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2016年12月09日
味の素グループ、核酸医薬品の製造受託会社
(株)ジーンデザインの全株式を取得
~同社の経営資源を活用し、オリゴ核酸の受託事業の拡大を加速~

 味の素株式会社(社長:西井孝明 本社:東京都中央区)およびその連結子会社である味の素オムニケム社(社長:ピーター・スタイク 本社:ベルギー王国 ウェッテレン、以下「オムニケム社」)は、本日、国内有数の核酸医薬品の開発・製造受託会社(CDMO)※1株式会社ジーンデザイン(社長:湯山和彦 本社:大阪府茨木市)の発行済みの全株式を取得することについて合意し、株式売買契約を締結しました。本株式取得により、当社グループのオリゴ核酸製造技術、医薬品の製造機能・ノウハウおよび(株)ジーンデザインの持つ経営資源との相乗効果で、成長著しい核酸医薬品※2のCDMO分野での事業拡大を加速します。

 核酸医薬品は、これまで治療が困難だった疾患への適用にも開発が進められていることから、国内外において大きな市場成長が期待されています。当社は、本市場のニーズに応えるべく、これまでに培ってきた合成技術を応用し、「液相合成法」(オリゴ核酸の一般的な合成法「固相合成法」に比べて大量生産に適している)をベースとしたオリゴ核酸の製造法を開発し、CDMO事業(「AJIPHASE®※3)を推進してきました。

 (株)ジーンデザインは、2000年に創業し、現在、受託開発・製造事業を手掛ける、国内有数のオリゴ核酸のCDMOです。同社は核酸医薬品の製造に必要とされている固相合成法に関連する高度な技術や、厳格な品質管理・ノウハウを有していることから、国内の製薬メーカーや研究機関など幅広い顧客から高い評価を得ています。今回の買収により、当社独自の大量生産に優れた液相合成法およびオムニケム社の持つ医薬品の製造機能やノウハウに、(株)ジーンデザインが持つ少量多品種の生産に優れた固相合成法、経験豊かな人財、cGMP※4に準拠した製造機能を組み合わせることで、開発初期(固相合成による少量多品種の供給)から後期・上市後(液相合成による大量供給)に至るまでのオリゴ核酸の受託開発・製造事業が可能な体制を構築します。また安定的かつ高収益なCDMO事業を構築し、バイオ先端医療分野※5における事業を強化・推進することで人類の健康な生活に貢献します。



 当社およびオムニケム社は12月下旬に(株)ジーンデザインの全株式を取得する予定です。なお、2016年度当社業績への影響は軽微です。


参 考

(株)ジーンデザインの概要
(1) 英文会社 GeneDesign, Inc.
(2) 所在 大阪府茨木市
(3) 設立時 2000年12月
(4) 代表 社長 湯山 和彦(ゆやま かずひこ)(創業者)
(5) 従業員 約75名(2016年11月現在)
(6) 事業内 オリゴ核酸・核酸医薬材料・核酸関連化合物の受託開発・製造事業、
その他合成装置等の販売等
(7) 株主構 湯山 和彦 38.8%、個人株主等 61.2%
(8) ホームペー https://www.genedesign.jp/

味の素オムニケム社の概要
(1) 英文会社 S.A. Ajinomoto OmniChem N.V.
(2) 所在 ベルギー王国 ウェッテレン
(3) 設立時 1778年 (1989年より味の素グループ)
(4) 代表 社長 ピーター・スタイク(Peter Stuyck)
(5) 従業員 677名(2016年7月現在)
(6) 事業内 医薬中間体、原薬の製造・販売
(7) 資本 21百万ユーロ(約24億円)
(8) 株主構 味の素(株) 100%
(9) ホームペー https://www.ajinomoto-omnichem.com/

株式取得後の株主構成
(1) 株主構 味の素(株) 95%、味の素オムニケム社 5%
(2) 株式取得日 2016年12月下旬(予定)


用語説明

※1: 開発・製造受託会社(CDMO=Contract Development & Manufacturing Organization)
製薬企業等から、医薬品の製法開発および前臨床・治験・商業段階までの製造を受託することを主たる事業として展開している企業。

※2: 核酸医薬品
遺伝子の本体であるDNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)を薬効成分とする医薬品。核酸成分の4種類の塩基あるいはその誘導体を疾患標的に対して有用な機能を持つように設計し、数個~百数十個の核酸成分を化学合成法により直鎖状につなげたもの(=オリゴ核酸)。これまでの低分子医薬や抗体医薬が標的とすることができない遺伝子に直接作用することが特徴であり、標的や作用機序が明確で特異性も高いことから、副作用が少ない次世代の医薬品として期待されている。

※3: 「AJIPHASE®
当社が開発に成功した「液相合成法」を用いた核酸やペプチドのCDMO事業。液相合成法は、一般的な合成法「固相合成法」に比べて大量生産に優れている。


左図は固相合成法の模式図、右図は液相合成法の模式図。通常、オリゴ核酸やペプチドの製造は、高分子ビーズ(Resin)等の固相表面に核酸(またはアミノ酸)鎖を順次結合伸長させていく固相合成法が用いられている。一方、液相合成法においては、固相合成法における高分子ビーズにかえて、有機溶媒によく溶ける保護基(Anchor)を用いる。Anchorを用いることで、オリゴ鎖(オリゴ核酸、ペプチド)が延びても均一溶液として存在するので、合成の高効率化に優れているだけでなく、Anchorの性質を利用した単離・精製を可能にし、製品の高純度化に優れている。液相合成法は固相合成法で必要な特殊な設備が不要で大量生産に適している。一方で、固相合成法は少量多品種の生産に適している。

※4: cGMP
current Good Manufacturing Practice(医薬品等の製造管理及び品質管理の基準)の略。米国のFDA(Food and Drug Administration、米国食品医薬品局)の医薬品等の製造、試験に適用される品質管理システムのこと。

※5: バイオ先端医療分野
当社がアミノ酸・核酸・タンパク質関連技術で貢献できる市場領域。具体的には当社独自の「AJIPHASE®」や、動物細胞用の無血清培地技術によるバイオ医薬品や再生医療等の関連事業分野。

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