味の素グループ 統合報告書2018
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48取締役会の変革は大きく進展 取締役会の変革は、この2年間でかなり進みました。取締役会の人数、議案の選定、議事の進行方法等が大きく変わり、より中長期的な議論ができるようになったことは大きな成果です。また、取締役会の任意委員会についてはまだ途上ではあるものの、例えば役員等指名諮問委員会では、取締役候補者の要件や今後のサクセッションプランについての議論が始まる等、良い方向に進んでいると思います。 一方、取締役会での日本を相対化して見る発想はまだ十分ではありません。グローバルに事業を展開する企業として、日本人以外の視点を持って議論することは大事なので、その構成についてはもう少し広げて考える必要があります。また、執行の状況を知る機会は年々増えていますが、テーマによっては執行メンバーにも取締役会での議論に参加してもらう等、執行面での課題や執行メンバーの理解をより深めたいと考えています。従業員全員がASVを実践し、企業価値につなげる ASVの良い点は、経営戦略の中核として、ミッション・ビジョンを実現するための位置づけになっていること、そして、自分たちの価値観にこだわり、それを発信していくことで、その世界を実現しようとする覚悟が感じられることです。だからこそ、従業員一人ひとりがASVを自分事として日々の業務に取り込むことが重要です。ASVをきちんと実践に落とし込み、それを社内外にしっかり伝え、それによって何を変えられたのかを明確にしていけば、味の素グループのファンが増え、経済価値が向上し、企業価値の向上につながります。味の素グループはASVの実践に真■に、丁寧に取り組んでいますし、各地域でイノベーションを起こすことは味の素グループが得意とするところですが、さらにアクセルを踏めるようにしていきたいと思います。味の素グループのさらなる進化に向けて デジタルを取り入れた業務効率化は進んでいますが、デジタルトランスフォーメーションの推進加速は課題です。具体的には、自社のバリューチェーンの域を超え、お客様や外部と連携したプラットフォームの構築やビジネスモデルの変革です。グループ横断で生活者の行動分析をデジタル技術で行い、事業創造を行う新部署が2018年4月に設立されていますが、加えて、20代、30代の若手を主体にしたチームの編成やチーフ・デジタル・ オフィサーのような役割を作る等、全社的な動きを加速することが必要です。 リスク観点では、人権や環境等の基本的な対応はできていますが、グローバルレベルで最先端の取り組みを行うには、外部とオープンに組むことが必要です。「味の素グループならもっとできるのではないか」と言われるようになれば、結果的にリスク低減にもつながります。また、社会に対して正しく振る舞うことを従業員一人ひとりに植え付けることが最大のリスク対策でもあります。現場がリスクに最初に気づき、ハッとするような問い掛けができる会社にしていきたいと考えています。 私は社外取締役として、さらなる変革を実現させるため、経営者にとって耳の痛い話も言い続けていく覚悟です。名和 高司社外取締役社外取締役メッセージ「変革のスピードを加速させるべく、外部の視点で新たな考え方を積極的に提言していきます。」

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