活動レポート

企業で取り組む社会活動の記録

“中華が家族を熱く”した「Cook Do®」 発売40年周年ストーリー

竹内涼真さんが出演するTVCMでもよく知られる中華調味料「Cook Do®」。
ちょうど発売40周年を迎えた2018年、過去最大の売上を実現し、味の素グループの社内表彰制度「ASVアワード」にて同年の大賞を獲得。社内でもさらに大きな注目を浴びることとなった。その開発グループメンバーの一人である、野﨑亮彦氏にインタビュー。歴史ある製品に“新しい価値”をもたらそうと奮闘したプロジェクトの軌跡について語ってもらった。

発売40周年目前で「Cook Do®」は業績の横ばいに苦悩していた

「Cook Do®」といえば、まず思い浮かぶのがタレント・山口智充さんと女優・杉咲花さんが親子役で出演した、あのTVCM。2011年に放送開始された「食欲全開シリーズ」は、大皿の中華を目の前に父と娘が奪い合うようにして黙々と食べるという、観る側をグイグイ引き込む演出が印象的だった。世間の注目に比例して、業績もうなぎのぼり。しかし、直近では横ばい状態が続いていたという。

「TVCM放送後は(業績は)上がるんです。でも続かない。手応えはあるのに業績が伸びないという、歯がゆい状況がずっと続いていました。来年(2018年)で40周年を迎えることは頭の片隅にはありましたが、課題も山積みでした。営業現場の皆さんが踏ん張っていてくれていた一方で、われわれのコミュニケーション戦略は変わらないままでいいのか。製品の魅力をどうアピールすべきか、どうすればお客様にとって意味のあるものになるのか。振り返ってみると、そこが明確になっていなかったのです」

先のTVCMに端を発し、当時世の中は「食欲全開シリーズ」最大の特徴でもあった“うまそう”演出にあふれていた。

「『Cook Do®』のおいしさを一番的確に表現できたあの“忘我食い”こそ、当時のお客様に確実に届いていたメッセージだった。非常にシンプルなワンメッセージです。そうして7年間届けてきたメッセージを変えるというリスクもまた怖かった。でも、今やおいしいものは世の中に溢れている。新しい光の当て方を考えなくてはいけないと、上長、事業部長、広告部も含め、『Cook Do®』チーム全員で悩んでいました」
「Cook Do®」が本来持っている価値は何なのか――。ディスカッションを重ねたその結果、「われわれのものづくりの原点でもある食卓の悩み、今の食卓に求められているもの。そこに立ち返ろうと思ったのです」

2017年 味の素グループ調べ

「おっ、今日中華?」ヘビーユーザーの言葉に見えた「Cook Do®」の効能

同じチームとして課題に取り組んできた仲間が、過去に行なった市場調査も役に立った。

「2017年当時、餃子や唐揚げなどの冷凍食品、冷凍惣菜の売れ行きは伸びていましたが、手作り用の基礎調味料は伸びていなかった。“簡単なもの”が求められていました。『Cook Do®』はもちろん“簡単”ですが、あくまで“手作り”するものなので、温めるだけで食べられるものとは比較になりません。でも、そこを逆手にとって『簡単なのに手作りができる』ところにフォーカスしてみようという流れになったのです」

主婦をターゲットに食卓事情を聞いた別の調査では、「子どもが喜ぶものを作ってあげたい」という思いと、「現実」とのズレがあることも浮き彫りになった。

「家族全員が揃う機会は減る一方、自らも忙しく働いていて日々の食事作りもなんとかやりこなしているという状況。食事にかかる時間を短くしたいというデータがある中で、家族が喜ぶ食卓作りを心がけているというスコアもずっと高いのです。
社内調査でも、気分が上がる食卓といってイメージするものは、家族の好きなメニューを作ったり、子どもの“おいしい”の一言だったりする。ーー話を聞いているうちに、実はそうなっていない食卓が増えているのではと思い始めました。
逆の言い方をすると、『食事の支度は簡単に済ませたい』けれど『本当はもっと子どもが、家族が喜ぶものを作ってあげたい』。つまり、そこが本音なのではないかと」

味の素グループ調べ

さらに調査結果を見ていくと、「子どもに野菜を食べさせたい」という切実な悩みも見えてきた。子どもの食べたいものばかりを用意するとどうしても肉中心になるが、その点、中華はもともと肉類・魚類などのたんぱく質と野菜を組み合わせたメニューが多く、「Cook Do®」なら、おのずと肉と野菜をバランスよくとれる。

「サラダでは解決できない野菜の悩みに、“炒める”中華なら応えることができると思いました」

問題解決への決定打となったのは、ヘビーユーザーから飛び出したこんなひと言だった。

「『Cook Do®』のどんなところが好ましいと思っているかを率直にお尋ねしたのです。そうしたら、『遅い時間に仕事から疲れて帰ってくる息子が、できたての回鍋肉を見て“おっ!今日、中華?”とテンションが上がったんです』と。あまり会話もなくなっていた息子さんが食事に関心を持ってくれた、反応してくれたことが嬉しかったとおっしゃるんです。
野菜を食べさせる方法はいろいろありますが、中華が食卓にある意味合いを掘り下げていくと、どうやらそれは“日常の中のハレ感”なのではないかと。家族のテンションが上がる料理を作れたことへの喜びなのではないかと思ったんです。家庭で作る中華がどれだけ家族をハッピーにするのか、そこに光を当てることがユニークな価値に繋がっていくと確信しました」

現代の食卓に新しい価値を見出したい。「Cook Do®」の魅力の打ち出し方に、一つの答えを見つけることができた。

“家族団らん”は普遍のテーマ。「Cook Do®」の新しい“価値”とは

長い苦悩と紆余曲折を経て制作されたのが、竹内涼真さんが出演中の「中華が家族を熱くする篇」。2018年から今も続く人気TVCMだ。
「回鍋肉篇」は、竹内涼真さん扮する長男がフライパンを振るうと、香ばしいにおいに誘われて弟たちが「やったー、回鍋肉!」とテンション高く集まってきて口々に「おいしそう〜」と大騒ぎ。大皿にのった回鍋肉にみんなが一目散にお箸を伸ばして黙々と食べていく。

「青椒肉絲篇」では、今まさに「Cook Do®」を作ろうとしている長男に、弟が「ピーマンなしでお願いできませんか〜?」と懇願すると「できません!」と長男。大皿にのった山盛りの青椒肉絲を恐る恐る食べてみる弟は、口にするやピーマンのおいしさに驚きを隠せない表情!あとは黙々と食べ尽くす。

「シンプルに、『CMで見たあの中華が食べたい』という気持ちになってもらおうと思ったんです。“食欲がわくおいしさ”を基盤にして、簡単に手作りできること、家族団らん、肉も野菜も一緒にとれるという栄養的な要素も、クリエイティブチームが伝えたいメッセージをすべてあの映像の中に収めてくれました。そして、広告部を中心に事業部みんなで議論して決めたコピーが、『中華が家族を熱くする』。
『やったー、回鍋肉!』というあのセリフがまさにそれを体現してくれました。あんなふうに言えるメニューって他にはなかなかないですよね」

40周年というアニバーサリーイヤーも視野に入れ、パッケージ刷新にも踏み切った。“おいしさ”をよりダイレクトに伝えるべく料理のシズル感を前面に打ち出し、裏面の材料表記も、イラストをつけることでさらに可視性を高めた。調理手順も、文字だけでなく動画を作成し、スマートフォンですぐ読み込めるように工夫し、手作りにまつわるハードルを徹底して取り除いた。

左は2010年当時のもの。右は現在のパッケージ。

大反響とともに需要もヒートアップ!過去最高の売り上げを実現

新しいTVCMは、2018年2月が「回鍋肉篇」CMの初回放送。大々的に記者発表も行い、好スタートを切った。ちょうどその頃、天候不良が続いてキャベツの価格が高騰していたため、初速は今ひとつ振るわなかったものの、4月放送の「青椒肉絲篇」CMでは大きな手応えを獲得。キャベツの価格も安定すると、6月の「回鍋肉篇」CMでは反響はピークに!4、5、6月と連続して過去最高の120%の売り上げを記録したという。

需要が一気に高まれば、生産量の拡充もまた必須。なんとか生産量を増やすべく、事業部メンバーは工場に掛け合い、112%という大幅な生産量拡大を実現。

「工場の皆さんをはじめ、一緒に頑張ってくれた『Cook Do®』チーム全員での受賞を、心からうれしく思っています」

業績の横ばいが続いた長い低迷期からの脱却を目指し、プロモーションを一から見直した末のV字回復。野﨑氏は、大きなプロジェクトにおいて目標達成に大切なのは“常に関係メンバーと成果の情報をシェアすること”だと言う。

「工場から営業、販売などプロジェクトに関わる人々には、事業部としてどういう戦略を立て、どんな施策を行うのか、それらを具体的に資料にまとめて、ときにはムービーを作ったりもしながら、みんなが同じ気持ちで目標に向かえるようにプレゼンしました。プロジェクトが進んでいる間も、『4月は売り上げがこんなに跳ねています』とか、『お客さまからこんなファンレターをいただきました』など、とくに良い情報は素早くシェアするように心がけていました。
われわれ事業部の仕事は “オーケストラの指揮者”と考えています。開発に関わっているメンバーから生産現場、広告部でパッケージやコミュニケーションを作っているメンバー、営業部門も物流部門も、それぞれがプロ意識を持って懸命に取り組む――そのなかでは、自分たちの仕事が世の中にどう貢献し、どんな成果が出ているのか、それを感じ取るのは難しいこと。われわれは、そこを繋げる役割なのかなと、思っています」

これからの時代にこそ響く、製品に込められたメッセージ「Do Cook Yourself」

日中平和友好条約が締結された1978(昭和53)年、本格中華料理を手軽に手作りできる合わせ調味料として誕生したのが、「Cook Do®」。

「実は当時の開発担当者が残した手書きのマーケティングプランが残っていたんです。それによれば製品に込められたメッセージは『Do Cook Yourself(手作りしましょう)』。ちょうどその頃は、カップ麺やレトルト食品、ファストフード、ファミリーレストランなどが誕生して外食・即食ブーム。そんな中では、“だけどやっぱり手作りこそ大事なのではないか”という論調もありました。その真意を捉えた上での、『外食でしか食べられない本格中華を、おうちで手作りしましょう』というコンセプトだったのです。
そう考えると、『Cook Do®』が訴求する“手作りの価値”が、むしろこれからの時代こそお客さまにより共感していただけるのではないかと。そう、『Cook Do®』メンバーとよく話しています」

現代、人々のライフスタイルは大きく変わり、食卓の風景も多様化した。家族揃って料理を囲む機会は減りつつある。

「子どもも習い事や部活で忙しい時代。遅くまで働くお母さんもいるし、昼と夜でダブルワークの人もいる。食卓にとどまる時間はどんどん短くなっているのかもしれないけれど、それでもまだ潜在的に存在する『手作りしたい』という気持ちに寄り添いたい。ライフスタイルまでは変えられなくても、『Cook Do®』のようなメニューがあることで元気になってもらえたらいいなと思います」

小さな子どもが「回鍋肉」を「ホイコーロー」と読んでくれる時代は来た。これから先は、「回鍋肉」を食卓の定番メニューにすることだと野﨑氏は言う。
「子どもの好きなメニューランキングの、カレー、寿司、鳥の唐揚げ、ハンバーグ……と続く中に回鍋肉が入るような、そんなところまで持っていきたいですね」
歴史と伝統ある製品を、時代に合わせてチューニングしながら、「Cook Do®」はこれからも食卓に貢献し続けるブランドを目指していく。

野﨑亮彦氏
食品事業本部 家庭用事業部
メニュー調味料グループ

2005年、味の素グループに入社。中国支店(広島県)で営業を6年間担当したのち、2011年より2年間は本社家庭用事業本部で新製品の開発を担当。2013年より和風おかずシリーズの「Cook Do® きょうの大皿®」シリーズ開発担当等を経て、「Cook Do®」ブランド全体に携わる。
趣味は、タッチフットボール。「防具なしで行うアメリカンフットボールのような球技です。20代の若者に混じってたっぷり汗を流しています(笑)」。

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