アミノ酸大百科

生活で役立つアミノ酸生活で役立つアミノ酸

健康な毎日とアミノ酸

カラダの機能調節にも活躍するアミノ酸

健康な毎日とアミノ酸

POINT

  • 1アミノ酸は毎日必要。
  • 2アミノ酸は睡眠や免疫力にも関係している!
  • 3アミノ酸で健康チェックができる!

アミノ酸は毎日必要!

毎日合成・分解を繰り返すたんぱく質

私たちのカラダを構成するたんぱく質は、毎日合成と分解を繰り返しています。
そのたんぱく質を作るアミノ酸をきちんと食事から摂ることは、毎日の食事の重要なテーマです。食事でカラダに摂り入れられたたんぱく質は、分解(消化)・吸収され、肝臓に達するまでにほとんどがアミノ酸になっています。

食事からしか摂取できない必須アミノ酸

たんぱく質を形成する20種類のアミノ酸のうち、11種類は他のアミノ酸から作ることができます(非必須アミノ酸)。しかし、残りの9種類は体内で作り出すことができません。この9種類のアミノ酸は「必須アミノ酸」とよばれ、食事から摂取する必要があるのです。
たんぱく質の栄養価を必須アミノ酸組成の観点から評価した値をアミノ酸スコアと呼びます。

たんぱく質をつくる20種類のアミノ酸

必須アミノ酸非必須アミノ酸

表は、9種類の必須アミノ酸について、体重1kgあたり・1日あたりの摂取必要量を年齢別に示しています。
※この表は国際機関(FAO/WHO/UNU)が2007年に定めたものです。
<必須アミノ酸の必要量>
必須アミノ酸 0.5歳 1歳〜2歳 3歳〜
10歳
11歳〜
14歳
15歳〜
18歳
成人
mg/kg/日
イソロイシン 36 27 23 22 21 20
ロイシン 73 54 44 44 42 39
リシン(リジン) 64 45 35 35 33 30
メチオニン+シスチン 31 22 18 17 16 15
フェニルアラニン+チロシン 59 40 30 30 28 25
トレオニン(スレオニン) 34 23 18 18 17 15
トリプトファン 9.5 6.4 4.8 4.8 4.5 4
バリン 49 36 29 29 28 26
ヒスチジン 22 15 12 12 11 10
必須アミノ酸
合計
377.5 268.4 213.8 211.8 200.5 184

食生活が偏りがちな人にはアミノ酸補給が有効

一般に動物性のたんぱく質は、必須アミノ酸の量が多くバランスも良いため、アミノ酸スコアが100に近い、良質なたんぱく質です。また、植物性のたんぱく質にもアミノ酸は豊富に含まれていますが、食材によっては一部必須アミノ酸が不足している、アミノ酸スコアが低いものもあります。
たんぱく質の栄養価は、たんぱく質をつくっている必須アミノ酸のバランスで決まり、最も不足している必須アミノ酸に依存します。食品の中の必須アミノ酸バランスを表すのに、栄養学の教科書などでは、水を汲む桶の形がよく使われます。
桶を形作る板の一つ一つが食品に含まれるそれぞれの必須アミノ酸量を表すとすると、例えば卵などの理想的なアミノ酸バランスの食品は、桶の全ての板の高さがきれいに並びますが、小麦の桶は板の高さがバラバラです。
桶にひとつでも低い板があると水はその高さまでしか汲めず、外に流れてしまい無駄になってしまいますが、アミノ酸も同様に一つでも足りないアミノ酸があると、他のアミノ酸も有効活用がされません。 そのため、不足しているアミノ酸を補給することで、食品中のアミノ酸が有効活用できるようになるのです。
食生活がつい偏りがちな現代人は、足りないアミノ酸を補給することも、健康維持のために有効だといえるでしょう。

有効たんぱく質の増加

アミノ酸が不足すると…低栄養状態や肌あれなどの原因にも。

アミノ酸が不足すると、必要なたんぱく質が体内で合成できず、カラダの様々な機能が正しく行われにくくなります。とくに必須アミノ酸の欠乏時は低栄養状態となったり、肌あれなどが起こることがあります。
アミノ酸は私たちが生きていく上で欠かせない栄養成分なのです。

健康な毎日のために活躍するアミノ酸

アミノ酸で減り続ける筋肉量を維持しよう

筋肉量が減少する「サルコペニア」を予防しよう

自立した生活には動けることが大事ですが、高齢になるに従い、骨格筋の筋肉量がだんだん減少していく「サルコペニア」と呼ばれる自然現象が誰のカラダにも起こってきます。
サルコペニアの予防や改善で、栄養面からの対策として注目されているのがアミノ酸の利用です。
アミノ酸、特にBCAAの一つであるロイシンを多く含むアミノ酸の摂取と適度な運動により、カラダの筋肉量が増え、歩行機能が向上することが明らかになってきています。

アミノ酸で活動的な日常生活を

アミノ酸「セリン」+EPAで痛み(違和感)が軽減

日常生活の活動を制限する大きな要因の一つが、腰と膝の痛みです。
また、痛みによって体を動かさないでいると末梢神経がダメージを受けることもあり、神経のダメージが続くことは必要以上に痛みを感じる原因だとわかっています。
味の素グループは、神経のダメージ回復のための材料であるセリンと炎症を抑える成分「EPA」を摂取することで、腰や膝の痛み(違和感)が軽減することを見出しました。

アミノ酸で質の良い睡眠を

“質の良い眠り”とは

ぐっすり眠れてスッキリ目覚める“良い眠り”には、睡眠時間の確保とともに、寝入りばなにあらわれる深い睡眠である、深睡眠をとることがとても大切です。

アミノ酸「グリシン」で自然な深い眠りを

味の素グループの研究によりグリシンを就寝前に摂取することで、すみやかに自然な深い眠りに入ることが分かりました。
アミノ酸を上手に補給することで、深い眠りで脳や体を回復させ、すっきりと目覚めて、いきいきとした日々を過ごすことに役立つのです。

疲労感軽減とアミノ酸

なぜ疲労感がなかなか抜けないの?

疲労感には、カラダの疲れによるものに加え、ストレスや長時間のデスクワークなどで生じる頭の疲れによるものがあります。
そのため、疲労感を軽減するためには、カラダだけでなく、頭の疲れをケアすることが大切です。

ヒスチジンが頭の働きをサポートし、疲労感を軽減

ヒスチジンというアミノ酸を摂ると、疲労感が軽減することが確認されました。さらに頭の冴えや注意力の向上といった自覚の改善や、単純な記憶や判断を必要とする作業の効率向上に役立つことも報告されています。

飲みすぎ・二日酔いにもアミノ酸

アルコールやアセトアルデヒドの代謝を早めるアミノ酸

二日酔いは、お酒を飲んで体内に取り込まれたアルコールや、アルコールからできるアセトアルデヒドによって生じます。

アラニンやグルタミンというアミノ酸を、飲酒前、飲酒後、そして翌日にとることで肝機能を助け、これまであきらめていた二日酔いの不快感を軽くすることができます。

アミノ酸で風邪予防・カラダのコンディション保持を

シスチン・テアニンでカラダのコンディションを保ちましょう

普段からシスチン・テアニンというアミノ酸を定期的に摂っていると、免疫細胞の活性を維持することができるようになります。
その結果、風邪予防や、ベストコンディションを保つことが期待できるようになります。

アミノ酸でがんや糖尿病のリスクをチェック

「アミノインデックス®」で健康状態をチェック

味の素グループがこれまでに培ってきたアミノ酸分析技術とアミノ酸代謝研究を融合させた技術が「アミノインデックス®」です。「アミノインデックス®」では、血中の遊離アミノ酸濃度を評価に利用しています。

アミノ酸はカラダのたんぱく質を構成するだけでなく、血中にも存在していますが、血中のアミノ酸濃度のバランスは、健康状態や種々の疾病により変化します。味の素グループでは、多くの臨床研究を経て、血中のアミノ酸濃度のバランスの変動から、がんや糖尿病、心疾患などの各種疾病リスク評価や、健康状態をチェックする方法を確立しました。

カラダの中で、バラバラの状態で存在する遊離アミノ酸

私たちのカラダの中にはたんぱく質を構成しているアミノ酸とは別に、血中や細胞の中にそれぞれのアミノ酸がバラバラの状態で存在しています。これらは遊離アミノ酸と呼ばれ、ビタミンやホルモンをつくる材料として使われたり、たんぱく質を新しく合成したりするために使われます。