生産安全で品質の高い製品を安定的に

味の素グループでは、安全・安心な製品を提供するためグループ全体で品質保証に取り組んでいます。生産工程では、ハード・ソフトの両面から徹底的な品質管理を行っています。

安全・安心の確保に向けた取り組み

味の素グループでは、お客様に安全で高品質な製品を提供するために、味の素品質保証システム「ASQUA(アスカ)」で定めた「HACCP基準」、「GMP基準」、「フードディフェンス基準」等に従い、作業環境の整備をはじめ、そこで働く人のルールやマナーの徹底、原材料受け入れ・投入、調理・調合、充填、包装に至るまでの各工程で、検査・チェック等を行い、徹底した品質管理を行っています。

工程に沿った品質検査・チェック例

工程に沿った品質検査・チェック例

食の安全体制強化への取り組み

味の素グループは、従業員との信頼関係をベースとした風通しの良い職場風土の醸成が食の安全体制強化のための要と考えています。その上で、生産設備等のハード面と品質基準やガイドライン等のソフト面の見直しや強化により、サプライチェーン全体での意図的な異物混入のリスクの極小化および徹底した品質保証に取り組んでいます。

食の安全を保証するための概念図

食の安全を保証するための概念図

※1 工場内でのトラブルや作業ミスがないことを確認するカメラ。品質保証カメラの設置により、お客様からの信頼を得る。

品質クレーム、トラブル低減への取り組み

また、品質クレーム、トラブル低減に向け、発生した品質クレーム、トラブルすべてに対し、一つひとつ徹底的な原因究明を行い、再発防止に努めています。品質に関するトラブルが発生した際には、その内容と再発防止策を国内外のグループ会社へタイムリーに発信し、再発防止に努めています。

異物混入防止に対する従業員の取り組み

異物混入を防ぐには、製造エリアに異物を持ち込まないことが大切です。
従業員が工場の製造エリアに入る場合は「持ち込まない、持ち込ませない」を厳守しています。
従業員は、ポケットがない作業着を着用し、持込物は厳しく管理されます。製造エリアに入場する際は、粘着ローラーで毛髪等の付着物を入念に除去した後、エアシャワーを通り、さらに付着物を吹き飛ばして除去します。

工場の製造エリアに入る場合は「持ち込まない、持ち込ませない」

左:ポケットなしの白衣
右:エアシャワー

異物混入防止に対する製造上の取り組み

異物混入を防ぐ対策として、製造工程では多種にわたる異物検出機とともに、人の目による目視選別を行っています。また、原材料メーカーとの協力のもと、原材料の品質向上に取り組んでいます。
味の素グループで使用する原材料は、製品数の増加とともに多様化しています。原材料のほとんどは、原材料メーカーで、金属検出機などの選別を数回受けた状態で工場に納入されます。
受け入れ時の検査として、品質管理部門が微生物、水分、塩分など、原材料ごとに定めている規格基準を満たしているかどうかを検証し、更なる選別が必要と判断された原材料については、自社内の選別工程を用い異物検査を行います。
選別では、原材料によって金属検出機やX線検査機、そして専任の担当による目視選別を行います。不合格となった原材料は別の場所に移され、製品に使用されることはありません。内容は、原材料メーカーへフィードバックし、品質の向上につなげています。

X線検査機

X線検査機

金属検出機

金属検出機

原因究明のためには畑にまで足を運ぶことも

問題の究明のために、原料の生産にさかのぼり、畑まで足を運ぶこともある。

「セキュリティ」、「フードディフェンス」

近年、意図的な異物混入の防止の重要性が高まっています。味の素グループでは、セキュリティやフードディフェンスの取り組みを強化しています。
工場への関係者以外の立ち入りを防止するため、出入口には防犯カメラを設置し、個人認識カードで管理しています。製造エリアでは、従業員が正しく作業を行っていたか、また工程の異常も確認できるように品質保証カメラを設置しています。製造ラインにおいては、製品の中味が常時曝される箇所に容易に取り外せないカバーを設置し、異物の混入を防止しています。
設備の充実だけではなく、従業員に対して定期的に食品安全に関する教育を実施してレベルアップを図っています。また、職場でのコミュニケーションの場を設定し、信頼関係を築くことで、良好な職場風土の醸成にも努めています。

品質保証カメラ

品質保証カメラ

セキュリティカードキー

入室時のセキュリティチェック

製品ごとに最適化した 製造工程での取り組み

味の素グループでは、製品ごとに異なる製造工程において最適な品質管理体制を整えています。ここでは各製品の取り組みを紹介します。

製造での取り組み(「ほんだし®」の場合)

ほんだし®の工程図

ほんだし®の工程図

「ほんだし®」は、かつお節の新鮮さを生かした製品であるため、わずかな原材料品質の違いを職人的な感覚で感じ取り、安定した品質で提供しています。専用に開発した燻し(いぶし)香の強い荒節を使い、更に燻し方を変えた3種類の荒節をブレンドすることで最適な風味を実現しています。
お客様に安全で安心してお使いいただける製品をお届けするため、製造工程では数多くの目視点検、点検装置を用いて異物が入らないようチェックを重ね、徹底した異物管理、微生物管理を行っています。
また、製造工程全体をコンピュータ制御し、運転マンによる工程パトロールを併用することで、常に安定した品質の「ほんだし®」を作り続けています。
“顆粒”を作り出す押出造粒工程は、顆粒の使いやすさ、溶けやすさ、美しさ、風味の維持を決める大事な工程です。
この造粒工程を中心にすべての工程でどんな小さな事でも見逃さず安全・安心な製品をお届けします。

 関連リンク:WEBで工場見学「ほんだし®」シアター

かつお節の鮮度管理や異物チェック、微生物分析を徹底

かつお節投入の様子。

コンピュータによる制御で常に高品質を維持

管理室で製造工程全体をチェック。

押出造粒の様子。節粉と調味料を混練(こんねり)したものを造粒する。

押出造粒の様子。節粉と調味料を混練(こんねり)したものを造粒する。

押出造粒機から出てきた、生まれたばかりの「ほんだし®」

押出造粒機から出てきた、生まれたばかりの「ほんだし®」

製造の取り組み(Cook Do®の場合)

Cook Do®の工程図

Cook Do®の工程図

「安定した品質の製品をお客様にお届けしたい。」
工場のメンバー全員が共通の思いを持ち、異物除去やミスの防止を徹底。お客様にご満足いただける、本格的でおいしい中華調味料の製造を実施しています。
中華料理に欠かせないにんにくやしょうがは、原材料メーカーでしっかりと異物除去を行ったものを使用していますが、私たちの工場でも人の「目」により一粒一粒を入念に選別し、製品に異物を入れないように心がけています。

農産物原料の異物除去で頼りになるのは、人の「目」

しょうがの異物選別の様子。

「Cook Do®」は決められた原材料を配合し、決められた温度と時間でしっかりと殺菌することにより、計量ミスや殺菌不良を起こさないよう、努めています。また、製造工程全体をコンピュータで管理しながら、担当者一人ひとりが作業ルールを守ることによって、日々の安定生産に努めています。問題が起きて対処するのではなく、小さな異変の予兆を見逃さずに、常に先回りして点検・整備し、不具合を起こさないよう日々努めています。

作業ルールの徹底とコンピュータ制御で正確な計量と殺菌を行う

目視とバーコードによる二重の確認で人為的な計量ミスを防ぐ。

製造工程を監視し、不具合を未然に防ぐ

モニターとコンピュータによる製造工程の監視。

包装状態の目視チェックでキズやゆがみも見逃さない

包装外観の目視チェック

 関連リンク:「Cook Do®」Web工場見学「回鍋肉用ができるまで」

安定生産に向けた取り組み(ほんだし®の場合)

味の素グループでは、試作によって完成した理想の品質の製品を、工場において安定生産できるようにするまでの過程を、「スケールアップ」と呼んでいます。風味のよさ、顆粒の物性、包装の適性など、多岐にわたる調整を繰り返して最適な条件を見つけ出します。

試作品を製品にまで仕上げるためのステップ

試作品を製品にまで仕上げるには、いくつかのステップが必要になります。
小規模な試作スケールの条件をもとに、大規模な生産スケールの配合や製造条件を設定していく「スケールアップ」。「ほんだし®」の場合、みそ汁4人前の試作品を、工場でのトン単位の生産へと拡大していくために、多くの技術的な検討を行います。

試作品を製品にまで仕上げるためのステップ

スケールアップの過程

「品質」と「安定性」を両立するために、問題をひとつずつ解決

スケールアップで最も難しいのは、「高品質(おいしさ)」と「製造・包装の安定性」を両立する作り方を見出すことです。どちらかを妥協してしまうと、品質の高い製品をお客様に提供し続けることが困難になります。原材料配合の組み合わせによっては、例えば香りは良いが顆粒が作りにくかったり、包装しにくくなったりします。
味の素グループでは、こうした問題を財産であると捉え、問題を一つひとつ調査し、その原因を突き止め、解決することで、より高いレベルでの「品質」と「安定性」の両立につなげるよう努めています。

出荷前の最終検査(クノール®カップスープの場合)

製品が工場を出る前の最終工程として、出荷前検査が行われます。品質の安全性を数値で確認するだけでなく、製品のおいしさに変わりがないかを五感で見極め、お客様においしく召し上がっていただける製品だけをお届けします。
「クノール®カップスープ」については、日本農林規格(JAS規格)の認定品として、JASで定められた基準値(水分量、塩分量、全窒素、製品重量)を満たしているかを検査します。また、品質を確認するもうひとつの大切な検査に「官能検査」があります。官能検査では、人の五感を使って、味のバランス、舌触り、溶けやすさ、色、香りなど、機械では判断が難しい「おいしさ」を評価しています。製造工程からサンプリングした製品と、おいしさの基準となる標準品を比較して問題がないかどうかを確認します。
官能検査では、検査の精度を一定に維持するため「官能検査員認定制度」を設け、試験を実施しています。出荷前の最終検査は、サンプリング時間と製品のロット番号を管理し、生産と並行しながら行います。万が一、検査結果に問題が発見された場合には、トレーサビリティ管理により製造工程をさかのぼって、使用した原材料、包材まで確認することができます。

分析機器に加え、人の「五感」で品質検査

JAS規格の塩分検査をしている様子。

味覚評価の信頼性を維持する認定制度を実施

実際に製品が使われる場面に近づけるため、容器は陶器のカップを使う。スープをすくうためのスプーンと、口に入れるスプーンを使い分けるなど、ほかの要因で味に影響が出ないように細かく配慮する。