2004年9月14日

アミノ酸の"睡眠の質"改善効果
〜グリシン摂取により"ぐっすりとした深い眠り"が回復〜

 味の素株式会社(社長:江頭邦雄 本社:東京都中央区)は、アミノ酸のひとつであるグリシンが睡眠の調節機構の有力な因子として働いている可能性を明らかにしました。

 成人の眠りは乳幼児、動物などのように短い眠りを終日繰り返すのではなく、生活リズムと同調して夜間にまとまって起こります。このような睡眠パターンを作り上げるためには様々な調節物質が関与していることが想定されています。今回得られた結果は、グリシンが有力な調節物質として機能している可能性を示すとともに、加齢や生活習慣、ストレスなどで調節機能がうまく働かなくなり睡眠に問題が生じている場合に、グリシンを就寝前に摂取することで、良質な睡眠が回復してくる可能性を示しています。

 睡眠に不満を感じている女性15名(24〜53歳、平均31歳)を対象にグリシン3gを4日間就寝前に摂取してもらい、起床時に調査を行ったところ、グリシンを摂取しない場合に比べて、起床時のすっきり感向上、疲労感低減効果が、特に31歳以上の対象者で有意にあらわれました。この結果は日本睡眠学会(2004年7月2日、東京)で発表しました。
 次に、睡眠時の呼吸状態に問題のある男性14名(33〜55歳、平均41歳)を対象に、グリシン3gを就寝前に摂取してもらい、睡眠時の脳波を調べました。その結果、グリシンを摂取しないときに比べて、"ぐっすりとした深い眠り"である「*徐波睡眠」の出現が早まるとともに、その量も増加することが示されました(表1、図1)。
*徐波睡眠: 睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠の繰り返しで構成されており、良質な睡眠を確保するためには、ノンレム睡眠のステージで最も深い睡眠状態の徐波睡眠(睡眠ステージ3,4)が睡眠初期に集中して現れる必要があると考えられています。

 摂取したグリシンが、どのようにして効果を現すかについての動物実験も並行して進めています。現在までに得られている興味ある結果として、摂取したグリシンは生体リズムの調節に関係するといわれている脳の松果体に効率よく蓄積されるという新しい発見があげられます(表2)。この結果は、グリシンが松果体を介して睡眠の神経性調節(特に睡眠リズムの生活リズムへの同調)に寄与する可能性を示唆しています。研究成果は、日本神経化学会(2004年9月23日、大阪)で発表の予定です。

 「睡眠」は食・運動と並び"健康"実現のための重要な要素です。しかし、現代日本の生活者の5人に1人が不眠に悩んでおり(2002国際睡眠疫学調査)、「睡眠」は生活者にとって大きな関心領域となっています。
味の素株式会社では、睡眠の質の向上、質のよい睡眠による健康の実現に向け今後もグリシンの睡眠への作用についての研究を継続していきます。将来的にはグリシンの機能を活用した商品の発売により生活者に貢献していきたいと考えています。


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