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味の素株式会社(社長:伊藤雅俊 本社:東京都中央区)は、横浜市立大学附属病院産婦人科(神奈川県横浜市)の宮城悦子准教授、沼崎令子講師、平原史樹教授を中心としたグループと共同で、3種類の婦人科がん(子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん)における、血中のアミノ酸濃度バランスの変動に関する研究を推進してきました。この度、宮城准教授らは、婦人科がん患者において、健康な人と比較して血中アミノ酸濃度バランスの有意な変化が認められ、複数の血中アミノ酸濃度を用いた多変量解析により、婦人科がんの早期発見への応用が可能であることを、多施設における大規模試験で明らかにしました。この研究成果は、2011年10月 27日(木)に第49回日本癌治療学会(愛知県名古屋市)で発表されました。 血中アミノ酸濃度は、生体の恒常性維持機能により一定に保たれていますが、種々の疾患においてバランスが崩れ、健康な人と比較して変化していることが、これまで多くの論文で報告されています。当社では、血中アミノ酸濃度のバランスの変動を統計学的に解析・指標化し、健康状態や疾病リスクを明らかにする「アミノインデックス技術」の研究開発を行っており、これまで5種類のがん(胃がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん、乳がん)において、血液で簡便に早期発見ができる可能性を報告してきました※1。今回、新たに3種類の婦人科特有のがん(子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん)において、「アミノインデックス技術」の有用性を検証しました。 【研究概要】 複数の病院や人間ドックから早期がんを含めて子宮頸がん208名、子宮体がん186名、卵巣がん102名、合計496名のがん患者と、対照として305名の悪性腫瘍ではない婦人科疾患の患者、1631名の健康な人の臨床症例を大規模に集め、血中アミノ酸濃度バランスを測定することにより、婦人科がん患者と健康な人とを判別する可能性を検証するための臨床研究を実施しました。 その結果、健康な人に比べ、がん患者では、血中アミノ酸濃度バランスが有意に変化していること、および大きく濃度が変動するアミノ酸が3種類の婦人科がんで共通していることが示されました(図1)。 ![]() 今回の研究では、健康な人とそれぞれの婦人科がん患者を判別する判別能は、ROC曲線下面積※2で、子宮頸がん0.83、子宮体がん0.90、卵巣がん0.94でした。「アミノインデックス技術」を用いることで、3種類の婦人科がんのいずれかに罹患しているリスクを包括的にスクリーニングできる可能性が示されました。また3種類全ての婦人科がんに関して、ステージI期の早期がんでも発見できる可能性を示す研究結果が得られました。 これら3種類の婦人科がん、特に子宮体がんと卵巣がんの患者数はここ30年間で大幅に増加しています。 また、これまで卵巣がんは早期発見が難しいとされてきました。今回の研究で得られた知見を応用することで、 血液だけで簡便に検査を行えることから、これらのがんの早期発見の可能性も期待されます。 今後、当社では「アミノインデックス技術」を応用し、対象となるがん種の更なる拡充により、多種のがんの早期段階での発見が可能となることを目指して研究開発を継続していきます。 ![]() ![]() 学会発表の題名・発表者 血中アミノ酸プロファイルを指標とした婦人科癌スクリーニング法 沼崎令子1、宮城悦子1、中西透2、片岡史夫3、猿木信裕4、井畑穣1、伊藤則雄2、吉田憲生2、村松孝彦5、 今泉明5、山本浩史5、高須万里子5、山門實6、青木大輔3、平原史樹1 1横浜市立大学附属病院・産婦人科、2愛知県がんセンター中央病院・婦人科、3慶應義塾大学医学部・ 産婦人科、4群馬県立がんセンター、5味の素株式会社、6三井記念病院総合健診センター
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