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味の素グループが持つ、いくつもの「事実」を紹介

今年の母の日は、おいしく、楽しく、おうちごはんで「おふくろの味」

2020年の5月10日(日)は「母の日」です。この日、お母さんにカーネーションやプレゼントを贈ったり、感謝の気持ちを伝える方も多いと思います。

お母さんへの感謝。みなさんひとりひとりにさまざまな「ありがとう」があると思います。
ここまで育ててくれたことはもちろん、つらいときや悲しいときに助けてくれたときのこと、私たちのために無理をして努力をしてくれたこと、そして、昔、子どもの頃につくってくれた「ごはん」の思い出。

お母さんのことを思い出すと同時に、あの「おふくろの味」をまた食べたいなと思ったり。

今年は外出もままならず、お食事会や帰省などで直接お母さんに会うことは難しい状況です。そんなときだからこそ、今回の記事では、この「おふくろの味」について考えてみたいと思います。

ひとりひとりの物語がある「おふくろの味」

「おふくろの味」と聞いて、みなさんが思い出すものは何ですか?

「朝、目覚めたときの“〇〇〇”の匂い」
「部活の練習から帰ってきたあとにお腹いっぱいになるまで頬張った“〇〇〇”」
「叱られたあとに、泣きながら食べた“〇〇〇”」
「はじめて台所でお手伝いをしたときの“〇〇〇”」
「受験勉強のときにつくってくれた夜食の“〇〇〇”」

しかし、大人になって、同じメニューを食べても、それは「おふくろの味」とは違うものではないでしょうか。また、「レシピを教わっても、まったく同じようにならない”エビフライ”」のように、お母さんにしかつくれないものもあります。さらにいうと、「おふくろの味」は必ずしもおいしいとはいえないものもあるでしょう。おふくろの味は特別なものですね。

味が濃かったり、薄かったり、ちょっと焦げていたり、盛り付けや色合いがイマイチだったり。それもひとつの個性であり、味付けのひとつだと言えるでしょう。

「おふくろの味」とは、一口食べただけで、あの頃の自分に戻れるようなもの、わが家そのものを象徴するものであり、当時の物語が味付けとなって心のなかによみがえってくる「お母さんの想いそのもの」なのかも知れません。

そう、「おふくろの味」には、物語という調味料が伴うものではないでしょうか。

肉じゃがの「物語」

日本人にとって、「おふくろの味」のなかでも、「肉じゃが」は上位にランクインするメニューだと思います。

肉じゃがというだけで、ほっこりとしたじゃがいもとお肉のうまみが口中に広がるくらい、私たちにとってなじみの深いメニューです。

肉じゃがというと和食の定番というイメージが強いですが、発祥は明治時代以降であり、肉じゃがという名称も1970年代に一般に広まっていったんだそうです。意外と最近のことなんですね。

インターネットで検索すると「肉じゃがと東郷平八郎」のエピソードがたくさん見つかります。

“日露戦争で連合艦隊司令長官として指揮を執った東郷平八郎が、かつてのイギリス留学中に好物だったビーフシチューを料理長に作らせたものが肉じゃがの原型となった”というものです。

しかし、最近の調査によると、この逸話には正しく証明する資料もないことから間違いであるという見方が有力です。

明治維新後、西洋からさまざまな文化を急速にとりいれていた日本人にとって、体格や体力の違いや、タンパク質やビタミンが不足している状況を克服するために食生活の改善が求められていました。しかし、当時の日本人はなかなか洋食になじめなかったようです。

その課題を解決するために、醤油と砂糖で味付けされた料理で肉食が進むようにと海軍・陸軍で採用されたのが「肉じゃが」の原型だったと言われています。(こういった状況から東郷平八郎との物語が生まれたのかも知れません。)

軍隊において、たくましい日本人になって欲しいと作られた肉じゃがは、やがて広く一般の家庭でも好んで作られるようになりました。

それは肉じゃがに「わが子が元気で健康に、たくましく育ってほしい」という母親の願いが込められていたから、かも知れませんね。

世界のおふくろの味

日本の「おふくろの味」はいくつも浮かびますが、海外にはどんな「おふくろの味」があるのでしょうか。

スペイン人にもっとも身近でバリエーションが豊富な「トルティーヤ」

スペインの「おふくろの味」といえば、「トルティーヤ」(地域によってはトルティージャとも発音します)と答える人が多いそうです。

トルティーヤと聞くと、「薄い生地にタコスミートや野菜を包んで食べるもの」だと想像する人が多いと思います。しかし、それはメキシコ料理の「トルティーヤ」です。

スペインのトルティーヤはこんな感じです。

メキシコ料理のトルティーヤとは全然違うものですね。

じゃがいもと玉ねぎなどが入った肉厚なオムレツ、といった感じでしょうか。

スペインの学校の食堂では、毎日必ずトルティーヤが並び、夕飯用にテイクアウトする学生もいるほどの人気メニュー。

スペインでは定番の家庭料理で、じゃがいもと玉ねぎ以外にもお好みでいろいろな具材を入れたりするそうです。その時の気分だったり、冷蔵庫の残り物を入れたりなど、簡単においしく作れることもあってバリエーションは無限に広がるそうです。

簡単で単純だからこそ複雑。味付けや具材が変わるだけで異なる味わいが生まれ、実際に家庭によって味がまったく違うものになるそうです。

ひとつの家庭にひとつのトルティーヤ。
お子さんのために好きな具材を入れたり、栄養のために食べてもらいたい野菜やお肉を入れたり、、「トルティーヤ」の本当の具材は、お母さんの愛情や家族の物語そのものだと言えるでしょう。

ロシアの家庭では定番の煮込み料理「ボルシチ」

ロシアでは「おふくろの味」として「ボルシチ」をあげる人が多いそうです。

「ボルシチ」は、ロシアの家庭でよく食べられている煮込み料理の定番。

テーブルビート、玉ねぎ、にんじん、キャベツ、牛肉などの材料を炒めてから、スープでじっくり煮込んで作るのですが、スープの具材についてはとくに決まったものはないそうです。

ちょっとした味付けの違いや、サワークリームを入れるか入れないかで味が変化しますし、具材に何を入れるかなどで家庭ごとに味が異なります。

ロシアでは、Дача(ダーチャ)という菜園付きのセカンドハウスを所有する家庭も多く、その菜園で収穫した野菜でボルシチをつくることもあって、ボルシチを食べると、そのダーチャで過ごした楽しい日々を思い出すのだそうです。

かぜをひいたときにお母さんがつくってくれた「チキンスープ」

アメリカでは、体調が良くないときやかぜをひいたとき、「チキンスープ」をつくってくれる家庭が多いといいます。

アメリカの家庭でつくられる一般的なチキンスープは、鶏肉、にんじん、玉ねぎ、セロリからつくられ、塩と胡椒で味をつけます。
また、お米やパスタを入れてアレンジも可能。家庭によってさまざまなバリエーションがつくられています。

チキンスープは、調理しやすく、栄養がたっぷりで消化しやすいため、体調が悪いときの民間療法として伝統的に用いられており、別名「ユダヤ人のペニシリン」とも呼ばれています。

アメリカの「おふくろの味」は、おいしさや栄養だけでなく、体調が悪く、つらいときにそばにいてくれたお母さんの優しさも届けてくれるのかも知れません。

気軽に会いに行けない今こそ、感謝の想いを

日本や海外の「おふくろの味」を紹介しましたが、「おふくろの味」とは文化や習慣は違っていても、母親が子どもを想う気持ちが詰まった料理であると思われます。

また、いずれのメニューも「簡単に調理ができる」「身近な具材を使う」「栄養がたっぷり」といったことも共通しています。

だから「おふくろの味」は、たくさんの家庭で作られているポピュラーなものなのに、バリエーションが豊富で、ひとりひとりの心のなかに存在する特別なものなんですね。

やがて、子どもだった私たちは成長していきます。成長するにしたがって、母親の愛情をうっとおしく感じたり、家族団らんの食卓の機会も減ると同時に「おふくろの味」から巣立っていき、新しい社会に出会い、大人になっていきます。

今年の母の日は、離れて暮らすお母さんに気軽に会いに行ける状況ではないと思われます。

こんなときだからこそ、今年は「おふくろの味」をつくり、お母さんの愛情や優しさに触れてみるのはいかがでしょうか。そして電話やメールで感謝の想いを届けてみませんか。

今度は、私たちがお母さんの代わりに、その愛情や優しさを引き継ぎ、新しい物語をつくっていくのでしょうね。

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