2004年6月25日


骨粗鬆症薬リセドロネート5年投与後の正常な骨形成を証明
〜Cincinnati大学が発表、長期使用の安全性と骨代謝の適正化に関する最新データ〜

 リセドロネート(一般名:リセドロン酸ナトリウム水和物)はビスフォスフォネート系の骨粗鬆症治療薬であり、現在88カ国で承認されている薬剤です。日本国内においては味の素株式会社(社長:江頭邦雄、本社:東京都中央区)が本製剤を製造し、アベンティスファーマ株式会社より「アクトネル®錠2.5mg」の製品名にて2002年5月より販売しています。また、武田薬品工業株式会社にて製造し、「ベネット錠®2.5mg」の製品名にて販売されています。この度、リセドロネート治療における長期使用の安全性と骨代謝の適正化を証明する最新データが発表されましたのでお知らせします。

 今回の研究では、骨粗鬆症を伴う閉経後女性を対象として、骨吸収抑制作用をもつ骨粗鬆症薬リセドロネート投与群における、投与開始時点及び投与5年後の一対の生検骨の組織学的な評価が行われました。その結果、新しく形成された骨は投与5年後においても正常且つ良い骨質を呈しました。また、リセドロネート投与による骨の高代謝回転の抑制かつ骨代謝の適正化が見られ、これが投与5年後においても維持されました。本研究により、リセドロネート治療における長期使用の安全性と骨代謝の適正な抑制が証明されました。
 この結果は、第31回欧州石灰化組織シンポジウム(European Calcified Tissues Society(ECTS)2004年6月5日〜9日フランス ニースにて開催)において9日、発表されました。共同研究者のDr.Arkadi Chines,(MD, Associate Professor of Clinical Medicine, University of Cincinnati, and Global Medical Director, Procter & Gamble Pharmaceuticals)は「骨の強度に関して、閉経前の時点のような強く骨折のない骨で、かつ正常な骨代謝回転にすることが重要である。骨の強度とそれに影響を及ぼす因子が骨粗鬆症治療を評価する上で重要な問題であるという新しいコンセンサスがある。この研究はリセドロネートでの薬物治療により、高骨代謝回転を閉経前の正常な状態に戻すと同時に、少なくとも5年の治療継続では、代謝に伴う骨形成において質のよい骨が形成されていたことが確認された。」とコメントしています。

 リセドロネートの2003年度(2003年4月〜2004年3月)の日本における売上高は両薬剤あわせて175億円(薬価ベース:IMS)です。国内における単月売り上げでは2004年4月以降、リセドロネートがアレンドロネートを凌駕し、ビスフォスフォネート系の骨粗鬆症薬では最も処方されている薬剤です。

本件に関するお問い合わせ先
味の素株式会社医薬カンパニー医薬部 販売管理グループ
森永 浩康、堤 健司
TEL:03-5250-8131
e-mail:hiroyasu_morinaga@ajinomoto.com

【骨質とは】
骨の強度や、最終的には骨折抵抗性に影響を及ぼすさまざまな特性を包括した言い方であり、骨の強度は骨の構造特性および材質特性により決定される。この構造特性および材質特性には骨代謝(骨吸収と骨形成によるリモデリング)が大きく影響している。ゆえに骨代謝回転を最適な状態にすることが、より強い骨への形成を促進することとなる。

【骨粗鬆症の問題点について】
骨粗鬆症とは、低骨量および骨組織における微細構造の劣化によって特徴つけられる病気であり、閉経後骨粗鬆症は骨の強度を下げ、骨折リスクを上げる。※1 骨折は骨の強度が下がることによる最も重大な結果である。 なぜなら骨折は高い罹患率であり、死亡原因の上位に位置しており、一度骨折をおこすと、1年以内に別の骨折が起こる可能性があることが知られているからである。※2  最も重要な骨粗鬆症治療の目的は早期に骨折を減少させることである。※3

【試験について】
このデータは86人の閉経後骨粗鬆症女性を対象とした5年間のプラセボコントロール骨生検試験で投与時点および投与5年後のものである(リセドロネート投与群44例、プラセボ群42例)。そのうち、リセドロネート投与群21例、プラセボ投与群27例からの生検骨組織が、投与開始時点および投与5年後に組織学的に評価された。生検骨において、新しく形成された骨は正常で且つ、良い骨質を呈していた。
高骨代謝回転を抑えることによる骨代謝の適正化及びその維持はリセドロネート投与群5年時点で見られた。しかし、プラセボ群では骨代謝の顕著な減少は見られなかった。(リセドロネート投与群は、骨形成マーカーであるostaseを−33%、骨吸収マーカーである血清NTXを−47%顕著に減少させた。(p<0.05))皮質骨幅は両グループとも減少したが、リセドロネート投与群ではプラセボ群と比べ約1/3の減少幅であった。腰椎骨密度はリセドロネート群でベースラインより9.2%上昇していたが、プラセボ群では顕著な変化は見られなかった。骨形成と石灰化は類骨幅、骨石灰化速度、骨石灰化遅延時間、および骨梁単位幅によって評価した結果、正常であった。これらのデータはリセドロネート治療における長期使用の安全性と骨代謝の適度な抑制を証明した。

・Reference
※1
WHO Consensus conference 1994
※2
Lindsay et al. JAMA 2001; 285: 320-23
※3
Consensus Development Conference, JAMA 2001; 285: 785-95