食と健康

経口補水液による水分補給のススメ

気温が高くなって汗をかきやすくなると毎日の水分補給に注意が必要です。
しかし、「今日は暑い」「じめじめしている(湿度が高い)」という感覚についてはほとんどの人が感じられるものですが、具体的に「どの程度熱中症を起こしやすい環境なのか」は判断が難しいところです。
実際に熱中症にかかった方の約2/3は何も自覚症状がなく、周囲の人も気が付かないほどでした。だからこそ、意識してこまめに水分補給を心がけることが大切です。

とくに子どもは体が熱しやすく、体温調節能力も未発達です。更に、身長も低いため、大人よりも地面から近く高温の環境にさらされているので熱中症になりやすいと言われています。





高齢者も発汗機能や温度・湿度に対する感覚が低下していることに加えて、乾燥しやすく体内の水分が不足しがちです。また、トイレの心配から水分を控える傾向がありますが、これはかえって体調を崩すことになりかねません。

熱中症対策には、水だけでは足りない

私たちは年齢・性別・体形によって異なりますが、体のおよそ60%は水分に占められています。例えば、体重60kgの成人男性であれば、36リットルが水分ということになります。
この体内の水分は、日々の生活の中で尿や汗、吐き出す息から失われていきますので、毎日2.2リットルの水分を補給するのがいいと言われています。三度の食事で約1リットルは水分を摂取できますので、残りの1.2リットルを意識的に水分補給する必要があるというわけです。さらに、暑い日などに激しい運動をすると最大で1日10~15リットルの水分を失うこともあります。
水さえ飲んでいれば良いと思われがちですが、体内の水分は水と電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウムなど水に溶け、イオンとなるミネラルのこと)で構成されています。
そのため、水やお茶だけで補給すると体内の水分が薄くなり、濃度を戻すために電解質が尿として排出されて失われてしまいます。そのため、電解質を含む飲み物での水分補給が効果的です。

水だけの補給では不十分なことを示す図。水だけを飲むとカラダの水が薄くなり、濃度を戻すために尿として排出されるため、結果として水分と電解質が失われてしまう。

経口補水液で水と電解質をバランスよく補給

経口補水液は、水分と電解質を体に素早く補給できるよう設計された飲料です。体内で効率良く水分を吸収するためには砂糖(ブドウ糖)と塩が必要であることがわかり、水分補給に効果的で簡単・安全な飲料として1940年代に用いられたのが始まりと言われています。

経口補水液は水、塩分、ブドウ糖、ミネラルから構成されています。素早く水分、電解質が吸収されるように、塩分とブドウ糖濃度の比率が一定の範囲内になるように作られています。
電解質には体内に水を保持する力があり、水分の吸収力を高め、ブドウ糖は水分の吸収速度を高めてくれます。そのため、経口補水液による水分補給は体内の電解質の濃度を変えないので、お茶や水よりも水分を体内にしっかりキープできるのです。
スポーツドリンクとの違いはこの塩分とブドウ糖濃度「一定の比率」にあります。一般的にスポーツドリンクは、経口補水液に比べて塩分が低くブドウ糖濃度が高くなっており、カロリーも高めに作られています。経口補水液は体に必要な水分を素早く・手軽に・確実に補給するための絶妙なバランスで作られています。

水分と電解質を一緒に摂れるのが経口補水液。電解質とは、ナトリウム、カリウム、カルシウムなど、水に溶けてイオンになるミネラルのことを指します。

経口補水液が役立つシチュエーション3選

【運動・スポーツ時の水分補給】
温度・湿度が高い環境での活動や激しい運動は熱中症のリスクが高まります。また、真夏だけではなく、運動の負荷によっては寒い時期でも熱中症は発生します。
熱中症を防ぐには、まずは脱水を防ぐこと。脱水状態での運動は消耗が激しく、効果も上がらないため、効率的に練習するという点からも熱中症防止は必要です。それには経口補水液による水分補給が有効です。
経口補水液による水分補給は、・筋肉のスムーズな動きを支え、けいれんも起こりにくくなる・吸収が速く、水分を保持するので運動能力も持続する・発汗力を保ち体温調節能力を発揮するなどさまざまなメリットがあります。スポーツ時の水分補給には経口補水液を効果的に活用してみてください。

【発熱、下痢・嘔吐を伴う病気の際】
インフルエンザや急性胃腸炎(ノロウイルス、ロタウイルスなど)、食中毒などにかかると、高熱によって発汗や嘔吐、下痢が症状として現れることがあり、放置していると脱水症で命にかかわる場合があります。
経口補水液は小腸で水分・電解質を吸収されます。脱水症を進行させないためには、高熱が発生したら早めに経口補水液を飲むことが大切です。

【お酒を飲んだ後】
アルコールには利尿作用があり、お酒を飲むと「飲んだ以上」に尿として水分が出ていってしまいます。また、体内のアルコールを分解するためにも大量の水分が必要になるため、飲酒をすると脱水状態に陥りやすくなります。お酒を飲んだ日は、就寝前にしっかりと経口補水液で水分補給をしておきましょう。
経口補水液にもいくつか種類がありますが、普段使いであれば塩分が少なめ*1の経口補水液がおすすめです。ただし、飲み過ぎで嘔吐があるなど脱水状態が進んだ際は、塩分が多め*2の経口補水液が必要な場面もあります。
*1:ナトリウム濃度80mg/100ml程度
*2:ナトリウム濃度100mg/100ml以上

まとめ

熱中症対策として広く知られるようになった経口補水液は、熱中症だけではなく、さまざまな場面で活用できます。脱水症は急に症状が進むため、倒れてから搬送ということも多いため、積極的な水分補給をこころがけることが大切です。

2019年6月の情報をもとに掲載しています。

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