| ●イチゴはどうしてストロベリーというの?● |
イチゴ属の植物は世界各地に分布し、ヨーロッパでは古くから野生のイチゴを摘んで食べる習慣がありました。1629年、アメリカ東部や中部に野生するバージニアイチゴがイギリスに伝わり、1715年、南米チリのチリイチゴがフランスに伝わりました。18世紀後半にイギリスでこの2つのイチゴの交雑が行われ雑種の育成に成功しました。
このイチゴはアナナスイチゴと呼ばれ、優れた特性を持っていたのでイギリス、フランス、ドイツなどで盛んに交雑育種が行われました。こうして現在のイチゴに通じる多くの品種が成立することになったのです。今のイチゴの原型はこの時に生まれたものなので、種類としての歴史はまだ200年ほどしかない果実ということになります。
現在私たちが食用にしているイチゴとは異なりますが、実は『日本書紀』や『枕草子』に「イチゴ(古称はイチビコ)」の記載が出てくるそうです。イチゴのゴは食用にする実という意味の接尾語で、おそらく今では不明となってしまったバラ科のイチという植物があって、その実にイチゴと名付けたものだろうといわれています。
現在のイチゴは嘉永三年(1850)、オランダ人によって日本に伝えられました。当時はオランダ人によって伝えられたものに何でもオランダと付けたようでオランダゼリ(パセリ)、オランダミツバ(セロリ)、オランダキジカクシ(アスパラガス)、オランダナ(キャベツ)などと同様に、オランダイチゴと呼ばれていました。
明治になって欧米から何回も苗を導入して栽培に着手したもののうまくいかず、明治27年やっと導入に成功します。こうして明治の末頃から各地で栽培が始まりました。日本のイチゴ栽培の草分けは静岡県で、大正初年、たまたま石垣の間に植えられていたイチゴが早く成熟することが発見され、有名な久能山(くのうざん)の石垣栽培が始まったのだそうです。
イチゴ栽培は、第二次世界大戦時にはさすがに停滞したもののすぐに復興し、みかんに次ぐ果物第2位の地位を確保するようになりました。ハウス栽培の面積は野菜も含めた中で第1位を占めています。
赤くてかわいらしい形、甘くておいしくその上ビタミンCもたっぷり含まれるイチゴは日本人の大好きな果物。生産量もアメリカ、スペイン、ポーランドに次ぐ世界第4位なのだそうです。しかも欧米ではほとんどがジャムなどの加工用だそうですから、生のイチゴの消費量はもしかして世界一かもしれませんね。
それゆえ日本におけるイチゴの品種改良は年々めざましく進展し、昭和30年代の主力品種である福羽からダナーに移行して以来、約10年サイクルで、宝交、春の香、麗紅など主力品種が変化しています。近年の主力は以下のとおり。
【とちおとめ】(栃乙女)
栃木農業試験場育成。促成栽培に適する優良品種。果実は大きく甘味が強い
【さちのか】(幸の香)
農林水産省育成。大粒で甘味が強く食味に優れる。果肉は硬いが日持ちする
【あまおう】(甘王)
福岡農業試験場育成。赤い、丸い、大きい、旨いという果実特性から命名
【とよのか】(豊の香)
農林水産省育成。九州、西日本で広く栽培。甘味、酸味、香味で食味良好
【章姫】(あきひめ)
平成2年静岡県の萩原氏が発表。果実が大きく細長いのが特徴。甘味が多い
【女峰】(にょほう)
栃木農業試験場育成。日光の女峰山より命名。香りがあり多汁。
【アイベリー】
愛知県で昭和55年に命名。大果で甘味と香りに優れ、贈答用に好まれる
さて、イチゴは英語でストロベリー(straw berry)といいますが、「ベリー」は果肉の柔らかな食用の小果実の総称で、その昔、イチゴ畑で実の保護のために麦わら(ストロー:straw)を敷く習慣があったのでストローベリーと名づけられたのだそうです。
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