たくさんのサポートが、競技の結果に繋がる

4歳からBMXレースを始めて、わずか4年で世界チャンピオンに輝いた丹野夏波(かなみ)選手。当然、競技に集中するための環境づくりには、周囲のサポートが不可欠でした。「小さい頃からずっと車の運転や金銭面を両親がサポートしてくれているので、とても感謝しています。海外の試合に出場するにしても、渡航費だけでそれなりの費用が必要なので、本当に感謝しかありません」
両親だけではなく、ライバルでもあり戦友でもあるBMXの仲間たち、応援してくれる学校の友達、たくさんの人々が丹野選手を陰で支えています。選手にとって一番の理解者であり、二人三脚で戦ってきたコーチの存在も忘れてはいけません。丹野選手の走りは「テクニック面で言うと、スムースに走ることやジャンプなどの技が得意」。これらの技術改善は、日々のトレーニングにおいても強化の柱です。
「BMXレースに大事なのはパワーと爆発力、それに瞬発力です。この競技はスタートで8割決まると言われていて、最初に上手く出られたら最後まで上位でいられる可能性が高い。だから、今年の夏はずっとスタートの出方のトレーニングをしていました。段々反応速度が上がって、それが今のゲート(スタート)に活かされているなと感じます」
信頼を寄せるコーチとの関係は、今年で4年。身体的なトレーニングに加えて、摂取する栄養に関してもアドバイスを受けています。「コーチが食事に関して勉強しているので、色々と教えてもらっています。最近は特に気を付けて炭水化物を減らし、たんぱく質を多く摂るようにしています。あと、レース前にはアミノバイタルを飲むようにしていますね」。
短い休憩時間で1日に数本走るBMXレース。例えばワールドカップだと、4~5回走ってレストも30分と短いため、いかにリカバリーして次に100%に近い力を出すかが勝敗の要因にもなります。「アミノバイタルを飲むと『よし行こう』と思えるのはありますね。飲んで、ウォーミングアップするのがルーティーンなので、頭も切り替えられます」
食事でのコンディション調整、そして気持ちの整理も含めた“回復”は、重要な技術のひとつなのです。

「女子で世界のトップに」大きな野望を胸に挑む

8歳から3年連続で世界を制し、日本女子のBMXの歴史を変えた丹野選手。大人になって世界で結果を残すことは、また違った意味を持ちます。「BMXの分野において、女子のトップカテゴリーで世界のトップに立った選手はまだいません。日本人でも世界で戦えることを、私が先頭に立って証明していきたいと思っています」。
その夢を叶えるのにふさわしい舞台、2020東京まで1年を切りました。「出場できるなら予選で終わらず、決勝でメダルを狙えるような位置にいたい」と語る丹野選手。BMXを心から好きだからこそ、魅力をたくさんの人に知ってもらいたい。彼女はそう願います。
「BMXは、本当に上手い選手だと最下位から上位に上がることもあるので、レースとしての駆け引きが面白いです。スピード感もありますし、ジャンプもいっぱいあって、すごく派手なスポーツなので、見ているだけでも楽しいと思います。私が4歳で始めたように、小さなお子さんにも楽しんでほしいですね。東京で日本人が頑張っていたら、もっと注目度も上がると思うので、上を目指して頑張りたいです」。
その情熱の裏側には、BMXへの確かな愛情がありました。
「どんな時でも、BMXを楽しむことが一番大事だと思っています。少しでも楽しくないと感じたり、勝つために楽しさを忘れてしまうのは嫌。どんな時でも楽しんで速くなりたいというのが私の軸です。大人になるとストレスやプレッシャーもかかってきますが、それでもやっぱりBMXに乗ると“楽しいな”と毎回思う。そこが一番大切にしているポイントです」
見ている人に楽しんでもらうため、自分も楽しむ。勝つためにBMXをするのではなく、楽しむためにBMXをする。それがBMXと共に生きてきた、彼女の今の答えです。