味の素KK環境・社会活動CSRへの取り組み地球持続性低炭素社会に向けて

低炭素社会に向けて

低炭素社会に向けた考え方と取り組み

地球温暖化による大規模な気候変動は、地球全体の持続可能性にかかわる問題であり、味の素グループの将来にも直接かかわる課題です。製品の製造工程で発生する温室効果ガスを削減することは当然として、事業・製品のライフサイクル全体を通じた削減にも取り組みます。特に、アミノ酸などの機能を追求し、温室効果ガスの発生を抑制できるような商品の開発・提供を通じて、低炭素社会の実現に貢献したいと考えています。
味の素グループでは、「味の素グループ・ゼロエミッション計画」に基づき、事業活動によって排出されるCO2の削減に取り組み、着実に成果をあげてきました。特に、主要生産プロセスであるアミノ酸発酵には、多くの原料・エネルギーを利用するため、今後さらに原料やエネルギーの利用そのものを減らす技術開発を進め、投入原料に対する生産効率を向上させます。またアミノ酸などの発酵生産物を取り出す際、必要とされる副原料の使用を抑える技術の開発などを進めることで、利用エネルギーの低減を図っていきます。
一方で、利用するエネルギーそのものについても脱石油を進め、再生可能なエネルギーの導入を進めています。味の素グループでは、2004年度にエネルギー構成比36%を占めていた石油類を、2010年度には11%まで削減しました。また、タイ味の素社カンペンペット工場でのバイオマスボイラー稼働を端緒に、2010年度にはバイオマスがエネルギー構成比5%を占めるようになりました。
このように、製品を作るのに必要なエネルギーにも、食資源と競合しない未利用のバイオマスを活用する取り組みを、味の素グループの各生産拠点に広げられるよう、植物資源の豊富な東南アジアをはじめとして、南米、欧州などでも検討を進めています。

「味の素グループ・ゼロエミッション計画」に基づくCO2の削減実績について詳しくはこちら

アミノ酸発酵製造工程の改善による温室効果ガス削減

味の素グループの主要生産プロセスであるアミノ酸製造では、サトウキビなどの農産原料から、発酵工程を経てアミノ酸を生産・精製するため、農産原料を直接加工する食品製造と比較すると、水やエネルギーを多く使用します。味の素グループのCO2排出総量のうち約70%を発酵関連由来のCO2が占めるほどです。そこで味の素グループでは、資源やエネルギーを効率的に利用し、CO2をはじめとする環境負荷のさらなる低減を図るため、アミノ酸発酵製造工程に、「低資源利用発酵技術」の導入を進めるとともに、カーボンニュートラルなエネルギー源であるバイオマスエネルギーへの転換も進めています。

事例1 低資源利用発酵技術の導入

  • 4の例:食べられる実ではなく、葉や茎などのセルロースを使う

味の素グループでは、これまで資源循環型のアミノ酸製造を続けてきました。今後、資源を効率的に利用し、環境負荷を低減、食資源を極力使用しない「低資源利用発酵技術」の導入を進め、さらにプロセスを発展させていきます。
低資源利用発酵とは、1.発酵効率を改善して、使用原料を大幅に削減する技術、2.製品の精製工程での副原料の使用量、廃水や副生物の発生量を削減するための技術、3.サトウキビ搾汁やタピオカ澱粉などの発酵原料の自製化と、その過程で発生するバイオマスを燃料源として利用する技術です。現在、うま味調味料「味の素®」を生産している地域に導入すべく、開発・工業化準備を進めています。さらには、4.発酵主原料として植物の食べられない部分のセルロースなどを利用し食資源の利用を抑えた新しい技術の開発も進めています。
アミノ酸の原料である、サトウキビやトウモロコシといった可食作物は、人口増大や新興国の経済成長、エネルギー作物としての需要増大により、価格が高騰するとともに、供給も不安定となっています。味の素グループでは、このような新技術の導入により、資源の節減、CO2や排水などの各種環境負荷の低減に加え、食資源の有効利用・使用節減にも大きく貢献できると考えています。

事例2 バイオマスボイラーの導入

  • 1万トンのもみ殻が貯蔵できる巨大なサイロ(写真奥)とボイラー(手前)

    1万トンのもみ殻が貯蔵できる巨大なサイロ(写真奥)とボイラー(手前)

味の素グループの主要なアミノ酸発酵生産工場のひとつである、タイ味の素社カンペンペット工場では、2008年12月より、重油ボイラーの代わりに、地域の米作から供給される、もみ殻を燃料として使用するバイオマスボイラーを稼働させています。タイでは米の三期作が行われているため、もみ殻も一年を通じて安定して得られます。使用するもみ殻はこれまで未利用だった農業資源であり、カーボンニュートラル※1な燃料でもあります。このボイラーの導入により、この工場からのCO2排出量を年間およそ10万トン削減できました。
味の素グループでは初の試みとして、2009年にこの取り組みを日本とタイ政府に“CDM(クリーン開発メカニズム)※2プロジェクト”として申請し、それぞれ承認を得ました。次のステップは、上部機関である国際連合の理事会への申請です。申請に向けた準備を、鋭意進めています。

※1 カーボンニュートラル:植物は光合成により、成長時にCO2を吸収することから、燃やしたときにCO2が大気中に戻っても、全体としての大気中のCO2は増減しないという考え方
※2 CDM(クリーン開発メカニズム):京都議定書に規定されているメカニズムのひとつ。先進国が途上国において温室効果ガス削減プロジェクトを行った場合、その削減分を自国の削減分としてカウントできる制度。

製品を通じた温室効果ガスの削減

味の素グループは、事業活動を通じて温室効果ガスを排出しますが、味の素グループの製品を使用していただくことで、温室効果ガスの発生を抑制することもできます。こうした抑制効果も含めて、事業・製品のライフサイクル全体での温室効果ガス排出量の把握を進めます。また、飼料用アミノ酸などの、温室効果ガス削減に貢献できる製品・技術の普及に努めます。

事例3 カーボンフットプリントの研究

  • カーボンフットプリント表示の試行事例(エコプロダクツ2008での展示サンプル)

    カーボンフットプリント表示の試行事例(エコプロダクツ2008での展示サンプル)

カーボンフットプリント※1とは、商品のライフサイクル全体で排出される温室効果ガスの量のことで、環境に優しい商品かを定量的に“見える化”できる指標のひとつです。現在、2012年にカーボンフットプリントを国際規格(ISO14067)化しようとする取り組みが進められています。
味の素(株)では、この指標が低炭素社会の実現に貢献するインセンティブになるものとして、早くからカーボンフットプリント算定に関する基盤的研究に取り組んできました。そして現在、味の素グループのグローバル商品である、アミノ酸などの発酵素材について、国際的に通用するカーボンフットプリント算定を行い、環境貢献効果を明らかにする取り組みをはじめています。まずは飼料用アミノ酸での算定から着手し、2010年度は、この算定値を経済産業省の「カーボンフットプリント制度試行事業」に申請、商品種別算定・表示基準(PCR)※2の認定を受けました。
2011年度はさらに、主要な発酵素材全般へと範囲を広げ、PCRの認定およびカーボンフットプリントの認証へと範囲を広げていきます。将来的には、発酵素材の環境貢献効果を含めた、ライフサイクル全体での環境貢献を明らかにしていきます。 ※1 カーボンフットプリント:生産から廃棄までを通したライフサイクル・アセスメントの観点から、製品を提供する際に発生した温室効果ガス総排出量
※2 商品種別算定・表示基準(PCR):商品・サービスごとのカーボンフットプリントの算定・表示に関するルール

事例4 飼料用アミノ酸の環境貢献の認証−J-VERおよび国内クレジット制度

  • 飼料用アミノ酸3種類

味の素グループでは、飼料用アミノ酸事業をグローバルに展開しています。飼料用アミノ酸製造にあたりCO2が排出されますが、一方でこの製品を使用していただくことで、畜産由来の主要な温室効果ガスである亜酸化窒素(N2O)の発生抑制に大きく貢献できることが示唆されており、味の素(株)では、その実証試験を日本国内の研究機関と共同で進めています。
2010年度は、共同研究結果をもとに、“飼料用アミノ酸を加えた低タンパク飼料” による温室効果ガス削減効果を、環境省によるオフセット・クレジット認証制度(J-VER)※1および経済産業省、環境省、農林水産省の3省による「国内クレジット制度」※2の対象プロジェクトとして申請し、認証されました。どちらの制度においても、事業者(養豚業者)が対象プロジェクトを用いて温室効果ガスを削減した場合、CO2削減量に応じたクレジットを獲得でき、売却すれば収益を得ることができます。
このように、飼料用アミノ酸の環境貢献効果が国内制度として認められたことは極めて画期的なことであり、大きな成果だと考えています。味の素グループでは、今後も、科学的裏付けをもとに飼料用アミノ酸の新しい価値の世界的認知を広げ、この技術のさらなる普及を通じ、地球温暖化防止に貢献していきます。 ※1 オフセット・クレジット認証制度(J-VER):Japan Verified Emission Reduction。事業者の温室効果ガス削減量を正式なオフセット・クレジットとして環境省が認証する制度であり、事業者はこのクレジットを売却し、収益を得ることができる。
※2 国内クレジット制度:中小企業などが大企業などから資金や技術・ノウハウなどの提供を受け、共同でCO2排出削減に取り組み、その削減分を国内クレジットとして売買できる、経済産業省、環境省および農林水産省管轄の制度。

家畜の排泄物由来の温室効果ガス(N2O)発生のメカニズムとその割合

家畜糞尿中の窒素化合物は、土壌や大気中で酸化・還元され、一部の窒素がN2O(亜酸化窒素)として大気中に放出されます。このN2Oは、CO2の約300倍の温室効果があり、CO2、メタンに次いで影響力が大きな温室効果ガスです。飼料用アミノ酸を補充したバランスの良い低タンパク飼料を用いると、慣用飼料に対して、豚や鶏の排泄窒素量を約2〜3割削減できることが知られています。その後の工程から発生するN2Oも同等の比率で削減できるため、地球温暖化防止に貢献することができます。

家畜由来の温室効果ガスによる環境負荷

飼料用アミノ酸による「土地の有効活用への貢献」について詳しくはこちら

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