2004年11月25日

新規酵素による効率的ペプチド生産方法の開発に成功

−第一弾として、医薬用途で重要なグルタミンペプチドの
工業化技術を確立、来春発売へ−

 味の素株式会社(社長:江頭邦雄 本社:東京都中央区)は、新規酵素を用いた効率的なペプチド生産方法を開発しました。新製法を用いることで、多くのペプチドを従来より低コストで生産することが可能となり、需要が拡大すると期待されています。

 ペプチドは医薬などの用途に幅広く利用されており、ペプチド医薬の総市場規模は約1兆円と推定されます。しかし、従来のペプチド合成法では、工程数が多い、副生物が多い、アミノ酸がラセミ化する等の要因でコスト高となり、拡大するペプチドの需要になかなか対応できないという大きな問題がありました。

 今回、味の素(株)アミノサイエンス研究所では、これらの欠点を凌駕できる新規酵素を微生物から初めて発見し、これを用いてペプチドを効率良く生産する方法を確立しました。この方法では、アミノ酸の一種類をエステル化し、このエステルを酵素によりもう一方のアミノ酸で置換してペプチドを生産します。(図1)
 本新製法は、“ジペプチド(アミノ酸が2個連なったもの)”生産のみならず“オリゴペプチド(アミノ酸が数個連なったもの)”生産や、非天然型アミノ酸を含むペプチドの生産までも可能な全く新しい製法で、極めて汎用性が高く工業的に有利な方法です。

 当社は新製法によるペプチド生産の第一弾として、グルタミンペプチド(アラニルグルタミン)の工業生産技術を確立、これを2005年春には発売開始する予定です。
 アラニルグルタミンは、感染を抑える作用などが見出され、輸液の成分として期待されてきましたが、輸液の原料としては価格が高過ぎる問題点が有りました。しかし、新製法を用いると従来法に比べて半分以下のコストでアラニルグルタミンを製造することができ、アラニルグルタミンの需要拡大が世界中で進むと期待されます。アラニルグルタミンの潜在市場は世界で約200tと推定しています。


図1:ペプチド生産法の概要




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