

味の素グループでは、製品や知見を活かして、食料生産性の向上に貢献しています。特に、主要ビジネスのひとつであるアミノ酸事業を通じて、さまざまな形で農・畜・水産業に貢献しています。アミノ酸発酵生産の過程で生成される栄養豊富な副生物は、世界各地の農・畜・水産業において肥料や飼料として利用されています。この副生物にミネラルなどを添加して、より効率的な栄養補給によって植物の病害抵抗性を高める葉面散布剤など、より高付加価値の製品も世界各地で利用されはじめており、さらなる普及を図っていきます。
また、アミノ酸は、動物や植物の体を作っているタンパク質を構成する成分であり、栄養素としても重要です。アミノ酸バランスの良い栄養を摂取することは、動植物の成長を促進します。味の素グループは、このアミノ酸の栄養素としての特質を活かして、家畜の飼料用アミノ酸を生産しています。今後は水産資源の養殖用としても、さまざまな海産物に適したアミノ酸を開発し、加工技術とあわせて開発することで、供給が不安定になっている魚粉の代替飼料とすることを目指します。
生命に不可欠なアミノ酸には、さまざまな可能性が秘められています。今後も味の素グループの知見を食料生産性の向上に活かせるよう、さらなる研究・開発を進めていきます。

味の素グループでは、世界各地のアミノ酸・核酸生産工場の発酵工程で生成される栄養豊富な副生物を、アミノ酸や核酸と一緒に作られるもう一つの製品=コプロ(Co-Products)と位置づけ、肥料や飼料として付加価値を付けて製品化し、地域の農・畜・水産業の方々にご愛用いただいています。
世界各地の主なアミノ酸・核酸発酵拠点とコプロの利用
※ 写真クリックで詳細を表示します。

味の素(株)では2010年度より、農業資材の事業を「A-Link」と名づけ、コプロの高付加価値化やアミノ酸・核酸の活用を、グローバルに推進しようとしています。すでにさまざまな高付加価値製品が誕生し、世界各地に事業展開が広がっています。例えば、これまで液体肥料・飼料としてご利用いただいていたコプロから、タンパク質が豊富な菌体のみを分離することによって、さらに価値の高い飼料「AJITEIN®」を開発しました。2010年度は、タイ、インドネシア、ベトナムで生産・販売が行われるようになりました。
また、コプロに含まれるアミノ酸やミネラルを調整し、葉面から効率的に吸収できるようにした葉面散布剤「AJIFOL®」は、南米を中心に、現在では東南アジア各国で販売されています。この製品は大豆や野菜、果樹などに利用されており、農家の皆様からは、「作物が元気に育ち、収量が増加した」との喜びの声をいただいています。
日本でも、味の素(株)九州事業所の核酸を豊富に含むコプロを用いて、味の素冷凍食品(株)、クノール食品(株)との共同で稲や野菜などの栽培試験を行い、農業資材としての効果があることが確認されました。この成果は、味の素(株)が出展した農業資材展示会「アグロイノベーション2010」でも多くのお客様に関心を持っていただくことができ、2011年4月に「アミハート®」として発売することができました。
味の素グループでは、今後も、コプロのさらなる高付加価値化に向けた研究・開発を進め、地域の皆様に喜んでご利用いただける商品の提供に全力で取り組むことで、食料生産性の向上に貢献していきます。

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FDグリーン社
FDグリーン社は、タイ味の素社のアミノ酸発酵生産工程で発生するコプロを、農・畜・水産資材として活用する事業を加速するために、2001年に創立された農業関係のグループ企業です。FDグリーン社では、“We Will Make the World Green”をスローガンに、コプロの有効利用に関する技術開発や普及活動を積極的に展開して、地域の農・畜・水産業の生産性向上に貢献しています。
副生物をそのまま販売するだけでなく、地域ニーズに合わせて加工を行うことで、付加価値の高い製品を提供しています。液体肥料「AMI-AMI」のほか、固形粒状肥料の「AMIMATE」、葉面散布剤「AJIFOL®」、タンパク質飼料「AJITEIN」など、多彩な製品を販売しており、2010年度にはこれら製品の総販売量が22万トンに達しました。特に「AMI-AMI」は、液体肥料として30年の歴史があり、タイ農業において長く愛用されています。
またタイでは、ティラピアなどの淡水魚の養殖が盛んですが、専用の水産餌料は浸透しておらず、池に化学肥料を撒き、植物プランクトンを発生させ、それをミジンコが食べそれを魚が食べるという食物連鎖を利用した給餌方法が一般的です。「AMI-AMI」は窒素のほかにもミネラルや有機物を豊富に含むため、化学肥料の代わりに撒くと植物プランクトンが多く増えるとされ、養殖産業の方々にも重宝されています。FDグリーン社は、今後も味の素(株)のコプロ事業「A-Link」と連動し、さらなる付加価値製品の開発・製造・販売に取り組んでいきます。
高収量栽培技術普及活動−キャッサバプロジェクト(インドネシア)
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キャッサバ芋
2005年度より、キャッサバ栽培農家の生活向上と、コミュニティの持続的な発展を目指して、インドネシア・ランプン州でのキャッサバ高収量栽培技術普及活動「キャッサバプロジェクト」を行ってきました。
キャッサバは東南アジアの主要な食資源であり、うま味調味料「味の素®」の発酵原料の一つでもあります。ランプン州農業局やコミュニティ開発の専門家と連携し、プロジェクトの運営資金、キャッサバ栽培技術、コミュニティ開発ノウハウを提供しています。プロジェクト開始当初は、言葉や文化の違い、天候の不順、酸性土壌などさまざまな困難に直面しましたが、5年で単位面積あたりの生産量は2.5倍に増え、農民の皆様の収入も大きく増えました。
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一般的な農家
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プロジェクトに参加されたご家族
インドネシア・ランプン州の東ランプン県では灌漑施設がなく、土壌が酸性のため、キャッサバしか育たないやせた土地が多い。
また、キャッサバ栽培農家の平均的な生活水準は、自作農地1ha、世帯収入5〜10万円/年と、インドネシアの米農家の平均(自作農地1ha、世帯収入15〜20万円/年)と比較すると貧しい。
2010年度の活動報告
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開始前 |
1年目 |
2年目 |
3年目 |
4年目 |
5年目 |
| 平均収量(t/ha) |
13 |
22 |
23 |
27 |
29 |
33 |
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コペラシーでの打ち合わせ

セレモニーでの記念撮影
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セレモニーでの優秀農家表彰式

セレモニーの参加者たち
2008年に、活動が持続的に続くことを目指し、農民が主体的に運営するコペラシー(農民協同組合)を設立しました。設立2年目の2009年度よりコペラシーは黒字化し、3年目の2010年度も安定的に利益が創出できるようになりました。
コペラシーの主な事業は、(1)キャッサバの栽培指導、(2)肥料や農薬を一括購入し、組合員に安価に販売、(3)収穫・配送、(4)キャッサバの安定的な販売先確保などです。これらの事業活動により、組合員(農民)は、肥料や栽培管理技術、販売情報へのアクセスが容易になり、収穫量の増加や、安定的な販売先の確保ができるようになりました。また、2009年度からは持続的な発展を目指し、化学肥料より安価なコンポストの試験生産を開始しました。さらに、将来のトラックなどの買い替えに備えて、コペラシーの利益の積み立ても開始し、組合が将来にわたって運営できる基盤が整ってきました。
そして、2011年3月に2010年度の収穫祭とともに、コペラシーの自立を祝うセレモニーを行いました。現地行政からも本活動に高い評価をいただき、モデルコペラシーとして地域に紹介されています。味の素グループは今後、現地活動のモニタリング等に協力し、コペラシーの活動を見守っていきます。
農民協同組合 組合長のスダルマン氏より
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組合長のスダルマン氏
味の素グループから資金にとどまらず、キャッサバの栽培管理、農民協同組合の立ち上げ・運営について、さまざまなノウハウを継続的に支援していただき、組合活動が自立的に運営できるようになり大変ありがたく感謝しています。今後は自分たちの力で地域の発展に貢献していきたいと考えています。
高収量栽培技術普及活動−キャッサバプロジェクトについて詳しくはこちら

ここ数年で途上国・新興国のライフスタイルが変化し、食肉需要が高まったことにより、家畜の飼料に使われるトウモロコシや小麦、大豆
※への需要も高まっています。さらにバイオ燃料の原料としても、トウモロコシへのニーズは高まっており、アメリカなどでは燃料用の作付面積が増えてきています。このような社会背景の中、限られた土地を利用して食糧需要を満たしていくためには、飼料用作物を節減・有効活用することが強く求められています。味の素グループでは、飼料効率を改善し、家畜の生産性を高めることができる飼料添加物の提供を通じて、食料生産性の向上に貢献しています。
※ 大豆から油を搾った「かす」は、タンパク質が豊富な飼料資源として利用されています。

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飼料に「リジン」を添加することによるメリット
アミノ酸は、生物が生きていくのに不可欠な栄養素で、特に、体内で合成できない必須アミノ酸は、食べ物から摂取しなければなりません。しかし、家畜に与えられる、トウモロコシや小麦などのエネルギー源と大豆かすなどのタンパク源を組み合わせた一般的な飼料では、 不足しがちなアミノ酸があり、 家畜の成長を最大限に引き出すことが難しくなります。
なぜなら、アミノ酸はどんなに多く与えてもそのバランスが悪い場合、一番不足しているアミノ酸の供給量までしか体内で利用されず、他のアミノ酸は排泄されてしまうからです。
味の素グループが製造・販売する飼料用アミノ酸は、そうした不足しがちなアミノ酸を特定して補うもので、代表的なものに、リジン、スレオニン、トリプトファンなどがあります。こうした飼料用アミノ酸を添加することで、無駄になっていた他のアミノ酸を有効に利用できるようになり、 家畜の成長や飼料の利用効率を高めることができます。
「桶の理論」に基づく、アミノ酸による飼料効率の改善
土地の有効活用への貢献
飼料用アミノ酸は、飼料用作物の生産面積を削減し、限りある農地の有効活用にも役立っています。
飼料中の大豆かすの一部を、トウモロコシと飼料用リジンの組み合わせに置き換えた場合、もちろんトウモロコシの生産農地は必要ですが、単位面積あたり大豆の約3倍収量が多いため、この置き換え分についていえば大豆かすの生産農地ほどの面積は不要となり、約70%も農地を節約できることになります。もし飼料用アミノ酸がなければ、増え続ける食肉の消費を支えるために、飼料用作物の農地拡大が加速し、無理な森林伐採などにつながるおそれもあります。また、節約した農地を世界的な人口増に対応するための食料生産に利用することが可能となります。
大豆かす50トンをトウモロコシと飼料用リジンに置き換えた場合

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「カルスポリン®」
カルピス(株)では、長年にわたる腸内菌叢(複数の腸内菌が集まっている状態)の研究を通じて、微生物に関する技術を蓄積してきました。この技術を活かし、家畜の腸内環境を整える飼料添加物「カルスポリン®」を製造・販売しています。現在、日本をはじめとして、米国、南米、欧州、アジアなど世界39カ国において、主に養鶏・養豚の配合飼料に添加され使用されています。
「カルスポリン®」は、家畜の腸内の有用菌(乳酸菌、ビフィズス菌)を増やします。これにより、家畜は健康な腸内菌叢となり、より少ない飼料で大きく育つことができるようになります(飼料効率
※1の向上)。「カルスポリン®」が世界中で使われて飼料効率が上がることにより、配合飼料向け穀物(大豆、トウモロコシ、小麦など)年間約50万トンの削減につながっており、これはほぼ東京都と同じ広さで収穫される穀物量に相当します(カルピス(株)試算)。さらに、安全面でも高い評価を得ています。日本では飼料添加物としての指定を受けるとともに、EU法規に対応した品質安全管理システムであるFAMI-QS
※2認証を日本で初めて取得しています。EUは効果や品質だけでなく、遺伝子レベルでの安全性などが要求される世界で最も厳しい地域です。
※1 飼料効率:与えた飼料でどれだけ家畜の体重を増やすかを表します。例えば豚の体重を1kg増やすのに飼料が3kg必要とすると、飼料効率は33%になります。飼料効率が高いほうが、少ない飼料で体重を増やすことができます。
※2 FAMI-QS:European Feed Addictives and Premixtures Quality System(欧州飼料添加物製造の品質安全管理システム)
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