スポーツの舞台裏に迫る『挑戦のそばに』

今回取り上げるのは、ビーチ・フラッグスのトップ選手として活躍する堀江星冴選手。競技を始めてから一年で全日本インターカレッジライフセービング選手権優勝を果たし、3連覇を達成。以降は第一線を走り続け、選手として世界を目指しながら、パーソナルトレーナーとしてフィットネスジムにも勤務しています。多くの人に支えられて強くなる堀江選手に、競技への想いを聞きました。

世界一になるため、課題に前向きに取り組む

海での事故を未然に防ぐため、日々トレーニング続けるライフセーバー。様々なレスキュー動作に関して技術を磨く中、その成果を競い合うのがライフセービング競技です。
特に有名なのが、うつ伏せから素早く立ち上がり、20m先の溺者に見立てたフラッグを奪い合う『ビーチ・フラッグス』。砂浜を駆ける走力に反射神経はもちろん、技術やコンディション調整も勝敗を大きく左右するスポーツです。
そのビーチ・フラッグス日本代表選手として戦うのが堀江星冴選手。2018年には国内唯一の国際大会、三洋物産インターナショナルライフセービングカップに出場。2位という好成績を収めましたが、優勝できなかったことにもどかしさもありました。「昨シーズンは自分の中でも一番調子の良いシーズンでしたが、代表レース前日に肉離れを起こしてしまいました。調子は良くても、結果を残せないシーズンでした」と、悔しさを滲ませます。
二度と同じ思いをしないためにも、今は細かい技術の修正に念を置いてトレーニングに取り組んでいます。「ビーチ・フラッグスは20mの短い距離で競うため、一本一本の精度を高め、常に同じくらいの速さで走ることが課題です。具体的に今は、スタートでしっかり自分の力を砂浜に伝えて、効率よく前に進む動きを修正しています。立ち上がる方向が良くないと、そのあと進めないので、手や足、頭の位置など、自分の長所である強い力を大地に伝えて進む技術を突き詰めているところです」。
そんな堀江選手が目指すのは、2020年のライフセービング世界選手権で1位になること。そのために必要なのは、飽くなき探求心。「今までずっと同じトレーニングをしていたのですが、今は色々なトレーニングを試しています。様々な刺激を体に入れることで生まれる、新しい発見を大事にしています」。目標へ近づくため、日々の努力は続きます。

パーソナルトレーナーとして得た多くの支えを力に

堀江選手の最大の特徴は、ライフセーバーでありながらプロのパーソナルトレーナーであること。二足の草鞋は、トレーニング面だけでなく、競技へ取り組む姿勢にも生かされています。「お客様は一人ひとり全然体の使い方が違います。個々の弱い部分を知ることは、自分自身のトレーニングにも活用できる。毎日お客様から学ばせていただいています」。
そして、それは技術以外の面でも堀江選手の大きな力となっています。「パーソナルトレーナーをしていることで、ジムでトレーニングをしている方などから応援していただく機会が増えました。先日の大会でもお客様が海まで来てくださり、すごく励みになりました」。
堀江選手を周囲で支えているのは、お客様だけではありません。同じ職場で働く仲間たちも、堀江選手の活動に理解を示し、サポートしてくれています。
「僕のいない穴を埋めてくれたり、嫌な顔をせずに『頑張ってね』って送り出してくれたりもします。会社の部長にも、競技面ではなく、人としての優しさやルールをたくさん教えていただいています。全部当たり前ではないということを教えていただいて、視野が広がって心にゆとりも出てきました。周りのサポートがなければ絶対に続けられないので、本当に感謝しています」。たくさんの人の応援を受けて、堀江選手は目標に向けてひた走ります。