味の素グループ 牛肉の調達ガイドライン

味の素グループ
制定日:2024年7月

私たち味の素グループは130を超える国・地域で製品を展開しており、さらに多くの国や地域から原材料の調達を行っています。私たちの事業は強靭なフードシステム、すなわち豊かな地球環境と健全で活力のある社会に支えられた安定した食資源の上に成り立っています。一方で原材料の生産から加工までのすべての工程で温室効果ガスが排出され、プラスチック廃棄物やフードロスも発生するなど、環境や社会に対するリスクがあります。森林破壊や泥炭地の開発、水資源や土壌の汚染が進むと、生態系が損なわれると共に食資源の維持も困難となるため、早急な対応が必要です。また、動物由来の原材料を使用することから、アニマルウェルフェアの向上も欠かせません。さらに、サプライチェーンに関わる全ての人々の人権が侵害されることなく、そこで働く人々の労働安全衛生が守られることが、健全で活力のある社会には必要不可欠です。私たちは調達におけるこれらの課題に対し、サプライチェーンに関わるステークホルダーの皆様と共に改善を図り、環境・社会にポジティブな影響を与えるサプライチェーンの構築に取り組み、強靭で持続可能なフードシステムと地球環境の再生に貢献していきます。

1. はじめに

牛肉は味の素グループの事業活動を支える重要な原料の一つです。サプライチェーンのリスクアセスメントの結果、気候変動、水・土壌、生物多様性、人権が重要であると認識しました。私たちは安定的な牛肉の調達、製品供給の社会的責任を果たすために、ステークホルダーの皆様と共に取り組み、持続可能な牛肉のサプライチェーンの構築を目指します。そこで、味の素グループポリシーに基づき、サプライヤー取引に関するグループポリシーガイドラインに記載している事項に加えて牛肉の調達に関する事項を定めた本ガイドラインを制定しました。
本ガイドラインでは、「3.調達方針」において、味の素グループとして目指す持続可能な牛肉調達のあるべき姿を掲げています。これらのあるべき姿を実現するために、私たちが具体的に取り組む内容及び数値目標として「4.味の素グループの行動指針」において「取組内容」と「2030年までのKPI」を示しています。

2. 対象

このガイドラインは味の素グループが調達する牛由来の原料の大部分を占める牛肉を対象とします。今後、対象の範囲については拡大する可能性があります。また、味の素グループが購入、取引、加工、販売する上記原料を取り扱う全てのサプライヤーに適用されます。

3. 基準および方針

味の素グループは牛肉調達におけるリスクおよび国際的な要求を勘案し、以下の基準に従って生産された原料の調達を目指します。

  1. 原生林・二次林の破壊および保護地域や泥炭地の開発を行わない。

  2. 農地を新規開拓する際は、自然生態系や生物多様性の損失の回避と軽減のためのより良い管理を実施している。

  3. 水資源の循環に配慮した取水と排水、水の利用を行っている。

  4. 土壌の健全性の維持・改善を行っている 。

  5. 適切な廃棄物の処理および削減とリサイクルのための手段を講じている。

  6. 温室効果ガス排出量を削減するためのより良い管理を実施している。

  7. 先住民族の権利に関する国際連合宣言に則り、地域住民が慣習的に所有もしくは使用している土地等を利用する際は、自由で事前の情報に基づく合意(FPIC:Free, Prior, Informed Consultation)の原則に従い権利を尊重する。

  8. 強制的な労働、児童労働に関与しない。

  9. すべての労働者は公平に扱われ、健康で安全な労働環境が提供されている。

  10. 味の素グループが定める「アニマルウェルフェアに関するグループポリシー」に則っている。※1

4. 味の素グループの行動指針

味の素グループは、持続可能な牛肉のサプライチェーン構築を目指し、現在当社が購入している牛肉に関して次の事項に取り組みます。対応状況は公表し、透明性の確保に努めます。

  1. 取組内容
    ・トレーサビリティ※2の確保
    ・サプライチェーン上の直接・間接サプライヤーを含むステークホルダーとの直接対話を通じたリスクの抽出及び課題対策の実施
    ・味の素グループポリシーを満たすサプライヤーからの購買

  2. 2030年のKPI
    ・屠畜場、精肉会社に対し直接牛肉を供給する最終農場までのトレーサビリティの確保 (オークション等の理由で非常に困難な場合は屠畜場、精肉会社まで)100%

5. 見直し

このガイドラインは定期的に内容の見直しを行います。

※1 アニマルウェルフェアに関するグループポリシー

※2 原料のサプライチェーンを理解し、環境や人権での問題発生時に発生場所まで遡れる状態であることをもってトレーサビリティが確保されているとみなす