2012年11月8日
味の素KK独自配合素材「アラニン・プロリン高配合糖質混合物」の
運動時の持久力向上効果を確認
〜血糖値と肝グリコーゲンを維持することで持久系スポーツのパフォーマンスを向上〜
 味の素株式会社(社長:伊藤雅俊 本社:東京都中央区)は、当社独自配合のアミノ酸素材である、「アラニン・プロリン高配合糖質混合物」を運動時に摂取した際に、長時間、血糖値と肝グリコーゲンを維持することで、持久力を向上することを、当社における研究、および公益財団法人日本サッカー協会(JFA)との共同研究により明らかにしました。これらの研究成果は、2012年9月に開催された第67回日本体力医学会で発表されました。

【「アラニン・プロリン高配合糖質混合物」について】
 「アラニン・プロリン高配合糖質混合物」は、体内でエネルギー源となる糖の産生に関与する糖原性
アミノ酸(※1)であるアラニン(※2)とプロリン(※3)を高配合し、糖と組み合わせた当社独自配合のアミノ酸素材です。
 長時間にわたって行うマラソンやサッカーなどの持久系スポーツでは、後半や終盤でのスタミナ切れや、いわゆる「バテ」を感じる主な原因として血糖値の低下があげられ、競技におけるパフォーマンスや成績に影響を与えることが課題とされています。このことから、血糖値を維持することの重要性や糖の摂取の必要性が指摘されていますが、これらのスポーツでは栄養摂取のタイミングが限られており、一度の摂取でより効果が持続できる素材が求められています。また、グリコーゲンは、体内に貯蔵することができ、必要な際に取り出して使えるエネルギー源であり、持久系スポーツの実施において、重要な役割を果たしています。
 当社では、こうした課題に対して、これまで、運動前に、糖とアラニン、または、糖とプロリンを併用することにより、糖のみを摂取する場合と比較して、急激な血糖値の上昇を抑えつつ、さらに、長時間の運動後の血糖値や肝グリコーゲン(※4)の量の低下を抑制することを明らかにしてきました。
 今回、アラニンとプロリンを組み合わせ、糖を配合した「アラニン・プロリン高配合糖質混合物」素材を運動時に摂取することにより、競技におけるパフォーマンスが向上する成果を確認しました。

【今回の研究内容】
 今回の研究では、「アラニン・プロリン高配合糖質混合物」の、運動時の持久力向上効果を確認することを目的として、動物およびヒトにおける評価試験を実施しました。(第67回日本体力医学会にて発表)
1.動物投与試験
  1)血糖値と肝グリコーゲンに対する影響:
 マウスに糖とアラニン・プロリンを同時
投与、もしくは糖のみを投与し、15分後
から走行運動を継続して負荷しました。30
分後、65分後、100分後、135分後、
170分後に血糖値を測定した結果、同混合
物摂取群では、糖のみ投与群に比べ、運動
開始100分後以降、血糖値の低下が明らか
に抑制されました。


「アラニン・プロリン高配合等質混合物」投与群では、
糖のみ投与群に比べ、運動開始100分後以降、
血糖値の低下を明らかに抑制した。
 

  また、肝グリコーゲンの蓄積量を測定した場合、
運動開始60分後において同混合物摂取群にて
明らかに高い数値を示しました。




「アラニン・プロリン高配合糖質混合物」投与群は
運動開始60分後に、糖のみ投与群に比べて
肝グリコーゲン量で高い数値を示した。
 

  2)持久力に対する影響:
 マウスに「アラニン・プロリン高配合糖質混合物」、もしくは糖のみを投与し、15分後より走行運動を継続して負荷しました。1時間一定速度で走行させた後、走行速度を漸次上げていった場合、同混合物摂取群では、疲労により運動が困難になるまでの時間と距離が明らかに延長しました。

 
糖とアラニン・プロリン同時投与群では、
糖のみ投与群に比べ、走行可能時間と
距離は明らかに向上した。


2.ヒト摂取試験(JFAとの共同研究):
 男子大学生サッカー部員20名に、「アラニン・プロリン高配合糖質混合物」、もしくプラセボ食品(※5)を摂取させ、サッカーゲーム形式の運動負荷をかけた後、Yo−Yoテスト(※6)(スピード持久力評価法)を行い、走行距離総数を測定しました。また、運動後に疲労感についてのアンケート調査も行いました。
 その結果、両群間にサッカー形式の運動負荷時の走行距離には差がなかったにも関わらず、「アラニン・プロリン高配合糖質混合物」摂取群はプラセボ食品摂取群に比べて、疲労により運動の継続が困難になるまでの総走行距離が110m長くなりました。また、アンケートにおいても、「疲労感がやや軽減した」と回答した被験者数は、明らかに多くなりました。
 
 
「アラニン・プロリン高配合糖質混合物」摂取群
では、プラセボ食品摂取群に比べてより110m
長く走行できた。
   
疲労感が軽減した回答者数は「アラニン・プロリン
高配合糖質混合物」摂取群では、プラセボ食品
摂取群に比べて明らかに多かった。

 以上の結果より、「アラニン・プロリン高配合糖質混合物」の摂取は、長時間運動する持久系スポーツを実施する際に、血糖値や肝グリコーゲン量を維持することによって、エネルギーを消耗することによる疲労感を抑えながら、運動終盤のパフォーマンスを向上すると考えられます。

 当社は、今回得られた、「アラニン・プロリン高配合糖質混合物」持久力向上効果に着目し、今後、幅広い
スポーツ実施者層の運動パフォーマンスを向上し、より健康的でより充実した運動の実践に貢献できるよう、研究を継続していきます。
 
 
 
※1   糖原性アミノ酸:
体内でエネルギー源となる糖の産生に関与するものを指す。糖産生に関与しないアミノ酸はケト原性
アミノ酸と呼ばれ、両者の特性を持つ糖原性ケト原性アミノ酸もある。
 
※2   アラニン:
体内のタンパク質を構成する20種類のアミノ酸の一つ。糖産生に関与する主要なアミノ酸としても
知られる。
 
※3   プロリン:
タンパク質を構成するアミノ酸の1つで、アラニンと同様に糖産生に関わる。
 
※4   肝グリコーゲン:
肝臓に蓄積され、必要に応じて徐々に放出されるエネルギー源。
長時間に渡って運動する場合、血中に存在し、すぐに利用できる糖だけでは十分ではなく、肝臓などに
蓄積されたグリコーゲンを利用することになる。
 
※5   プラセボ食品:
有効成分を含まない同一形状の食品。今回のヒト摂取試験では「アラニン・プロリン高配合糖質混合物」
を含有しないものとした。
 
※6   Yo−Yoテスト:
サッカー選手に必要な体力として求められるスピード持久力を評価する最も一般的な方法。テストでは、
被験者に20m区間を、疲労により運動の継続が困難になるまで、走らせ続ける。

報道関係の方向けお問い合わせ先:pr_info@ajinomoto.com
 
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