受賞者インタービュー

秋田をおいしくいただきます」賞を受賞した、袴田 那央(はかまだ なお)さんにインタビュー

2012年度の味の素「食エコKIDs」賞で、「秋田をおいしくいただきます賞」を受賞した、秋田県由利本荘市立西目小学校6年生の袴田那央さん。袴田さんは、2012年の「緑の小道」環境日記コンテストでも環境大臣賞を受賞しています。冬将軍が居座る2月上旬、袴田さんのお宅を尋ね、食に関心を持った理由や、食生活で心がけていることなどをお聞きしました。

秋田県由利本荘市 袴田那央さん

日記からピックアップした、袴田さんの「食エコ」へのこだわり ふるさとの味、おふくろの味を大切に守っていきたいー。

食に大きな関心を持ったきっかけ

袴田さんは2011年度も「食エコKIDs賞」・「いのちをいただきます賞」を受賞しています。表彰式の際、「食エコKIDs賞」を受賞した他の人の作品を見たり、素材を無駄なく使う味の素グループの取り組みを知りました。それがきっかけになり、様々なエコ活動に加え、「食」の分野でももっとエコ活動を頑張りたい、と思ったのだそうです。

母から子へと、食の伝統をリレーする
「食エコ」家族

袴田さんの食エコ活動は、お母さんとの二人三脚です。那央さんのお母さんは旅館を営んでいた那央さんのおばあさんから料理を教えてもらったこともあって、「食や味をそのまま残すことは難しいけれど、味覚を通じて思い出を残してあげたいと思っています。そんな気持ちもあって、少し高いときがあっても旬の素材を買うようにしています」と、話してくれました。そんなお母さんとキッチンに立つ機会が増え、袴田さんは自然に料理をする楽しさを知りました。今までは「お母さんに教えてもらったように、将来、自分の子供にも料理を伝えたい」と考えているほどです。親から子へと、郷土の食材や調理方法を伝えていくことは、郷土の料理文化をリレーしていく意味でも大切なことですね。

お母さんが教えてくれた料理

クロモ

男鹿でとれる天然もずくの一種で、一般的なもずくよりも太いのが特徴です。味噌汁に入れると、ツルツルッとした食感と、歯ごたえだ楽しめるそうです。

わい化りんごのデザート

地元、西目の特産品であるわい化リンゴ。規格外などで売り場に並ばないリンゴを、酢と砂糖で煮ます。とても美味しいデザートで、シーズンの時は大きな鍋で作り、常備しているそうです。

マダイのアラ汁、カブト焼き

頭はかぶと焼きに、それ以外の部分は潮汁に利用。味も栄養も抜群な料理ですが、食べたことがない友達が多いそうです。

青のりの味噌汁

青のりは冬が旬。近所の人たちが磯で採ってきて、おすそわけしてくれるそうです。乗りの香りが口に広がり、地元の旬が感じられる、ちょっとぜいたくな味噌汁です。

イギス

由利本荘の海で採れ、地元では「エゲシ」と呼ばれる海藻です。イギスをお椀に入れて、熱い味噌汁を入れるだけで、磯の香りが漂う味噌汁ができあがります。

ひろっこ

「ひろっこ」とは、ノビルのこと。雪の中から掘り出した白いノビルは、冬が長い秋田に春の訪れを知らせてくれる、秋田では欠かせない旬の食材です。

郷土の食材や旬の食材を大切にしながら、無駄なく使い切ることにも取り組んでいた、袴田家の食エコライフ

ふるさとの味を守りたい、伝えたい」と考える袴田さんのご家庭では、地元で取れたイカや、深海魚の”すがよ”(ノロゲンゲ)、天然モズクのクロモ、海藻のエゲシ、つぶ貝、タイのアラなどを使って、ふるさとの味、おふくろの味を大切に守っていたのが印象的でした。また、「すべてのいのちは守りたい大切なもの」と考え、食材となったいのちを無駄なく使い切っているのも素晴らしいことでした。いま、袴田さんは田沢湖が強酸性になってしまったために絶滅した「クニマス」の復活を夢見て、中和方法の研究に取り組んでいます。クニマスが田沢湖にたくさん戻って、おいしくいただける日がくるといいですね。