医療の世界で活躍するアミノ酸
全てのアミノ酸に可能性がある

- 1アミノ酸は医療分野でもなくてはならない存在!
- 2治療や栄養改善にもアミノ酸が役立っている。
- 3アミノ酸は医薬品原料の主流!
アミノ酸は医療分野でも、なくてはならない存在です
アミノ酸を医療分野で初めて利用したのは日本

アミノ酸輸液の開発と普及
アミノ酸を使った輸液の開発
アミノ酸輸液の開発がはじまった当初は、たんぱく質を成分として動物実験が行われていました。ところが、たんぱく質を静脈内に投与すると、カラダは異物と認識して激しい拒絶反応を起こしてしまいました。
そこで、たんぱく質の代わりに、その成分であるアミノ酸を用いたところ、拒絶反応はなくなりました。輸液にはたんぱく質でなく、その成分であるアミノ酸を使うことが不可欠だったのです。
高品質なアミノ酸の大量生産がアミノ酸輸液の普及に貢献
現在、広く医療分野で利用されている高カロリー輸液には、生命維持に必要な五大栄養成分(たんぱく質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル)を混合しますが、上記の理由で、たんぱく質のかわりにアミノ酸の混合物が使われています。
同時に、発酵法を中心としたアミノ酸生産技術の進歩のおかげで高品質なアミノ酸を安価かつ大量に生産できるようになったことも、アミノ酸輸液の普及に貢献しているのです。
アミノ酸輸液は術前術後の栄養管理に重要です
高品質なアミノ酸輸液は、患者さんの術前術後の栄養管理に重要です。今では手術になくてはならない製剤として広く用いられています。
患者さんの治療や栄養改善に役立つアミノ酸
肝不全の治療に役立つアミノ酸
肝不全の患者さんの血液中のアミノ酸濃度は、健康な人に比べるとBCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)が低いのが特徴です。
このような血液中のアミノ酸のアンバランスは、しばしば肝性脳症という症状をもたらし、時に昏睡状態を生じる事もあります。
そこで、肝性脳症の発現を防止しながら必要なアミノ酸が補給できるように、アミノ酸組成を工夫した分岐鎖アミノ酸製剤が開発され、肝不全の治療に十分な効果をもたらしています。
腎不全の患者さんの栄養改善に
食事でたんぱく質をとると、代謝されたアミノ酸が最後は尿素という老廃物になります。
慢性腎不全は、腎臓のろ過機能が低下し、尿素などの老廃物が血液中に溜まりだした病気で、患者さんは病気が進行すると人工透析を受ける場合も多く、同時に、食事療法としてたんぱく質の制限を指導されます。
しかし、低たんぱく質の食事が続くと、必須アミノ酸の血中濃度が低下し、栄養状態の悪化をまねきます。そこで、カラダの機能の維持に大切な必須アミノ酸を中心に、必要な種類のアミノ酸を必要な量だけ補給することで、腎機能の低下を防ぎながら栄養状態を維持できるようになりました。
医薬品原料の主流になったアミノ酸
アミノ酸は単独でもいろいろな効果があることがわかってきています。
例えば、グルタミンは潰瘍の治療薬として使われていますが、消化管の粘膜を修復する作用が注目されています。
またアルギニンの免疫増強作用は健康な人だけではなく、免疫機能が低下している手術後の患者さん、集中治療を受けている患者さんやHIVウイルスに感染している患者さんにも効果が認められています。
アミノ酸が医薬中間体として原料に使われている薬は実に多く、世界で使用されています。抗生物質、血圧降下剤、血糖降下剤、抗ウイルス薬などが挙げられます。
味の素グループが開発した経口糖尿病薬<ナテグリニド>もその一例ですが、これらの薬にはプロリン、バリン、フェニルアラニンといったアミノ酸が使用されているほか、非天然型アミノ酸であるD-フェニルアラニンなども重要な役割を果たしています。
さらに、がんや自己免疫疾患など、難治性の病気への治療効果が期待され注目されているバイオ医薬品の製造にも、高品質のアミノ酸は欠かすことができません。
味の素グループは医療用総合アミノ酸の世界トップレベルのリーディングメーカー
当初、味の素グループではその中からグルタミン酸だけを抽出していましたが、残るアミノ酸の一つひとつを分離して結晶の形で取り出せれば、それぞれの特性を生かして医療の分野で利用できると考えました。
こうしてアミノ酸の分離・精製の技術開発が盛んにすすめられ、1950年代のはじめには18種類のアミノ酸の分離に成功し、それらが小瓶に詰められ日本はもとより世界の研究者に配布されました。
これが世界のアミノ酸の利用研究をすすめる起動力になったのです。
味の素グループは医療用アミノ酸の分野にて、世界トップレベルのリーディングカンパニーとしての重責を担っています。