アミノ酸大百科

アミノ酸とサステナビリティアミノ酸とサステナビリティ

栄養改善とアミノ酸

小麦の栄養アップ!子どもたちの成長と健康を助けるリシン(リジン)

栄養改善とアミノ酸

2億人の子どもたちが栄養不足

今、世界の約8億人が慢性的な栄養不足状態で、そのうち約2億人の子どもたちがエネルギー、たんぱく質不足であると言われています。とくにアジアやアフリカ、中南米などの発展途上地域ではとても深刻。このまま世界の人口が増え続けたら、さらに問題は大きくなっていくでしょう。

穀類のたんぱく質だけではアンバランス

穀物は主食として食生活を支えるとともに、エネルギーのもとになる糖質やたんぱく質がとれる大切な食糧。 しかし、多くの発展途上地域のようにたんぱく源のほとんどを小麦などの穀物に依存している場合、リシン(リジン)などの必須アミノ酸が不足して、たんぱく質の栄養を十分に利用することができません。なぜなら、私たちは食べたたんぱく質に含まれる必須アミノ酸のうち、一番少ない必須アミノ酸のレベルでしか、たんぱく質を利用できないからです。

たんぱく質が足りないと発育不良や免疫力の低下、無気力といった症状が出てきます。とくに成長期の子どもたちにとっては大問題。例えば、人生最初の1000日間(胎児から2歳になるまで)の栄養不足は、その後栄養状態が改善しても一生取り返しがつかないと言われています。もちろん乳幼児期に加え、大人になるまでの栄養状態も重要です。
小麦粉のアミノ酸スコア

リシン(リジン)強化でたんぱく質を有効活用、子どもたちの栄養を改善

そこで、味の素グループでは、国連大学などと共同で、発展途上国において小麦粉にリシン(リジン)を添加するプロジェクトを実施しました。 リシン(リジン)を強化した小麦粉を食べた子どもたちは、通常の小麦粉を食べていた子どもに比べ、体重増加が大幅に改善し、また、免疫力も高まることがわかりました。

体重、身長の伸び率の変化

免疫学的指標の変化

W.Zhao et al. Food and Nutrition Buiiwtin, 25, 123-129, 2004

世界の食糧問題の解決に貢献するアミノ酸

発展途上国における栄養、健康改善は大きな課題です。 穀物に不足しているアミノ酸を添加することで、たとえ同じ量の穀物を摂取してもそこに含まれる栄養成分、特にたんぱく質の利用効率が大幅に向上することになり、結果的に限られた穀物資源を有効利用することにつながります。 アミノ酸を強化することは、食糧問題を解決する方法の一つであると考えられます。
試験用小麦粉の袋詰め 身長を計る子供

ベトナムの学校給食プロジェクト

ベトナムの小学校の給食は各学校の教員や調理スタッフに任されているものの、学校給食法がなく、栄養バランスのガイドラインもないため、健全な発育に役立つ給食が実施できているとはいえませんでした。
味の素グループは、こうした課題を解決するため日本の学校給食システムの導入を支援しています。
学校給食を食べる子供