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夏川りみ 母想いコンサート2 2004.11.20 ニッショーホール(東京・虎ノ門)
鳥越俊太郎 夏川りみ 母想い特別対談〜忘れてはいけないもの〜 鳥越俊太郎 夏川りみ 母想い特別対談〜忘れてはいけないもの〜
鳥越俊太郎 夏川りみ 母想い特別対談〜忘れてはいけないもの〜
鳥越俊太郎さん
鳥越俊太郎さん
1940年生まれ。元「サンデー毎日」編集長で、テレビ朝日「ザ・スクープ」でのキャスターでおなじみの論客。硬派なニュースから3面記事まで、その守備範囲の広さと独自の視点を持った、わかりやすい解説には定評がある。
夏川りみさん
夏川りみさん
1973年生まれ。1999年、ビクターよりデビュー。日本レコード大賞2002年「涙そうそう」、20003年「童神〜ヤマトグチ〜」で2年連続金賞。NHK紅白歌合戦も2年連続出場。代表曲「涙そうそう」はミリオンセラーを記録し、第一回オリコンロングセラーオブジャパンを獲得。息の長いヒット曲として多くの人から親しまれている。好きな言葉は「感謝の気持ちを忘れずに」。
りみさんの歌声は「気持ちよか〜」母の愛のようなあたたかさを感じます
−「母想いコンサート」も2回目となりましたが、1回目、2回目とステージを重ねたりみさんは、今回のコンサートについて、どのようなご感想をお持ちになりましたか?
夏川 1部の「お母さんへの手紙」の朗読と、2部の「スペシャルライブ」の両方に参加させていただいた私としては、前回以上に母の大切さを伝えることができたいいコンサートだったと思っています。
母がいなかったら、私もこの世に生まれていないし、ここで歌を歌うこともなかった。母の存在って、そのくらい大きなものですよね。この量りしれない愛情に対し、私自身も「お母さんはとても大切。だからいつも気にかけていたい」と強く感じることができましたし、第1回目にも増して、思い入れの深いコンサートになりました。私のこの思いを、お客様にもうまくお伝えできたんじゃないかと思っています。
鳥越 そうですね。1部と2部が連動した、とてもいいコンサートだったと思いますよ。僕もいい時間を共有させていただいて、非常に満足しています。
 それにしても、りみさんの歌声はすばらしいよね。大海原で揺られているような心地よさを感じる気持ちのいい声、僕の出身地の福岡弁でいう、「気持ちよか〜!」です(笑)。波に体をあずけながらゆらゆらと漂う、そんな安らぎを感じさせる声ですね。母親の愛情に包まれているときが、まさにこの感じだと思うんですよ。“海”は母の代名詞としてよく使われますけれど、りみさんはこの“母”のイメージにピッタリの人だなあ、と思って聴いていました。
夏川 わあ、うれしい! ありがとうございます。残念ながら私はまだ結婚もしておらず、ましてや母親でもないので、母のイメージといわれると、なんだかくすぐったい感じがしますけど (笑)。
でも、「童神」を歌うときは、赤ちゃんを抱いてあやすような気持ちで歌っているんですよ。自分の子どもはいませんが、甥や姪はたくさんいますから、「子どもがいたら、こんな感じだろうな」と思って。
鳥越 そう、あの赤ちゃんをあやすようなしぐさや、あの手つきはなかなか堂に入ったものです。母親そのものって感じでしたよ。
そういう僕自身も、長女が生まれたときには、ぎこちない手つきで抱っこしてあやしたり、ミルクを飲ませたりした記憶があります。でも、それも長女のときだけね。次女のときは、家内にまかせっきりでしたけど(笑)。やはり、子どもの有無に関わらず、赤ん坊を抱いたり、あやしたりすることが自然にできるのは女性ですよね。無意識の母性愛というんでしょうか、ね。
先日、ロシアで学校テロというとんでもない爆破事件が起きましたけど、あのときに人質となっていた母親たちはどんな行動をしたと思います? 自分の命を投げ出し、子どもに覆いかぶさって、幼い命を救おうとしたんですね。このとっさの母性愛の強さに、父親とはまた違った偉大さを感じますね。
困ったときや淋しいときは、やはり母でも、面と向かうと照れくさい…
鳥越 そんな母親のイメージが強いりみさんですが、歌を歌うときに、何か意識されていることはあるんですか?
夏川 そうですね、やさしい歌が増えたので、「人を愛する気持ちってこんな感じなんだろうな」と思って歌っています。
鳥越 やさしい歌って?
夏川 今までは、沖縄や沖縄の自然をテーマにした歌が主体でしたけど、最近はそれよりもっと大きなテーマ、つまり、“人の愛”みたいなものを歌うことが多くなりました。たとえば、「童神」は子どもへの愛がテーマですし、「愛よ愛よ」も肩の力を抜いて生きようよ、というやさしさをメッセージする歌です。ですから、こうした歌を歌う私自身にやさしい気持ちがないといけないな、と常に感じています。歌う人の心はそのまま聴いている方に伝わりますから。
鳥越 なるほど。ところで、実生活の話になりますけど、りみさんとお母さんとの関係はどうですか?
夏川 私は歌手になるために、少女時代に親元を離れて上京しましたから、その間にはいろんな葛藤や起伏もありました。でも、やはり困ったときや淋しいときに電話をするのは、母のほうが多かったですね。今でもそうです。
鳥越 そのぶん、よけいにお母さんへの想いも強いでしょうね。
夏川 ええ。母はいま、石垣島で姉のお店を手伝っているので、帰省すると必ずそこに顔を出すようにしています。鳥越さんとお母様のご関係はいかがですか?
鳥越 僕は長男で、母は84才なんですけど、正直いって、いまでも母には照れくさいものがありますね。だから、電話が来てもあまり会話が続かないんですよ(笑)。母が僕と話をしたがっているのはわかっているんだけど、つい素っ気なくしてしまう。「あ、はいはい、それじゃね」とかいって、すぐに家内と交代してしまうんです(笑)。
母にしてみれば、聞いてほしいことはたくさんあると思うんですが、男の僕は、とりとめのない雑談の相手をするのがちょっと苦手で(笑)。女性と違って、僕ら男は用件だけ話したらパッと電話を切るのが身についてますから。
夏川 うちの父もそうですよ。電話で何か話しても、「ああ、そうだね、はいはいはい」とかいってサッサと切ってしまう(笑)。でも、相手が母の場合は、延々といろんな話をしますね。
夏川りみさんと鳥越俊太郎さん
夏川りみさん
鳥越俊太郎さん
鳥越俊太郎さん
夏川りみさん
夏川りみさんと鳥越俊太郎さん
母を想う気持ち、感謝の気持ち人として「忘れてはいけないもの」
夏川 先ほど鳥越さんは、私の歌声に“海”を感じられたとおっしゃいましたが、母想いコンサートのテーマ曲である「微笑みにして」の最後のフレーズも、愛・海・あたたかいという言葉で結ばれています。このフレーズに私は、海にたとえられた母親の愛情の大きさや豊かさを感じているんですけど。
鳥越 “愛”や“海”という言葉には、「包み込む」という共通のイメージがありますね。果てしない、限りないという壮大なイメージ。お母さんもこれと同様に、大きく、そして限りない愛で包み込んでくれる存在なんでしょうね。それに対して父親は、どっしりと構える“大地”のイメージですね。
僕が思うに、母親の愛情というのは、もともと女性のDNAの中に組み込まれているもので、赤ん坊を宿すことによって、自然とそれが子どもの中に沁みこんでいく。同じDNAでも、父親とは違う特別な沁みこみ方をする…そんな感じがしますね。これが母と子の強い絆になっているのではないかと思うんですけど。こういう、人類にもともと組み込まれていたDNA、母と子の絆みたいなものが最近崩れて、幼児虐待とか親子の殺傷事件など痛ましい事件が増えているのは、とても残念なことです。
その点りみさんは、外見も声も歌も、母親の遺伝子そのものという感じ。そんなあなたとステージをご一緒させていただいて、改めて母の愛や親への感謝の気持ちを再認識することができました。この気持ちが、今日のコンサートで歌われた「忘れてはいけないもの」の中身なのかな。僕もさっそく行動に移して、足の弱い母のために「カルバイタル」を贈ってあげなきゃ(笑)。りみさんのあたたかい歌声の入ったCDを付けてね(笑)。
夏川 それは光栄です、ありがとうございます。そういうプレゼントを介して、また新たな会話が生まれたりするんですよね。
私も鳥越さんのお話を伺って、歌に対する意欲や思い入れがさらに強くなりました。今後もやさしい気持ちや感謝の心を忘れずに、歌を通して多くの方々に、人間として忘れてはならない愛や思いやりの心を伝えていきたいと思います。今日はどうもありがとうございました。
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