• mixiチェック
2017年11月29日
~開発初期から後期・上市に至る受託開発・生産体制の強化~
味の素(株)、核酸医薬品原料の開発・生産拠点を新設
国内初の大型生産設備を導入


 味の素株式会社(社長:西井孝明 本社:東京都中央区)の連結子会社である株式会社ジーンデザイン(社長:湯山和彦 本社:大阪府茨木市、以下「ジーンデザイン社」)は、核酸医薬品※1原料(オリゴ核酸※2)の開発・生産拠点を大阪府茨木市にある同社研究所の敷地内に新設します。オリゴ核酸の生産拠点としては国内最大規模となるもので、同社のオリゴ核酸の生産能力を大幅に増強します。

 核酸医薬品は、これまで治療が困難だった疾患にも適用できるよう開発が進められていることから、国内外において大きな市場成長が期待されています。また、製薬業界では医薬品の製造技術の高度化に伴い、バイオ医薬品等の製法開発や製造において専門性の高い受託製造会社への依存度が高くなっています。近年、臨床研究段階の開発品数が大幅に増加しており、オリゴ核酸の受託製造市場は2020年に600億円(2015年比約3倍)の規模に拡大すると予測されています(出典:2015年シード・プランニング社)。

 ジーンデザイン社は2000年に創業した国内有数のオリゴ核酸の開発・製造受託会社(CDMO)※3です。2017年4月に当社がジーンデザイン社を連結子会社化したことにより、同社の固相合成法によるオリゴ核酸の少量多品種生産(開発初期)から、当社の液相合成法(「AJIPHASE®※4技術)による大量生産(開発後期・上市後)まで、一貫したオリゴ核酸の開発・製造受託が可能になります。

 今回の新拠点の設立により、日本で初めて1ロット当たりの生産量がキログラム(kg)単位に拡大することから、ジーンデザイン社のオリゴ核酸の生産能力は現状の約100倍に増強されます。同社の生産能力と当社の持つ大量生産技術(「AJIPHASE®」技術)との組み合わせにより、従前のマイクログラム(μg)から100kg超のフレキシブル且つシームレスな供給体制が構築されます。今後、製薬会社や研究機関等のユーザーの要望に幅広く対応することで、2025年までにオリゴ核酸受託製造における世界トップを目指します。

 当社は2017-2019中期経営計画において、アミノサイエンス事業のスペシャリティを確立し、新たな事業の柱を構築することで事業ポートフォリオを拡張することを重点戦略に掲げています。オリゴ核酸の開発・製造受託事業を含む先端バイオ医療周辺領域において事業拡大を図るとともに、生活者の健康な生活の実現を目指します。


<新拠点の概要>
(1) 核酸医薬API開発センター
(2) 所在 大阪府茨木市
(3) 投資 非公開
(4) 生産能力 年間数十kg
(5) 2018年2月(予定)
(6) 稼働開始 2019年2月(予定)





参 考

■(株)ジーンデザインの概要
(1) 英文会社名 GeneDesign, Inc.
(2) 所在 大阪府茨木市
(3) 設立時 2000年12月(2017年4月より当社の連結子会社)
(4) 代表 社長 湯山 和彦(ゆやま かずひこ)(創業者)
(5) 従業員 85名(2017年11月現在)
(6) 事業内 オリゴ核酸・核酸医薬材料・核酸関連化合物の受託開発・製造事業、その他合成装置等の
販売等
(7) 株主構 味の素(株)95%、味の素オムニケム社(味の素(株)100%子会社)5%

用語説明

※1 核酸医薬品
遺伝子の本体であるDNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)を薬効成分とする医薬品。核酸成分の4種類の塩基あるいはその誘導体を疾患標的に対して有用な機能を持つように設計し、数個~百数十個の核酸成分を化学合成法により直鎖状につなげたもの (=オリゴ核酸)を主成分とする医薬品。これまでの低分子医薬や抗体医薬が標的とすることができない遺伝子に直接作用することが特徴であり、標的や作用機序が明確で特異性も高いことから、副作用が少ない次世代の医薬品として期待されている。

※2 オリゴ核酸
核酸医薬の主成分であり、数個~百数十個の核酸成分を化学合成法により直鎖状につなげたもの。

※3 開発・製造受託会社(CDMO=Contract Development & Manufacturing Organization)
製薬企業等から、医薬品の製法開発および前臨床・治験・商業段階までの製造を受託することを主たる事業として展開している企業。

※4 「AJIPHASE®
当社が開発に成功した「液相合成法」を用いた核酸やペプチドのCDMO事業。液相合成法は、一般的な合成法「固相合成法」に比べて大量生産に優れている。


左図は固相合成法の模式図、右図は液相合成法である「AJIPHASE®」技術の模式図。通常、オリゴ核酸やペプチドの製造は、高分子ビーズ(Resin)等の固相表面に核酸(またはアミノ酸)を順次結合伸長させていく固相合成法が用いられている。一方、液相合成法(「AJIPHASE®」技術)においては、固相合成法における高分子ビーズにかえて、有機溶媒によく溶ける保護基(Anchor)を用いる。Anchorを用いることで、オリゴ鎖 (オリゴ核酸、ペプチド)が延びても均一溶液として存在するので、合成の高効率化に優れているだけでなく、Anchorの性質を利用した単離・精製を可能にし、製品の高純度化に優れている。液相合成法(「AJIPHASE®」技術)は固相合成法で必要な特殊な設備が不要で大量生産に適している。一方で、固相合成法は少量多品種の生産に適している。
報道関係の方向けお問い合わせ先はこちら
閉じる