PRESS RELEASE

~CO2排出量削減推進とコスト低減を目的に約57億円を投資~

味の素㈱、タイのカンペンペット工場に
バイオマスコジェネレーションシステムを導入

 味の素株式会社(社長:藤江 太郎 本社:東京都中央区)は、うま味調味料「味の素®」や核酸などを生産するタイの基幹工場(タイ味の素社カンペンペット工場、所在地:タイ国カンペンペット県)において、15億バーツ(約57億円)を投じ、再生可能エネルギー※1であるもみ殻を燃料とするバイオマスコジェネレーションシステム※2を導入します。2020年8月に着工、2022年9月19日(現地時間)のオープニングセレモニーより本格稼働を開始しました。工場で使用する全ての蒸気をバイオマス由来の蒸気に置き換え、同時に蒸気タービンで発電を行い、購入電力の一部を自家発電に切り替えることで、CO2排出量削減を推進するとともにエネルギーコストの低減を実現します。
 ★1バーツ=3.79円(2022年8月末レート)


タイ味の素社 カンペンペット工場

 当社グループ全体のCO2排出量(スコープ1、2※3)の内、4分の3を海外工場からの排出量が占めています。特に、経済成長が著しく、今後も事業成長が見込まれる東南アジアでのCO2排出量の増加抑制は、当社グループにとって重要な課題です。今回のバイオマスコジェネレーションシステム導入により、1年間に排出する当社グループ全体のCO2排出量の2%相当が削減されます。また、同システムの導入により、カンペンペット工場で使用する電気の40%を自家発電する予定で、今後予想される購入電力価格の高騰リスクを緩和し、停電時の機会損失リスクを低減することが可能になります。

 カンペンペット県は、世界有数の米生産国であるタイの中心的な穀倉地帯にあり、多くの精米所で燃料であるもみ殻が大量に発生するため、安定的な調達が可能と判断しました。タイ味の素社は、アユタヤ県のアユタヤ工場でも、もみ殻を燃料とするバイオマスコジェネレーションシステムを2016年より稼働させており、本システムの導入はタイにおいて2工場目です。さらに同社では、現在石炭を使用しているパトムタニ県のパトムタニ工場のコジェネレーションシステムの燃料を、2022年度中にバイオマス燃料に全面的に転換する予定です。これによりタイ味の素社の2023年度のCO2排出量は2018年度比50%以下となり、2030年までにCO2排出量50%削減という当社グループが設定した目標を、計画より大幅に繰り上げて達成する見込みです。

 味の素グループでは、ベトナム、ブラジル、フランスでもバイオマス燃料の使用実績があります。今後も、過去から蓄積してきた各国でのバイオマス燃料利用技術について積極的拡大を進め、地球環境に配慮した生産活動を継続していきます。

※1) 再生可能エネルギー:バイオマス(もみ殻)燃料は、植物の成長過程でCO2を吸収するため、燃やしてもCO2排出量をゼロ(カーボンニュートラル)とみなされ、それから得られるエネルギーは「再生可能エネルギー」と位置付けられる。
※2) バイオマスコジェネレーションシステム:熱源より、電力と熱(蒸気)を生産し供給するシステムの総称であり、国内では「コジェネ」あるいは「熱電併給」、海外では、“Combined Heat & Power”あるいは“Cogeneration”等と呼ばれる。
※3) スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)、スコープ2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出(出典:環境省 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム:サプライチェーン排出量算定をはじめる方へ)

<タイ味の素社カンペンペット工場の概要>
(1) 所在地 タイ国カンペンペット県
(2) 稼働開始 1998年4月
(3) 生産品目 うま味調味料「味の素®」、核酸系調味料
(4) 生産能力 63,000トン
(5) 従業員数 約350名
(6) 敷地面積 180ha

<バイオマスコジェネレーションシステムの概要>
(1) ボイラー 1基、蒸気供給能力は1時間当たり85トン
(2) 燃料 もみ殻(マルチ燃料対応)
(3) 発電機 1基、9,900キロワット