2012年7月17日
グルタミン酸配合の粉ミルクに小児肥満解消の可能性
2012年6月26日に開催された
米国Institute of Food Technologists シンポジウムにて
 味の素株式会社(社長:伊藤雅俊 本社:東京都中央区)は、IFT(Institute of Food Technologists)※1 において、2012年6月26日に、シンポジウム「小児肥満を防ぐための食品業界の役割」の開催をサポートしました。このシンポジウムにおいて、モネル化学感覚センター※2 のジュリー・メネラ博士は、「グルタミン酸を含む粉ミルクが乳児に及ぼす満足感と成長の関係」について、下記の研究成果を発表しました。

<メネラ博士の発表内容>
1. (米国で一般に市販されている)粉ミルクで育った乳児は、母乳で育った乳児に比べて早く体重が増加する。多くの専門家の間では、この違いは長期的に見ると健康に影響を及ぼす可能性があると考えられている。
2. メネラ博士は、乳児にこの粉ミルクを与えた場合と比較し、ヒトの母乳に豊富に含まれることが知られている※3グルタミン酸を添加した粉ミルクを乳児に与えると、摂取量が下がることを示した。これはグルタミン酸が乳児に満足感を与えたために、ミルクの過剰摂取がなくなったと考えられる。このことは、乳児の理想的な体重増加につながる可能性がある。

 米国において、肥満は大きな社会問題となっています。当社では、乳幼児期における食事摂取が成長後の肥満防止に寄与する可能性を踏まえ、さらなる研究のサポートを行っていく予定です。

 当社は「おいしさ、そして、いのちへ。」というコーポレートスローガンのもと、人々の健康な生活に貢献していきます。

※1    IFT;100カ国以上の有識者や学者からなる世界最大の会員制食品科学コミュニティで、70年以上の歴史を持つ。
毎年、国際的な食品関係の研究者、技術者等が一堂に会する世界最大の食品EXPOを開催している。この開催中、IFTは食に関する社会的問題を提起するとともに、その解決方法を議論するシンポジウムを企画している。
※2    モネル化学感覚センター(米国フィラデルフィア):味と匂いの基礎研究に特化した世界で唯一の独立した非営利科学研究機関。味と匂いを感知するメカニズムや機能を解明することで、ヒトの健康や病気におけるこれらの感覚の重要性を研究している。
※3    一般的なこんぶだしは、100mlあたり20〜40mg、ヒトの母乳は約20mgのグルタミン酸を含有している。
一方、米国で一般に市販されている粉ミルクのグルタミン酸の含有量は、100mlあたり0.1〜1mg。

 
   メネラ博士がIFTで紹介した知見は、The American Journal of Clinical Nutrition の4月号にて報告されています。

Julie A Mennella, et al., Pediatrics 127: 110-118 (2011)
Differential Growth Patterns Among Healthy Infants Fed Protein Hydrolysate or Cow-Milk Formulas

Alison K Ventura, et al., J Clin Nutr 95: 875-81 (2012)
Infant regulation of intake: the effect of free glutamate content in infant formulas

Alison K. Ventura, et al. Nutrition & Food Science, 42: 271-278 (2012)
Free amino acid content in infant formulas

報道関係の方向けお問い合わせ先:pr_info@ajinomoto.com
 
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