アミノ酸大百科

生活で役立つアミノ酸生活で役立つアミノ酸

食とアミノ酸

おいしさの秘密はアミノ酸が握っています。

食とアミノ酸

POINT

  • 1「おいしさ」のカギはアミノ酸にあった!
  • 2アミノ酸の組み合わせが、食べ物の味に関係している!
  • 3発酵食品がおいしいのは、たんぱく質がアミノ酸に分解されるから。
  • 4お料理に欠かせない、だしやスープにはアミノ酸がたっぷり

おいしさのカギはアミノ酸にあり!

アミノ酸はいろいろな味を持っています。

アミノ酸は、甘味、苦味、酸味やうま味を持っています。ひと口に甘味や苦味といっても、その味はアミノ酸により様々です。
例えば苦いアミノ酸にバリンというものがありますが、バリンには多少甘味もあります。また、グリシンやアラニンというアミノ酸の甘さは、砂糖の甘さに比べるとさっぱりとしています。

アミノ酸の組み合わせで味が変わる!

それぞれの味をもったアミノ酸の組み合わせが食べ物の味を決める重要な要素の一つになっています。
食べ物に含まれるアミノ酸を測定してみたところ、私たちが感じる味は、そこに含まれているアミノ酸の種類と量に大きく関係していることがわかったのです。

アミノ酸の組み合わせが
食べ物の味のカギ!

うま味・酸味 甘味 苦味

Kawai et al., Amino Acids, 43: 2349-58, 2012

うま味の発見は日本人

1908年、池田菊苗博士がさまざまな食品に共通する“おいしさに寄与する味”に注目し、昆布のうま味成分であるグルタミン酸の抽出に成功しました。その味を「うま味」と命名しました。

アミノ酸の組み合わせで味が変わる!

完熟トマトはなぜおいしい?

トマトは熟していく間に、糖分とアミノ酸が増えていきます。

トマトの味にはアミノ酸であるグルタミン酸とアスパラギン酸が欠かせません。アミノ酸の割合も大切なポイントで、グルタミン酸とアスパラギン酸が4:1の割合で含まれているときにもっともトマトらしくおいしい味になります。
太陽の光をたっぷり浴びて赤く熟していく間に、糖分とともにアミノ酸が増え、おいしさも増していくのです。
※トマトの味からグルタミン酸を除いてしまうと、うすいリンゴジュースかすっぱい梅のような味がします。

トマト中のグルタミン酸とアスパラギン酸

カニの味・ウニの風味もアミノ酸が作っています

アミノ酸「アルギニン」が水産物の風味の正体

ズワイガニの味の正体は、ほんの数種類のアミノ酸と核酸、ミネラルです。アルギニンはそれ自体は苦いアミノ酸ですが、水産物らしい風味をひきだします。

ウニならではの味をつくるアミノ酸「メチオニン」

ウニの味をつくるアミノ酸は主に5つ。
この5種類を実際のウニと同じ割合で混ぜると見事にウニの味を再現できます。メチオニンはとても苦いアミノ酸ですが、ウニならではの味の決め手。これらからメチオニンを除くと、ウニの味ではなくエビやカニに似た味になってしまいます。

ズワイガニの味とウニの味

カニの味 必須の成分 ウニの味 必須の成分

発酵食品はアミノ酸の宝庫

発酵食品

よりおいしく食べるための工夫、発酵食品

私たちヒトは古くから食べ物を大量に捕獲、栽培したり、保存したりする知恵や技術を生み出してきました。そして、単に保存するだけでなく、よりおいしく食べるために調理や加工の工夫をして食文化をつくり上げてきました。

たんぱく質がアミノ酸に分解され、様々な味を演出

発酵食品もそのひとつです。たんぱく質にはもともとあまり味はありませんが、発酵によって大豆、魚、乳などに含まれるたんぱく質がアミノ酸に分解され、さまざまな味がかもしだされます。

保存がしやすく豊かな味わいをもつ発酵食品はアミノ酸の宝庫。
風味づけや調味料の役割をして各地の料理をおいしく、個性的に演出しています。

肉やお刺身の食べごろは、アミノ酸が増え豊かな味わいになったとき

たんぱく質の分解が進み、アミノ酸が増える=おいしさが増す

野生のライオンはまず、捕らえた獲物の膵臓、小腸や肝臓などを食べます。これらの臓器には、筋肉の部分にくらべてたくさんのアミノ酸が含まれているのでおいしいのです。
ライオンが去って2~3日経つとハイエナなど他の動物たちが獲物の筋肉の部分を食べにやってきます。ちょうどこのころ、筋肉のたんぱく質の分解がすすんでアミノ酸や核酸が増え、肉が一段とおいしくなるのです。
また、私たちが食べるお刺身も、あまり新鮮すぎるとかえって味がよくないと言われることがあります。これも同様の理由です。魚はしめてから12〜24時間経ったころにアミノ酸や核酸が増え、うま味をはじめとした味わいが増すことがわかっています。

世界の食文化を支えるアミノ酸

お料理に欠かせない、だしやスープにはアミノ酸がたっぷり

日本のだし、フランスのチキンブイヨン、中国の湯(タン)など、各国で素材や使い方は違っても、だしやスープは料理の基本。その成分を分析してみると、どのだしやスープにもアミノ酸がたっぷり含まれています。 共通して多いのは、うま味を持つグルタミン酸です。 チキンブイヨンや湯(タン)には、グルタミン酸以外に甘味や苦味を持つアラニン、アルギニンなど、さまざまなアミノ酸が含まれており、料理に使用することで複雑な味わいを生み出します。一方、日本のだしにはグルタミン酸、アスパラギン酸などほんの数種類のアミノ酸が含まれていて、素材の味そのものをシンプルに味わうことができます。
これからは、だしやスープをとるときはもちろん、できあがったお料理を食べるとき、いつもよりゆっくり味わってアミノ酸の味を体験してみませんか?おいしさについて、何か新たな発見があるかもしれませんよ。
世界のだしの中のアミノ酸

昆布だし一番だし


チキンブイヨン鶏肉ベース

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