味の素株式会社(社長:江頭邦雄 本社:東京都中央区)は、アミノ酸の1つであるグリシンが、日常の睡眠に問題を感じている人の、「すっきり起床できない」「日中眠い」「作業効率が上がらない」といった状態を改善することを見出しました。また東京慈恵会医科大学とともに脳波試験を行い、就寝前にグリシンを摂取したときには自然な深い眠りへすみやかに移行することを確認、グリシンが「睡眠の質」を改善する事を明らかにしました。 睡眠の満足感には、睡眠の「量」だけでなく、その中身の「質」が関係しており、「睡眠の質」が悪いと、起床時にだるい、日中眠い、作業効率が上がらないといったことが起こります。 朝の目覚め感について調べるため、日常の睡眠に問題を感じている男女44名のうち、起床時の心身状態に問題を感じている人、すなわち「朝起きたとき頭がすっきりしない(眠い)」「寝ても疲れがとれない」「熟眠感がない」のいずれかひとつ以上の項目についてほぼ毎日問題を感じている21名の試験成績を解析したところ、就寝30分前にグリシン3gを摂取した場合には翌朝の疲労感や全般的気分の向上が認められました(図1)。 また日中の状態について、睡眠に問題のない男性7名に対して、通常の睡眠時間の75%程度まで睡眠時間を制限した状態で試験をおこなったところ、グリシンを就寝前に摂取した場合には、日中の疲労感、ねむけが軽減するとともに、パソコンを用いた作業効率試験において作業効率が向上することが確認されました(図2)。 また、東京慈恵会医科大学および太田睡眠科学センターの協力のもと、睡眠中の脳波測定により睡眠ステージの移り変わりを調べました。睡眠に問題を感じている男女11名がグリシンを摂取して就寝したところ、ノンレム睡眠のなかの深い睡眠ステージである徐波睡眠に達するまでの時間が短縮するという結果が得られ、グリシンは自然な深い眠りをすみやかに導くことが示されました(図3)。睡眠に問題がない人では、脳の休息期である徐波睡眠が寝入りばなに集中してあらわれるのが特徴で、問題を感じている人ではこの睡眠ステージの移り変わりが変化してしまっていると考えられています。 以上の結果から、グリシンは、睡眠の本来の目的である「脳と身体に十分な休息をもたらし活動期のパフォーマンスを上げる」機能を高める可能性が示されました。 味の素(株)では、これまでに動物による基礎実験を含めてグリシンに関するいくつかの試験を行い、その結果を日本睡眠学会などで発表してきました。「睡眠」は食・運動と並び“健康実現”のためのとても重要な要素です。しかし、現代日本の生活者の5人に1人が不眠に悩んでおり(2002国際睡眠疫学調査)、「睡眠」は生活者にとって大きな関心領域となっています。当社では、睡眠の質の向上、質のよい睡眠による健康の実現に向け今後もグリシンの睡眠への作用についての研究を継続していきます。近日中にグリシンの機能を活用した商品の発売し、生活者の健康に貢献していきたいと考えています。 グリシンとは ●1820年ゼラチンから単離され、ギリシャ語の「甘い:glykys」から命名 ●最も小さいアミノ酸 ●地球上で最も古いアミノ酸のひとつ ●自然界とくに生体に豊富に存在 ●生体内で合成される非必須アミノ酸のひとつ ●ホタテ、エビなど、天然の食品にも広く存在 |
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