PRESS RELEASE

二酸化炭素を栄養源とした微生物たんぱく質※1「Solein®」の活用
味の素㈱とSolar Foods社が戦略的提携で合意

~2024年度よりシンガポールでの市場性検証開始~

※1)微生物によって生成される、たんぱく質を主成分とする食品用途の素材

 味の素株式会社(社長:藤江 太郎 本社:東京都中央区)はこの度、二酸化炭素を栄養源として生成される微生物たんぱく質「Solein®」を開発し、シンガポールでの販売許可を取得したSolar Foods社(CEO:Pasi Vainikka、本社:フィンランド エスポ―市)と、戦略的提携に関する基本合意書を締結しました。これにより当社はSolar Foods社と協業し、「Solein®」を使用した商品開発およびシンガポールでの市場性検証を2024年度より開始します。

 味の素グループは、「アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献する」を志(パーパス)として掲げ、「フード&ウェルネス」「ヘルスケア」「ICT」「グリーン」を成長領域としてリソースを集中させています。グリーンフード事業では、気候変動や人口増加による食料不足が進む中で、環境負荷の低い食材を生活者に提供できるよう、発酵技術、セルバイオ技術、おいしさ設計技術®、現地適合したマーケティング力などの強みを生かし、サステナブルかつおいしくてヘルシーな新たな食材の開発およびフードシステムの共創を進めています。併せて、食材自体のおいしさ・栄養・食感などをデザインする技術を磨き、食文化を未来に繋ぐだけでなく、多様化する生活者のライフスタイル・嗜好や価値観の変化に対応しながら、新たな食の可能性を切り拓いていきます。


「Solein®
(画像出典:https://www.solein.com)

 一方、2017年12月に設立されたSolar Foods社は、「世界の食料生産に革命を起こす」をミッションとして掲げるフィンランドのフードテック企業であり、二酸化炭素(CO2)、水素、酸素、少量の栄養素を微生物に供給する独自のバイオプロセスによって、微生物たんぱく質「Solein®」を開発しました。通常、微生物がたんぱく質を生成するために発酵する際の栄養源としては糖類などが使われますが、「Solein®」生成に当たってはCO2を使用します。天候や土地の有無に左右されず、天然資源にも依存せず、再生可能エネルギーを使用して製造するため、持続可能で環境負荷の低い食材であると評価されています。「Solein®」の成分は65~70%がたんぱく質、10~15%が食物繊維、5~8%が脂質、3~5%がミネラルで、必須アミノ酸を全て含む栄養価の高さが特長です。2022年10月にはシンガポールでノベルフード※2として食品としての販売許可を取得、食料安全保障の観点からも同政府から期待されています。
 なおSolar Foods社は、同社初となる「Solein®」の生産工場をフィンランドに建設中であり、2024年の完工以降商業生産を開始する予定です。

※2) ノベルフード:1997年に欧州連合(EU)が提唱した概念で、これまで人間が食用として摂取してこなかった新しい食品や食品原料を指す。

 両社が目指すビジョンは一致しており、双方の強みを生かして協力し合うことにより「Solein®」を使用した商品展開が加速できると判断し、今回の合意に至りました。「Solein®」の商業生産を開始する2024年の工場完工以降、販売許可を取得しているシンガポールでの商品開発および市場性検証を行います。また、今後数年間シンガポール以外の国・地域での販売許可取得に向け協力し合い、人と地球が共に繁栄する“with Earth”社会の実現に向けた持続的なフードシステムの構築を図っていきます。

参 考
■Solar Foods社の概要
(1) 会社名 Solar Foods Ltd.
(2) 所在地 フィンランド エスポ―市
(3) 設立時期 2017年
(4) 代表者 Pasi Vainikka
(5) 事業内容 二酸化炭素を栄養源とした微生物たんぱく質「Solein®」の製造・販売
(6) 従業員数 35名
(7) WEBサイト:https://solarfoods.com/