2017年6月9日
![]() 臨床研究用iPS/ES細胞用培地
「StemFit®」AK03N
味の素株式会社(社長:西井孝明 本社:東京都中央区)は、セルアンドジーンセラピー・カタパルト(CEO:キース・トンプソン 本社:英国 ロンドン市)が実施したiPS細胞の培養における培地性能比較の結果、当社の再生医療の臨床研究用培地「StemFit®」AK03Nが他社製品と比較して優れた細胞増殖性能を示したことを確認しました。当社は、今後も世界最高クラスの性能を備えた製品を国内外に提供していくことで、再生医療の早期実現化に貢献します。
再生医療研究は、その臨床応用や実用化に向けて最も研究が盛んで大きな進展のみられる研究領域の一つです。再生医療に関連する装置類や消耗品類、サービス類等の周辺産業の将来市場規模は、2012年時点で全世界で2,400億円、その約半分を米国が占めています。2050年には15兆円にまで成長すると見込まれています(2013年、経済産業省)。
当社は、2017-2019中期経営計画の中で、新たな事業の柱の構築による
アミノサイエンス事業のポートフォリオ拡張を重点戦略に掲げ、新たな成長ドライバーとして培地・培地関連素材等の先端バイオ医療周辺領域事業の立ち上げに取り組んでいます。2014年に京都大学iPS細胞研究所と共同で開発に成功した「StemFit®」AK03を前身に、2016年より臨床研究用培地「StemFit®」AK03Nを国内に広く販売しています。「StemFit®」AK03Nは、バイオ技術で作成したリコンビナントタンパク質を利用することにより、動物やヒトに由来する成分を全く含まず、精製された成分のみで構成された国内で臨床研究に用いることが認められた培地です。
セルアンドジーンセラピー・カタパルトは、英国における細胞療法および遺伝子治療分野の研究の実用化を促進し、同分野の事業を前進させるために設立された、世界的に権威のある独立の研究機関です。iPS細胞を用いた再生医療の実現化に向け、費用対効果の高い細胞培養系の開発に取り組んでいます。本試験では、iPS細胞を異なった組成の他社培地と比較培養することで、最適な培地の選抜を実施しました。その結果、「StemFit®」AK03Nを用いて培養されたiPS細胞は、高い細胞増殖性能に加え、遺伝子発現の均一性、染色体異常がない点等、他社4製品を用いて培養されたiPS細胞と比較して優れた特性を示しました。
当社は、グローバル市場向けの臨床研究用培地の開発を進めており、今後世界各国において「StemFit®」
シリーズを展開する予定です。
味の素グループは、iPS/ES細胞の培養に用いる「StemFit®」培地の販売を通じて、再生医療の実現や新しい医薬品の開発に寄与し、人類の健康な生活の実現に貢献します。
参 考
■製品の概要
■セルアンドジーンセラピー・カタパルトの概要
■2017年6月8日付(現地時間)セルアンドジーンセラピー・カタパルトのプレスリリース
「Cell and Gene Therapy (CGT) Catapult Licenses Cell Culture Data to Ajinomoto Co.,Inc.」
https://ct.catapult.org.uk/news-media/general-news/press-release-cell-and-gene-therapy-catapult-licenses-cell-culture-data 用語説明
iPS細胞:
人間の体の細胞に、数種の因子を導入することで誘導される人工多能性幹細胞 (induced pluripotent stem cell:iPS細胞)。様々な組織や臓器の細胞に分化する能力(pluripotency)とほぼ無限に増殖する能力を合わせ持つ。
ES細胞:
「Embryonic Stem Cell」の略で「胚性幹細胞」のこと。人間の胚の内部細胞塊を用いて作られた幹細胞で、体を構成する様々な組織や臓器の細胞へと分化する能力を持つ。
リコンビナントタンパク質:
バイオ技術により、微生物や酵母等を用いて作り出したタンパク質のこと。バイオ医薬品として、がんやリウマチの治療薬など広く用いられている。
遺伝子発現の均一性:
細胞の性質の指標である遺伝子発現が均一であり、培養中に細胞の性質が変化しにくいことを示唆する状態。
培養中にiPS細胞の性質が変化してしまうことは、再生医療の実現に向けての大きな課題とされ、細胞の性質が安定となる質の高い培養系が求められている。
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