たんぱく質の一日の必要量は?食品別の摂取量目安と摂取するポイントを解説

たんぱく質の適正量を摂取したいと思っていても、実際に一日に必要な摂取量を知らない方は多いのではないでしょうか。
この記事では、たんぱく質の一日の推奨量を性別・年齢別に解説します。
また、たんぱく質を多く含む食品一覧や、たんぱく質10g、20g、30g、50gを摂取する際の主な食品の目安量、手軽に摂取するポイントも紹介するのでぜひ参考にしてください。
たんぱく質とは
たんぱく質は、動物や植物の細胞の構成に欠かせない主要な成分です。食事から摂取したたんぱく質は、アミノ酸に分解されて腸で吸収されると、様々な役割を発揮します。
たんぱく質を多く含む食品には、肉類、魚介類、卵類、大豆・大豆製品・乳類などが挙げられます。
たんぱく質の役割
たんぱく質は、筋肉・臓器・皮膚・毛髪などの体構成成分として、体の様々な組織をつくるための材料となる栄養素です。
また、ホルモンや酵素・抗体などの体調節機能成分としての役割も持ち、免疫や代謝、血圧の調整、神経機能の維持などの役割も担っています。
炭水化物、脂質とともにエネルギー源となるため、生命の維持のために欠かせない重要な栄養素のひとつです。
たんぱく質の構成
たんぱく質は、20種類のアミノ酸から構成されています。
そのうち、体内で必要量を合成できない9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」と呼び、これらは食事から摂取する必要があります。
残りの11種類のアミノ酸は「非必須アミノ酸」と呼ばれ、体内で糖質や脂質からつくりだすことができます。
たんぱく質が不足するとどうなる?
前述のとおり、たんぱく質は体をつくる重要な構成成分です。たんぱく質が不足すると、免疫機能が低下することで抵抗力が弱くなり、様々な体の不調につながりやすくなります。
また、筋力や体力も低下しやすくなりますが、特に高齢者は若い世代に比べて筋肉を合成する力が弱まるため、より多くのたんぱく質が必要です。
たんぱく質の摂取で注意したい点
たんぱく質を摂取する上で注意したいことは、主に以下が挙げられます。
- たんぱく質の過剰摂取に気を付ける
- 子どもや妊婦さんはたんぱく質の摂取量が変わる
たんぱく質の過剰摂取に気を付ける
たんぱく質は、不足だけでなく過剰摂取にも注意が必要です。
たんぱく質を過剰に摂取すると、老廃物である窒素化合物を増やして腎臓に負担がかかってしまう可能性があります。
腎臓病の人など腎機能が低下している場合は、特に注意しなければなりません。
子どもや妊婦さんはたんぱく質の摂取量が変わる
たんぱく質は体を構成するために必要不可欠な栄養素であるため、体の成長や発達が著しい子どもは特に過不足なく摂取しなければなりません。
以下の表は、1日の小児のたんぱく質推奨量を男女別、年齢別にまとめたものです。なお、0ヶ月~1歳未満には定められていません。
<1日の小児のたんぱく質推奨量>
年齢 | たんぱく質の推奨量/日 | |
---|---|---|
男性 | 女性 | |
1~2歳 | 20g | 20g |
3~5歳 | 25g | 25g |
6~7歳 | 30g | 30g |
8~9歳 | 40g | 40g |
10~11歳 | 45g | 45g |
12~14歳 | 60g | 45g |
15~17歳 | 65g | 45g |
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
また、胎児の発育も担う妊婦や、母乳に含まれるたんぱく質も必要となる授乳中の女性には、年齢区分の他に付加されています。
<1日の妊婦のたんぱく質推奨量>
時期 | たんぱく質の付加量/日 | |
---|---|---|
妊婦 | 初期 | +0g |
中期 | +5g | |
後期 | +25g | |
授乳婦 | +20g |
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
【性別・年齢別】たんぱく質の一日の推奨量
性別、年齢別に、たんぱく質の一日の推奨量を以下の表にまとめました。
なお、日本人の食事摂取基準(2020年版)における「推奨量」とは、「ほとんどの人が必要量を満たす量」と定義されています。
あくまで目安であり、必要なたんぱく質量には個人差があることも理解した上で参考にしましょう。
<たんぱく質の一日の推奨量>
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
6~7歳 | 30g | 30g |
8~9歳 | 40g | 40g |
10~11歳 | 45g | 45g |
12~14歳 | 60g | 45g |
15~17歳 | 65g | 45g |
18~64歳 | 65g | 40g |
65歳以上 | 60g | 40g |
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
たんぱく質を含む食品
主な食品の100gあたりに含まれるたんぱく質量と目安重量を、食品群ごとに紹介します。
<肉類>
食品名 | 100gあたりに含まれるたんぱく質量 | 目安重量 |
---|---|---|
鶏ささみ(にわとり、若どり、生) | 23.9g | 1枚:40g |
鶏むね(若どり、生、皮つき) | 21.3g | 1枚:250~300g |
鶏もも肉(若どり、生、皮なし) | 19.0g | 1枚:250g |
豚ロース(大型種肉、赤身、生) | 22.7g | 1枚:200g |
豚もも(大型種肉、赤身、生) | 22.1g | 1枚:200g |
牛もも(交雑牛肉、赤身、生) | 19.3g | 1枚:200g |
<魚介類>
食品名 | 100gあたりに含まれるたんぱく質量 | 目安重量 |
---|---|---|
春獲りかつお(生) | 25.8g | 1柵:250g |
しらす干し(半乾燥品) | 40.5g | 1尾:11g |
ぶり(成魚、生) | 21.4g | 1切:80g |
ごまさば(生) | 23.0g | 1切:100g |
焼き竹輪 | 13.2g | 大1本:70g |
かつお節(加工品) | 77.1g | 1食分:2.5g |
<卵類>
食品名 | 100gあたりに含まれるたんぱく質量 | 目安重量 |
---|---|---|
鶏卵(全卵、生) | 12.2g | Mサイズ1個:60g |
鶏卵(全卵、ゆで) | 12.5g | Mサイズ1個:69g |
うずら卵(全卵、生) | 12.6g | 1個:10~12g |
鶏卵(卵黄、生) | 16.5g | 1個:16g |
鶏卵(卵白、生) | 10.1g | 1個:35g |
<大豆・大豆製品>
食品名 | 100gあたりに含まれるたんぱく質量 | 目安重量 |
---|---|---|
木綿豆腐 | 7.0g | 1丁:300g~400g |
絹ごし豆腐 | 5.3g | 1丁:300g~400g |
油揚げ(生) | 23.4g | 1枚:20~30g |
挽きわり納豆 | 16.6g | 1個:30~50g |
おから(生) | 6.1g | 1カップ:100g |
豆乳 | 3.6g | コップ1杯:200g |
<牛乳・乳製品>
食品名 | 100gあたりに含まれるたんぱく質量 | 目安重量 |
---|---|---|
ナチュラルチーズ パルメザン | 44.0g | 大さじ1:6g |
プロセスチーズ | 22.7g | スライス1枚:18g |
ヨーグルト 全脂無糖 | 3.6g | 1カップ:210g |
普通牛乳 | 3.3g | コップ1杯:200g |
加工乳(低脂肪) | 3.8g | コップ1杯:200g |
<野菜>
食品名 | 100gあたりに含まれるたんぱく質量 | 目安重量 |
---|---|---|
えだまめ(ゆで) | 11.5g | 10さや:50g |
そら豆(生) | 10.9g | 5粒:30g |
モロヘイヤ(茎葉、生) | 4.8g | 1袋:100g |
だいずもやし(生) | 3.6g | 1袋:250g |
たけのこ(若茎・ゆで) | 3.5g | 水煮1個:200g |
<穀類>
食品名 | 100gあたりに含まれるたんぱく質量 | 目安重量 |
---|---|---|
角形食パン | 8.9g | 1枚:60g |
ロールパン | 10.1g | 1個:30g |
マカロニ・スパゲッティ(ゆで) | 5.8g | 乾1人分:80g |
そば(ゆで) | 4.8g | 1玉:170g |
うどん(ゆで) | 2.6g | 1玉:170g |
精白米(水稲めし、うるち米) | 2.5g | 小盛り1杯:100g |
出典:文部科学省「食品成分データベース」
たんぱく質10g、20g、30g、50gを摂取するには?
たんぱく質を適正量摂取するには、どの食品にどのくらいのたんぱく質が含まれているかも知っておきましょう。
以下の表では、たんぱく質10g、20g、30g、50gを摂取するための目安をそれぞれ紹介しています。
食品名 | 重量の目安 | たんぱく質10g | たんぱく質20g | たんぱく質30g | たんぱく質50g | |
---|---|---|---|---|---|---|
肉類 | 鶏ささみ | 1本約40g | 1本 | 2本 | 3本 | 5本 |
鶏むね肉 | 1枚約250g | 1/5枚 | 2/5枚 | 3/5枚 | 1枚 | |
鶏もも肉 | 1枚約250g | 1/4枚 | 1/2枚 | 3/4枚 | 1枚 | |
ウインナー | 1本約40g | 2本 | 4本 | 6本 | 10本 | |
魚介類 | まぐろ | 刺身1人前約90~100g | 刺身1/2人前 | 刺身1人前 | 刺身1・1/2人前 | 刺身2・1/2人前 |
さば | 切身1切約80g | 1/2切 | 1切 | 1・1/2切 | 2・1/2切 | |
あじ | 1尾約180g | 1/4尾 | 1/2尾 | 3/4尾 | 1・1/2尾 | |
しらす | 大さじ1(約6g) | 大さじ6杯 | 大さじ12杯 | 大さじ18杯 | 大さじ30杯 | |
ツナ缶油漬 | 1缶70g | 1缶 | 2缶 | 3缶 | 5缶 | |
卵類 | 鶏卵、全卵 | M1個約60g | M1個 | M2個 | M3個 | M5個 |
牛乳・乳製品 | 牛乳 | コップ1杯約200g | コップ1・1/2杯 | コップ3杯 | コップ4・1/2杯 | コップ7・1/2杯 |
ヨーグルト | 1カップ約100g | カップ3個 | カップ6個 | カップ9個 | カップ15個 | |
大豆・大豆製品 | 糸引き納豆 | 1パック約50g | 1パック | 2パック | 3パッㇰ | 5パック |
もめん豆腐 | 1丁約300g | 1/2丁 | 1丁 | 1・1/2丁 | 2・1/2丁 | |
絹豆腐 | 1丁約300g | 1/2丁 | 1丁 | 3丁 | 2・1/2丁 | |
穀類 | ご飯 | 茶碗1杯約150g | 茶碗2・1/2杯 | 茶碗5杯 | 茶碗3杯 | 茶碗12・1/2杯 |
食パン | 6枚切1枚60g | 6枚切2枚 | 6枚切4枚 | 6枚切6枚 | 6枚切10枚 |
出典:文部科学省「食品成分データベース」
表では各食品100gあたりに含まれるたんぱく質量を記していますが、食品によって一度に食べる量が異なることも考慮して献立を立てる必要があります。
例えば、「しらす」のみでたんぱく質20gを摂取しようとすると、大量のしらすを食べなければ満たせず、塩分も同時に大量に摂取してしまいます。
そのため、一食で20gのたんぱく質を摂取したい場合、「鶏のささみ1本」と「卵Mサイズ1個」をあわせて摂取するなど、複数の食品を組みあわせて食べることがおすすめです。
また、たんぱく質のみに着目するのではなく、幅広い食品を取り入れると、他の栄養素も摂取でき、栄養バランスが整いやすくなります。
たんぱく質の一日の推奨量を摂取するポイント

たんぱく質の一日の推奨量を摂取するためのポイントを以下で紹介します。
- 自分に必要なたんぱく質量を把握する
- 一日三食しっかり食べる
- 間食にはたんぱく質を多く含む食品を選ぶ
- 手軽にたんぱく質が摂取できる食品を活用する
自分に必要なたんぱく質量を把握する
まずは自分に必要なたんぱく質量を把握しましょう。
年齢別や性別の一日の推奨量と、食品ごとに含まれるたんぱく質量を見比べながら、推奨量に近づけられると良いです。
一日三食しっかり食べる
一日のうち一食でも欠くと、その分エネルギーやたんぱく質など一日に必要な栄養素が不足しやすくなります。
また、たんぱく質は一度に吸収できる量(40~50g)が決まっているため、一食で一日に必要な量のたんぱく質を摂取しても全てのたんぱく質を活用できない場合もあります。
そのため、まずは一日三食しっかり食べることを基本とし、栄養バランスを考えながら毎食たんぱく質を摂取することを意識しましょう。
間食にはたんぱく質を多く含む食品を選ぶ
前述のとおり、一日三食しっかり食べることが基本ですが、もともと一食の食事量が少ない人や毎食のたんぱく質摂取量が足りていないと感じている人は、間食にたんぱく質を多く含む食品を選ぶのもポイントです。
例えば、魚肉ソーセージやチーズを使った食品、ゆで卵、ヨーグルトなどがおすすめです。
手軽にたんぱく質が摂取できる食品を活用する
たんぱく質を意識した献立づくりが負担に感じる場合は、手軽にたんぱく質が摂取できる工夫やコツを知っておきましょう。
<たんぱく質の摂取量を増やすひと工夫>
- 缶詰や乾物を上手に利用する
- みそ汁に肉類や豆腐、油揚げなどたんぱく質を多く含む食品を加える
- コーヒーには牛乳や豆乳を加えて飲む
- 牛乳を飲む際はきな粉を加えたきな粉牛乳を飲む
手軽に活用できる缶詰や乾物には、冷凍枝豆や豆腐、高野豆腐、焼き鳥缶、ツナ缶、サバ缶、煮豆缶、チーズ、温泉卵、卵豆腐などが挙げられます。
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ここまで読んで、たんぱく質の必要量や栄養バランスの整った食事が大切なのはわかったものの、一食一食ちゃんと考えるのは難しいと感じた方もいるかもしれません。
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たんぱく質の一日の推奨量を知ってしっかり食べよう
たんぱく質の一日の推奨量は、性別・年齢別で異なります。過不足なく適正量のたんぱく質を摂取するには、まずは自分が一日にどれくらいの量が必要であるかを把握しましょう。
この記事で紹介した、たんぱく質を多く含む食品や摂取量の目安、摂取するポイントなどをぜひ参考にし、過不足なくしっかりたんぱく質を摂取しましょう。
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