2004年3月2日


人工腎臓透析用粉末製剤「ハイソルブ」製造工場建設、自社生産開始
透析周辺領域事業を医薬カンパニー事業の柱の一つに育成

 
 味の素株式会社(社長:江頭邦雄 本社:東京都中央区)は、医薬カンパニー(カンパニープレジデント:相原桂一郎)における腎不全治療領域への取り組みを強化すべく、人工腎臓透析用粉末製剤「ハイソルブ」(1998年販売開始)の製造工場を、味の素グループの清水製薬株式会社(社長:湯川利秀 本社:静岡県静岡市)清水工場内に建設します。総工費は約20億円で、2005年4月から自社生産を開始します。
 人工腎臓透析用粉末製剤は、従来の液剤に比べ軽量でかさばらない為取り扱いが容易となります。人工腎臓透析患者数は、現時点で約23万人、2010年には30万人になるものと想定され、ニーズがますます高まっています。清水製薬(株)における透析剤製造技術と、味の素(株)の造粒技術が一体化することにより、本工場では非常に生産性の高い製造方法が開発できました。これにより、人工腎臓透析患者の治療を支援する製剤の充分な供給体制を構築し、人工腎臓透析治療への貢献を目指します。

 医薬カンパニーでは、人工腎臓透析を含む腎不全領域全般の治療に貢献すべく、製品の研究、開発、生産、営業の各機能を強化することにより、当領域を医薬カンパニー事業の柱の一つにしていきます。人工腎臓透析および関連薬剤の売上は2002年度で約160億円(推定薬価ベース)であり、中期的には300億円(同)を目指します。
 営業面においては、味の素ファルマ株式会社(社長:中村昌旦 本社:東京都中央区)が販売および医療機関への情報提供活動を行っていますが、2003年11月に同社内に透析事業部を設立しました。今後、患者数の増加によって、透析専門施設への情報提供ニーズがいっそう高まることが予想されるため、透析事業部を置いて専門性を強化し、透析専門MRを配置して活動を行う体制としました。
 味の素ファルマ(株)では「TNC(トータル・ニュートリション・ケア:ひとりひとりの栄養状況に応じたケア)」をミッションに、栄養治療による患者さんのQOL(クオリティー・オブ・ライフ:生活の質)向上を目指していますが、腎不全治療の領域についてもTNCの取り組みを併せて行っていきます。
 研究開発面においては、2003年4月より味の素(株)に輸液栄養透析研究所を設立し、より人体に負担がかからない透析剤と、腎不全の進行を遅らせる薬剤などの研究開発に取組み、腎疾患領域全般への貢献を目指しています。