2001年7月
 
 
 
新規抗癌剤ライセンス契約締結の件

 
Ⅰ.内容
      味の素株式会社は7月9日付けで、当社が研究・開発中の新規抗癌剤AC-7700 (AVE8062)の開発・製造・販売について、アベンティス ファーマ社 (Aventis Pharma)と、ライセンス契約を締結いたしました。本契約により、アベンティス ファーマ社はAC-7700 (AVE8062)の全世界における独占的な開発・製造・販売権を味の素㈱より得ます。AC-7700 (AVE8062)の臨床試験は、アベンティス ファーマ社により、本年後半から欧米で開始される予定です。

  AC-7700 (AVE8062)は、当社医薬研究所がレンチナン、IL-2等の抗癌剤、バイオテクノロジー分野の研究開発で培った技術により創製された新しい抗癌剤です。癌組織に栄養や酸素を供給している血流を遮断することにより作用を示す、全く新しいタイプの固形癌治療剤です。動物試験では、従来の薬剤が効かない癌や、進行癌を含む多くの癌細胞に薬効を示すことが確認されております。AC-7700 (AVE8062)を単独で、あるいは既存の薬剤と組み合わせて使用することで、癌患者の方々に新たな治療法を提供できるものと考えております。

  味の素株式会社は、特徴あるグローバル新薬とアミノ酸栄養医薬品を医薬事業の二本柱として展開しております。グローバル新薬については、研究開発により得た知的所有権のライセンスビジネスを基軸とし、ライセンス先からの開発段階に応じたマイルストーン、ロイヤルティー受け取りを収益源として参ります。今回の抗癌剤AC-7700 (AVE8062)も新たなグローバル新薬の候補となりますが、抗癌剤分野のリーディングカンパニーであるアベンティス ファーマ社に本製品の事業化を委ねることでより早く開発を進め、実際の医療の現場でより多くの患者さんに使って頂ける様になるものと期待しております。

Ⅱ.参考
  味の素株式会社の医薬事業
    味の素株式会社は、医薬事業を、①輸液・臨床栄養・消化器、②循環器、③糖尿病の3分野に重点化し、特徴あるグローバル新薬とアミノ酸栄養医薬品の二本柱で展開しております。これまで、グローバル新薬としては糖尿病薬(一般名:ナテグリニド(nateglinide) 、商品名: 「ファスティック」(アベンティスファーマ㈱)、「スターシス」(山之内製薬(㈱)、「STARLIX」(Novartis Pharma AG)等を、自社及びライセンス先を通じて世界各国で開発・販売しております。国内事業としては、1999年12月に設立致しました100%子会社 味の素ファルマ株式会社により、アミノ酸栄養医薬品、輸液、消化器分野の医薬品、医療食の開発、生産、販売を行っております。
  連結での医薬事業の売り上げは2000年度薬価ベースで約640億円となっております。
 
  アベンティス ファーマ社(Aventis Pharma)概要
    医薬品関連事業と農業関連事業で世界を代表するアベンティス(NYSE:AVE)は、革新的な製品の創製と開発を通じて、生活の質の改善に専心しています。アベンティスは2000年に223億ユーロ(約2兆3,843億円)の連結売上高を達成し、医薬品と農業関連事業に合計約92,500人の社員を擁しています。アベンティスは2000年11月、医薬品に特化し農薬事業を売却する計画を発表しました。フランスのストラスブールにグローバル本社を置くアベンティスは、1999年12月にドイツのヘキストAGとフランスのローヌ・プーランS.A.との合併によりスタートしました。さらに詳しい情報については、www.aventis.comをご覧ください。
 
戻る