アミノ酸大百科

生活で役立つアミノ酸生活で役立つアミノ酸

体の痛み(違和感)とアミノ酸

セリンと炎症を抑えるEPAとの併用で痛み(違和感)が緩和

体の痛み(違和感)とアミノ酸

腰と膝の痛み(違和感)にお困りではないですか?

日常生活における活動を妨げ、動きに制限を与える大きな原因の1つが腰と膝の痛みです。痛み(違和感)があるために体を動かさないでいると体が硬くこわばったり、足腰が弱ったりします。そうなると座ったり立ち上がったりといった、日常生活の動作がますます困難になってしまいます。痛み(違和感)をできるだけ軽減させることは、活動的な日常生活を送るために大切です。

その痛み(違和感)は神経のダメージが原因の可能性があります

神経は枝のように触手を伸ばして他の神経とつながり、痛み(違和感)の刺激を電気信号として脳へ伝えていきます。体の一部にうけたダメージや炎症といったストレスを痛み(違和感)として脳に伝えることで、その部分を動かすのを控え安静に保ち体を回復させる大切な役割を果たしています。
しかし、痛み(違和感)のせいで体を動かさないでいると、筋肉のこわばりを生じ血行不良から必要な栄養が十分に届かず、末梢の神経がダメージを受けることも考えられます。すると、神経同士のつながりが弱くなって電気信号が正しく伝わらなくなったり、逆に過剰に電気信号を送り続けたりして、痛み(違和感)につながることもあるのです。

さらに、神経のダメージが続いて痛み(違和感)に長くさらされていると、本来、私たちが脳の中に持っている「痛みを抑える神経」の力が弱くなり、必要以上に痛みを強く感じることもわかっています。これらを防ぐためにはダメージを受けた神経を回復させる必要があり、そのための材料が必要になります。

セリンは細胞膜をつくるのに欠かせない成分の1つ

細胞の膜はリン脂質という“油”からできています。たくさんの触手(細胞の一部)を枝のように伸ばす神経細胞はリン脂質を多く必要とし、ダメージ回復にも必要です。リン脂質にはいくつか種類がありますが、そのうちの1種類は、脂肪酸、グリセリン、リン酸の3つに加えアミノ酸のセリンを材料として体内で合成されます。脂質やリン酸は体内での再利用や代謝経路から十分量が供給される一方、セリンは神経細胞でつくることができないため、外から取り込む必要があります。これらのことから、セリンを摂取することは神経のダメージ回復に役立つ可能性が考えられます。
セリンは細胞膜をつくるのに欠かせない成分の1つ

セリンと炎症を抑えるEPAとの併用で痛み(違和感)が緩和

腰と膝の両方に違和感を持つ健康な男女(20~72歳)120人を対象として、2つの群に分け、アミノ酸「セリン」と炎症を抑える成分「EPA」を含む食品、またはこれらの成分を含まない対照食を毎日摂取してもらい、日常の生活活動において腰と膝の痛み(違和感)の程度を評価するアンケートを実施する試験を行いました。腰の痛み(違和感)スコアは摂取を始めてから8週間、膝の痛み(違和感)スコアは4,8週間でそれぞれ改善しました。神経の栄養成分であるセリンと炎症を抑える成分であるEPAの継続摂取が、腰と膝の違和感の緩和に役立つ機能があることを確認することができました。
腰の痛み(違和感)スコア 膝の痛み(違和感)スコア 出典:Sasahara et al., The Journal of Nutrition, 150(9), 2278-2286, 2020