2002年11月22日 味の素株式会社 |
アスパルテーム職務発明訴訟に関する弊社の見解 |
(1) |
本件発明は、青色ダイオードのケースとは異なり、発明が会社に帰属することは明らかな事件です。また、同様に、青色ダイオードの場合と異なり、数多くあるアスパルテーム製法特許の一つに過ぎません。この事業における基本特許は、サール社のアスパルテームの甘味剤特許です。 一部のマスコミが報じているように、あたかも成瀬氏の発明によって、アスパルテームの製品そのものの開発や事業がなされたというのは、事実に反します。また、発明の特許化に関しては成瀬氏以外の研究者の貢献が大きいです。 会社は、アスパルテームを製造するため、原料であるフェニルアラニンの製法、アスパルテームの製法に加えて、アスパラギン酸の製法、アスパルテームの用途も含め1400件以上にのぼる特許を国内外に出願し特許化してきています。成瀬氏の発明にかかる特許は、まさにそのうちの極一部に過ぎないものです。 |
(2) |
当該特許のロイヤリティといえども、アスパルテーム事業が存在するから、収入として成り立っているのであり、事業化のために、まず、当社がいち早く、サール社のアスパルテーム利用特許の情報を得て、製法に関する開発を指示し、実行してきました。その実績が評価され、数ある競合他社との競争に勝って、日本でのサール社の基本特許のライセンスを受け、同社から製造を依頼されるようになりました。まさに、当時の経営判断の成果です。この判断なくしてアスパルテーム事業はありえませんでした。 次に、アスパルテーム事業にとって、米国における食品薬事局(FDA)の認可は、必須でした。このため、会社として長年、莫大な費用をかけて試験研究を続けて蓄積してきた、グルタミン酸ナトリウムの安全性に関する数多の実験、知識、ノウハウが有効に機能しました。これなくしてはアスパルテーム事業は存在しませんでした。また、このようなFDAの認可がなされないかもしれない中、リスクを犯して、会社として巨額の投資をし、数多くの特許も取得し、まさに、ventureと同様の危険負担をしてきたのが会社であり、成瀬氏がそういうリスクを負ったものではありません。 これ以外にもアスパルテームの研究開発に関し、会社は施設、設備の提供、人員の維持、研究者の人件費を含む研究開発費などなど莫大な投資を行っています。 一方、成瀬氏がかかわった発明により、ロイヤリティ収入が得られたからといって、何十億もの対価を要求するというのは行き過ぎです。成瀬氏個人は、venture企業の創業者や個人企業者のようなリスクを負わず、味の素という企業の一組織人として、業務として開発をしてきたものです。会社としても、成瀬氏の発明については、特許報奨規程に基づき同氏に1000万円の報奨を支払っているし、人事的処遇としても基幹職、研究所長、工場長、関係会社社長などの地位を歴任させ、また今日まで関係会社技術コンサルタントとして厚遇しています。こうした報奨や処遇は、他社と比較しても充分といえるものであると確信します。 |
以上 | |
本件に関するお問合せ先 味の素株式会社広報部 03(5250)8180 |
戻る |