のミネラルや白菜のビタミンが一度に摂取できる、肝臓にやさしい一品です。
調理時間の目安:15分
材料<2人分>
- かき(むき身)・加熱用:150g
- 白菜:1/8株(250g)
- 長ねぎ:1本(100g)
- 【A】水:1/2カップ
- 【A】和風だしの素:小さじ1
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そもそも肝臓に負担を与えないためには、主食・主菜・副菜が揃った食事が基本であり、栄養バランスの整った食生活を意識することが大切です。
とはいえ、毎日の食事で栄養バランスまで考えるのは難しいと感じる方もいるでしょう。
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主食・主菜・副菜が揃った食事で、肝臓にいい食べ物を意識的にとり入れよう
肝臓の健康維持には、抗酸化作用を持つビタミン類・良質なたんぱく質・オルニチン・タウリン・食物繊維などの栄養素を積極的に摂ることが重要です。これらの栄養素をバランスよく摂取するために、日々の食事では主食・主菜・副菜をきちんと揃えることを習慣にしましょう。
例えば、豆腐や納豆などの大豆製品は良質なたんぱく質とレシチンを含み、しじみなどの貝類はオルニチンやタウリンが豊富です。きのこ類や海藻類は食物繊維やミネラルの宝庫であり、これらの食材を日常的にとり入れることで肝臓の負担を軽減しやすくなります。
塩分やアルコールの摂りすぎは肝臓に大きな負担がかかります。塩分は1日の適量を守り、アルコールを摂取する方は週に1〜2日の休肝日を設けるよう心がけてください。
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監修者
伊藤 まゆ(いとう まゆ)
M’sクリニック南麻布 院長、日本抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医
本当の美とは、心と体の健康あってこそ、という観点から、2007年開院時より、内外美容医療を提唱、実践。栄養学、予防医学、エイジングケア、美容について、多様な経験と多角的視点で取り組み、幅広い世代のサポートを行っている。