味の素株式会社(社長:山口範雄 本社:東京都中央区)は、血液中のアミノ酸濃度を統計的に解析して
健康状態を判断する手法を研究開発し、これを"アミノインデックス"と命名しました。少量の血液サンプルで
短時間に健康状態を調べることができ、将来、健康診断などに役立てたいと考えています。
血液中のアミノ酸濃度は体内で常に一定になるようにコントロールされています。疾病の多くは臓器の代謝が
変化することで、アミノ酸濃度も影響を受けることが知られています。これまでは、特定の代謝異常を除いて、
単一のアミノ酸濃度から疾病の有無を知ることは難しいと考えられていました。この度、当社は血液中の複数の
アミノ酸の組み合わせを統計的に解析し、アミノ酸濃度からなる指標(アミノインデックス)を作成することで、
健康状態の判断ができる可能性を明らかにしました。当社は、この"アミノインデックス"について、2002年に
特許を出願しました。
下の図は、糖尿病のモデル動物と健康な動物とを"アミノインデックス"で判別できるという結果です。ヒトに
ついても研究を進めており、本年6月には日本肝臓学会で、"アミノインデックス"を使ったC型肝炎の肝線維化*を
対象とした進行状況(ステージング)の診断法開発について、愛知医大との共同研究の成果を発表しました。
さらに、11月の日本先天代謝異常学会では遺伝病の診断に関する"アミノインデックス"の取り組みについて発表の
予定です。
*肝線維化は慢性肝疾患に見られる変化の1つであり、病態の進行度を反映しています。C型肝炎ウイルスによる
慢性肝炎や肝硬変では線維化の程度と肝細胞癌の発生が相関していることが知られています。
今後、当社では健康チェックや病気の診断に役立つ情報の提供、薬の効果や副作用の予測など新たな事業化の
検討や、アミノ酸を利用した新商品開発への活用を目指し、さらに研究開発を進めていきます。
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