2010年10月25日
味の素(株)、米国農務省(USDA)研究機関との共同研究契約を締結、共同研究を開始
−うま味による満足感に着目した米国肥満問題へ、日米コラボ挑戦−

 味の素株式会社(社長:伊藤雅俊 本社:東京都中央区)は、米国農務省(USDA)の主要研究機関の一つである、West Human Nutrition Research Center (WHNRC)(所長:Dr. Lindsay H. Allen、カリフォルニア州、Davis)と、うま味がもたらす満足感による過剰カロリー摂取の抑制効果についての共同研究契約の締結を
2010年9月14日に行いました。共同研究は2010年10月より開始し、3年間の予定で、米国最大の社会問題の一つである肥満問題の解決に取り組んでいきます。
 
 

 WHNRCと当社は、肥満の抑制には、食品や食品の栄養素に着目した新しい取組みが重要だと考えています。そのため、うま味を多く含む食事をとると、満足感のシグナルが脳に伝達され、満足感向上や空腹感低下が起き、過剰カロリー摂取を抑制するという仮説のもとに研究を進め、肥満抑制研究への応用を検討していきます。さらに、WHNRCが併設されているカリフォルニア大学Davis校の最先端のfMRI(機能的磁気共鳴画像)解析による脳の画像解析等を用い、うま味摂取と満足感そして過剰カロリー摂取の抑制との相関関係について、そのメカニズム解析も行っていきます。

 また、近年当社は、うま味には、食品においしさを付与するだけではなく、消化液や唾液の分泌を促すなどの生理的機能があることを解明してきました。(※1,2)。うま味の摂取により体重増加が抑制される動物試験の結果(※3)や、うま味の摂取量と体重減少の相関関係の疫学的研究(※4)、健常者は肥満者に比べうま味に対する味覚感度が高い(※5)といった研究結果が得られています。同時にこれらのうま味が及ぼす新たな生理機能の研究も進め、肥満抑制研究につなげていきます。

 1908年に東京帝国大学の池田菊苗博士が昆布からうま味を発見してから100余年。今日、うま味、umamiは世界中で普及しています。当社は「おいしさ、そして、いのちへ。」というコーポレートスローガンのもと、今後も世界の食の課題解決と人々の健康な生活に貢献していきます。

 USDA/WHNRCについて
 米国農務省(USDA)の米国内主要研究機関の1つ。アメリカの国民の健康を改善することをミッションとしている。米国における栄養・食料研究の中核大学であるカリフォルニア大学Davis校のキャンパスに併設され、設備の共用や人的交流により、官学連携で同研究分野をリードしている。

 <参考資料>
 ※ 1 Uematsu A, Tsurugizawa T, Uneyama H and Torii K (2010). Brain-gut communication via vagus nerve stimulates conditioned flavor preference. Eur J Neurosci 31, 1136-1143
 ※ 2 Yamamoto S., Tomoe M., Toyama K., Kawai M., Uneyama H. (2009). Dietary supplementation of monosodium glutamate may contribute to the health of the elderly. Am J Clin Nutr. 90(3):844S-849S
 ※ 3 Kondo T., Torii, K., Physiol.Behav., 95, 135-144 (2008)
 ※ 4 Zumin Shi1, Natalie D. Luscombe-Marsh, Gary A. Wittert, Baojun Yuan1, Yue Dai1, Xiaoqun Pan1 and Anne W. Taylor, British Journal of Nutrition, 1-7 (2010)
 ※ 5 Yanina Pepino, M., Finkbeiner, S., Beauchamp, G. and Mennella, J., 19, 959-965 (2010)

報道関係の方向けお問い合わせ先:pr_info@ajinomoto.com
 
閉じる